トマス・ハリス 『ハンニバル・ライジング』2007/05/13

映画で『ハンニバル・ライジング』が公開されているようです。
『羊たちの沈黙』は怖いけれど、何故か心に残る映画でした。
珍しいことですが、後で読んだ本よりも、映画の方が印象深かったです。
レクターさん、好きですわ、笑。
『ハンニバル』を読んでから、この『ハンニバル・ライジング』を読もうと思っていたのですが、ブタが人を食うというところまできて、この本を読んだことを思い出しました。
そう言うわけで『ハンニバル』は読むのを止めて『ハンニバル・ライジング』を読みました。

ハンニバル・レクターは伯爵家の出だったのですね。
彼の趣向を考えると、いいところのお坊ちゃんのように思えたのですが、その通りでした。
彼がいい暮らしが出来たのも、8歳までで、1941年6月23日、レクター伯一家が城を離れ、狩猟ロッジに籠もりました。
3年半、ロッジで生き延びたもの、ソ連軍とドイツ軍の戦闘に巻き込まれ、ハンニバルと妹のミーシャのみが生き残ります。
彼らは赤十字の振りをして、略奪行為をしていたグルータスたちに捕らえられます。
やがて、食べ物がなくなり、困った彼らに、妹ミーシャが目をつけられ、連れて行かれました。
ロッジが爆破され、一人生き残ったハンニバルはソ連軍に見つけられ、孤児院になった自分の城で暮らすことになります。
しばらくして、フランスにいた叔父が彼を引き取りに来ました。
彼には美しい日本人の妻、紫がいて、三人で暮らすことになります。
ハンニバルは紫から日本文化を知ることになります。
やがて、叔父が死に、医学生となったハンニバルは、故郷に戻り、ミーシャを食べた一味を捜しあて、それから彼の復讐が始まります。

「怪物」はもともと「怪物」ではなく、愛する家族があったのです。
復讐をしようと思うことには同情はできても、何故何の関係もない人たちを殺し始めたのかということは謎のままで残っています。
一度殺人を覚えると、その快楽から離れられないということなのでしょうか?