森谷明子 『星合う夜の失せもの探し 秋葉図書館の四季』2023/08/06

れんげ野原のまんなかで』、『花野に眠る』に続く、秋葉図書館の四季シリーズの第三弾。
地主の秋葉家にまつわる人たちに関する謎解きが主となり、最後に秋葉図書館開設準備時のお話があります。


「良夜」
秋葉健一と離婚し、息子の佐由留と二人暮らしになった茉莉。
佐由留が合宿でいなくなり暇になったので一ヶ月ぶりにサイトを開くと、「リトル・ブック・ルーム」の店主、世津子が亡くなったというお知らせが。
スタッフの岬に電話をし、次の日に弔問に行くことにする。
茉莉は岬から世津子が借りていた本を秋葉図書館に返却することと、きなこという猫を探して欲しいと頼まれる。
秋庭図書館に行く途中で茉莉はきなこのような猫を見つけ追いかけるが、見失ってしまう。帰り道でまた猫を見かけ、追いかけて行くと、猫は図書館の植え込みに逃げ込んでしまう。
茉莉は成り行きから図書館の人たちに猫と世津子のことを話す。

「事始」
離婚後、健一は秋葉家に戻り、両親と暮らしていた。
ある日、父親と一緒に山に自然薯を取りに行き、その場で焼いた自然薯を食べたところ、ある記憶がよみがえってきた。
小学校に入ってすぐの頃、健一は山で足をくじいて一晩迷子になり、父の従兄の嫁の道子に見つけて助けてもらった時のことだ。
道子にはいい思いでしかなかったが、彼女が店の売上金を着服していたという噂があったという。
彼女のことを信じたい健一はその日のことを調べてみることにし、秋葉図書館に行く。

「聖樹」
ある日、平野進はクラスメートの光彦が図書館のホールのベンチにいることに気づくが、声をかけなかった。進は光彦が何をしているのか気になり、考えてみた。近頃、秋葉図書館の外に自転車事故の立て看板が設けられた。もしや光彦はこの事故に関係しているのではないか…。
クラスでも光彦がこの事故の犯人ではないかと疑われ、彼に対する嫌がらせが始まる。
別の日、図書館に行った進は光彦が彼を見ているのに気づく。
仕方なく話しかけると、光彦は「ぼくじゃない」と言う。
進は図書館の人が事故を見たというので、光彦ではないという証言をしてもらいに行こうと光彦を誘う。

「春嵐」
図書館の本ではない本が返却ポストに入っていた。三日後に近くの高校に通う須藤という男子が取りに来た。先輩に借りた本だという。
その翌日、また須藤が現れ、本を借りた先輩について気がかりなことがあるので、図書館の「探偵」に話があるという。

「星合」
佐由留は友人の優を誘い、秋葉家に泊まりに来ていた。たまたま叔母の和子も来ていて、断捨離を始める。ひいおばあちゃんの行李が見つかり、その中に仮名を散らし書きした半紙や『灯台星』という短歌の雑誌、そして革でできている文箱などが入っていて、文箱にはダイヤル式の錠がかかっていた。
佐由留たちは文箱の中に何が入っているのか調べるために、錠の番号が書かれたメモを探す。

「人日」
田中は秋葉市役所内の異動で秋庭市秋葉図書館開設準備室室長となる。
最初は気楽でいいと思ったが、楽な仕事などないことを思い知る。
部下の日野と能勢は嬉々として本の発注にいそしんでいるが、彼らが使いものになるのかどうかわからない。
そんなところに抜き打ちでやって来て文句をつけるのが、富所嗣次議員だ。
図書館のイメージがわかない田中は能勢たちに勧められ、他市の図書館に研修に行ってみると、とんでもないことを聞く。開館直後にお客が押し寄せ、本がなくなるというのだ。
秋庭市には図書館が古い本館しかなく、助けを求めるところはない。
とにかく本を集めなければということで、個人の古い蔵書を寄贈してもらおうと考えたが、地主の秋葉氏から教えられたのが、あの富所議員だった。

出てくる本は、『春にして君を離れ』や『風と共に去りぬ』、『つるにょうぼう』、『桃尻語訳、枕草子』、『カラマーゾフの兄弟』など色々あります。
読んだことがあるはずなのに、意外と忘れていて、益々自分の記憶力に自信がなくなりましたwww。
『春にして君を離れ』と『風と共に去りぬ』は好きだったのに、アレ、こんな話だったっけと思いました(恥)。
メラニーっていい人だと思っていたけど、違ったのね(「事始」)。
勘違いをしたのは、本に書かれているように映画に影響されたからでしょうかね。
もう一度、本を読み直した方がよさそうですが、なにしろ長いから、躊躇してしまいます。

家同士の利害の対立に翻弄される若者たちの恋愛(「春嵐」)や昔の女性の立場から来る人生の悲哀(「星合」)に涙が出そうになりました。
今は女性だけが我慢する時代ではないですが、でも未だに日本はジェンダーギャプ指数が125位(2023年度。2022年度は116位)ですからねぇ(溜息)。

秋葉図書館の四季ですから、あと一冊、続編が出るのでしょうね。
今回は図書館員の人たちは後ろに引いていて、前面に出てくることがなかったので、次回は図書館員の皆さんのことを書いてくださると嬉しいです。


<今日のわんこ>


二日前の夜、いつもは一緒に寝ないのに一緒に寝てみると、兄がタオルケットの上の足元に寝るので、ママは寝返りができなくて大変でした。
昨夜、ママがお風呂から出て、髪を乾かそうとしていたら、兄犬が柵を押しのけて出てきて、ママの部屋に行きました。
またママと一緒に寝たいみたいです。
まだ寝る時間じゃないので、犬部屋に戻すと、ジッと座ってママのことを待っています。
健気なので、また一緒に寝てあげましたが、ママは二晩続けて寝不足になりました。
今夜も寝たがるのかな?ママは遠慮したいのですが…。

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