川上弘美 『センセイの鞄』2006/08/16

谷崎潤一郎賞を取ったというこの小説。
よくわからずに読んでみました。

三十代後半のツキコと30歳以上も年上の元高校国語教師との恋物語でした。
発表当時は中年以降の男性に人気だったらしいですが、なんとなくわかります。
夢物語でしょう。どう考えても、70代男性が30代女性に愛されることは、皆無とはいいませんが、めったにないでしょうから。
たまたま同じ街に住んでいて、たまたま飲みに行く居酒屋が同じで、センセイの方が見た顔だと思い出し、声をかけたことから付き合いが始まります。
飲み方が同じで、なんとなく気の合う二人。
いつしかかけがえのない関係だということに気づくのですが、なかなか一歩を踏み出せません。
ツキコの方がじれて、「センセイが好き」と言ってしまいます。

普通のどってことのない恋愛小説が、たまたま男の方が70代だということで、新しいのでしょうね。
フワフワと生きているツキコと、なにやらこの世の者とは思えないセンセイ。
恋愛対象ではなくていいから、こういう飲み友だちなら欲しいですね、と飲めない私は思います。

この本の中からちょっといいと思った言葉を。

「大事な恋愛ならば、植木と同様、追肥やら雪吊りやらをして、手をつくすことが肝腎。そうでない恋愛ならば、適当に手を抜いて立ち枯れさせることが安心。」