南杏子 『サイレント・ブレス』2017/01/28



大学病院の総合医療科で医師をしている水戸倫子は患者あしらいが下手で、いつも時間オーバーをしてしまい、医師や看護師からうとんじられているのを感じていました。
急に大学病院から「むさし訪問クリニック」へと異動させられます。
倫子は自分は左遷されたと思います。

「むさし訪問クリニック」は在宅で終末を迎える患者の訪問医療クリニックで、大学病院のようなMRIもCTも診察用ベッドもなく、スタッフは事務員一人と看護師一人のみ。
午後から看護師のコースケの運転で患者宅へ訪問します。
患者は脳梗塞、くも膜下出血、筋ジストロフィー、末期の乳がん・・・と様々な病気の人たちです。
どのような最期が望ましいのか、悩む倫子。
延命処置はするのか、胃瘻は、点滴は、人口呼吸器は?
彼女は終末期の患者と関わるうちに自身の父親の最期を看取ることになります。

「死」を「負け」とみなす医師が多いといいます。
でも、誰でも死ぬのです。
安らかな死を提供する医療も必要ですよね。

父と義父の二人を亡くしましたが、二人共に病院で亡くなりました。
胃瘻も人工呼吸器もつけませんでした。
介護をしていなかった私がどうこういえる立場ではありませんが、在宅で看取るには無理があり、二人ともに最期は意識がなかったので、仕方のない選択だったと思っています。

自分の最期を考える時に、過剰な延命治療をしない、「治療をしない医療」もいいかなと思います。
それぞれの死に方があるのですから、それぞれが考えておくことが必要ですね。

この本もお勧めの一冊です。

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