S.J.ローサン 『天を映す早瀬』2006/12/01

NYで私立探偵をしている、中国系アメリカ人のリディア・チンと白人のビル・スミスのシリーズ7作目がでました。
今回の依頼人は、昔からの知り合いのガオおじさん。
彼の昔からの親友、ウェイ・ヤオシーが死にました。
ヤオシーはなんと重婚をしていて、ニューヨークと香港にそれぞれ妻と子がいたのです。
互いの家族はそのことをヤオシーが死んでから知ります。
リディアは、ヤオシーの遺言で託された布袋の翡翠を香港にいる孫のハリー・ウェイに、手紙をヤオシーの弟のウェイ・アンランに渡すことを、ガオおじさんから頼まれました。
なんとビルも香港に一緒に連れて行くようにと言われるのです。

初めていく海外で、その上ビルと二人。リディアは興奮していました。
一見簡単そうに見えた仕事だったのですが、ハリーが住んでいるのマンションに行くと、部屋が荒らされており、誰もいませんでした。
しばらくすると父親のスティーブン(ヤオシーの息子)が戻ってきて、彼の七歳の息子ハリーが子守の女性と一緒にいなくなっているということがわかります。
誰が息子を誘拐したのか?
なんと息子の代わりに翡翠をよこせという電話と、身代金を払えという電話がかかってきます。
一体どちらの犯人の方にハリーはいるのか?
異国の土地で、リディアとビルがどうやってハリーを捜すのか。そして犯人の意図はなんだったのか。物語は思わぬ展開をします。

今回の読みどころは、最後の方で、ビリーが捕らえられ、絶体絶命になり、リディアはビルがかけがいのない人であることを知るところです。
その後、事件が一件落着したとき、リディアがビルに、「今晩一緒にいて」ととうとう言ってしまい、二人はキスまでするのですが….。
ビルは言います。
「今晩いっしょに過ごしたら、それはここ(香港)の一部になってしまう」「明日の夜は、ぼくたちは地球の反対側にいる。ここはもう、ぼくたちにとって現実のものではなくなってしまう。自分のいるところにあるものが、その人にとっての現実なんだよ」「きみと過ごす夜はそういうものであってほしいんだ。過去の一部になるのではなく、未来に続いていってほしいんだ」
なんて格好いいんでしょう。ビルって素敵。
ホント、この二人、目が離せません。

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