坂木 司『仔羊の巣』2011/02/08

青空の卵』に引き続き、ひきこもり探偵シリーズを読んでみました。



よくわからないのが、司と真一の関係。
司はひきこもりの真一に何かあったら、すぐに駆けつけられるようにと、休みが簡単に取れる(本当?)外資系保険会社に就職します。
なんで友達ごときに、そこまでするのか?

真一はひきこもりといいながら、コンピュータのプログラマーの仕事を自宅でして稼いでいます。料理が上手で家に来る司たちのために美味しい夕食をいつも用意してくれます。

何故ひきこもりではいけないのか。
人は社会的な動物だから?でも、人と繋がりをもたなくてもいいという人がいてもいいじゃないですか。
真一は人と付き合えなくても、自分の食い扶持をちゃんと稼いでいるのだから、それだけでもいいんじゃないの?
色々な人の生き方を認めるといいながら、何故司は真一のひきこもりを認めようとしないのか、それが不思議です。

司は優等生的なのですが、何故か自分の生き方に自信が持てません。

「いつも思うのだけれど、僕という人間は、もうちょっと昔に生まれていたら、結構幸せだったのではないだろうか。親の決めた進路や、遺言に従って生きるなんてことが、まったく苦ではないのだから。むしろそうした制約があったら、悩む必要もなく、誰かのためになると喜んだことだろう」

永遠のモラトリアム人間?
一見社会とうまくやっているような司ですが、実は真一を必要としているのは彼の方だったりしてね。


本の中で見つけたそうだよな~という言葉。

「人間は、理解できないものにこそ恐怖を覚える。特に自分の言葉が通じないと知ったときの衝撃はでかい」

そう、理解できないものは恐怖です。
言葉が通じない時は、「衝撃」ではなく、「諦め」になっていますが・・・。

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