江國香織 『東京タワー』2007/01/16

題名が『東京タワー』ですが、まったくリリーフランキーさんのとは違います。(当たり前か)
一人の男の子の20歳の日々の移ろいを描いています。
いつものように、これといった出来事がありません。
透という主人公と詩史という40歳ぐらいの年上の女との逢瀬が淡々と書かれています。
その合間を縫って、透の友人で若いガールフレンドと35歳の主婦と二股をかけている耕二のことが出てきます。

詩史から電話が来るのを待っているだけで、これといって何をするのでもない透。
バイトをめいっぱいして、その間にガールフレンドや主婦に会い、青春を謳歌している耕二。
うまくやっていけると自負していた耕二は、いつしかバランスを崩し、ガールフレンドと主婦の両方にふられます。
ふられてちょっと落ち込んでも、すぐに挽回し、次のターゲットを見つけます。
本当の恋愛をしていないということでしょうかね。
一方透は、詩史の言った「一緒にくらすことと一緒に生きることは、必ずしも同じじゃない」という言葉に触発され、詩史と一緒に生きていこうと思い始めます。

若い男の子と付き合う女のことは全く理解できません。
相手がたまたま非常に若かったと思えばいいのでしょうか?でも夫がいるんですよ。
結婚していいことは、食事を一緒に食べる人がいることだ、みたいなことを詩史は言っています。
その通りですが、なんとも不思議な夫婦です。
そうあまりにも、格好が良すぎるのです。
いつも夫とぴったり合った服装をし、タクシーを利用し、輸入雑貨の店を経営していて、若い男を翻弄している女。
そんな女って、現実感がないですよね。
何冊読んでも、童話のような世界としか思えません。
江國の本は大人のお伽噺なのかもしれませんね。
私にとってはそれがおもしろいのですが。

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