伊吹亜門 『幻月と探偵』2022/05/12



1938年、満州の哈爾浜。
私立探偵をしている月寒三四郎のところに一人の男がやって来る。
男は甘粕正彦から月寒を紹介され、上司から月寒を連れてくるように云われたという。
尊大な男に月寒は意趣返しをするが、実は彼とは前に会っていたのだった。

二日後、新京の国務院で月寒は岸信介と会う。
彼曰く、彼の秘書である瀧山秀一が三日前に急逝した。解剖の結果、猛毒のリシンで毒殺されたようだ。彼は元陸軍中将・小柳津義稙の孫娘と婚約しており、前日に小柳津邸の晩餐会に出席していたので、その時にリシンを盛られた可能性がある。
月寒は真相究明に乗り出すことにする。

岸に紹介された小柳津義稙の孫娘・千代子によると当日晩餐会にいたのは七人。
月寒は小柳津邸に赴き、館に住んでいる参加者と使用人たちと話す。
瀧山と参加者との間に特に関係はなさそうだ。
しかし義植宛に拳銃の弾丸と『三つの大阳を覺えているか』と書かれた脅迫状が届いていたという。
瀧山は間違って殺されたのか?

しばらくすると今度は義植の義弟の雉鳩哲二郎が停電中に変死する。

私の中で満州というと何やら猥雑な雰囲気の深い闇がある国という感じです。
登場人物に歴史上の人がいて、それだけでも興味が持てます。
私は岸信介が満州にいたことがあるなんて知りませんでした。
日本史に疎いので、どこまでが史実でどこまでがフィクションか、私にははっきりとはわかりませんでした。
でも日本軍はそういうことをやっていそうだと思いました。
岸と何やら因縁がありそうな月寒なので、岸ともっと絡むと思いましたが、そうではなくてちょっと残念でした。
真相は、そんなことで人を殺すのか…という感じですが、笑。

当時の雰囲気を出すためか、漢字にルビが多いです。
読めるかなクイズをしてみましょうか。簡単なもの3つと地名2つです。

珈琲   (コーヒー)    
卓子   (テーブル)    
洋墨   (インク)
哈爾浜  (ハルピン)
松花江  (スンガリー)

地名は難しいですね。

月寒と一緒に満州を駆けまわっているようなミステリーです。
満州に興味があって、ルビ付き漢字が苦手じゃなければ読んでみてもいいかも。


<今日のわんこ>
散歩をして汗が出たのにそのままにしておいたため冷えたのか、ママは昨日から具合が悪いです。
そのため犬たちは散歩はせずに家の中で遊ばせました。


カモシカ君を追いかけ、疲れた弟犬。


アララ、横になってしまいました。