トリミングに行く ― 2024/05/16

だんだんと紫陽花が花を咲かせようとしています。
梅雨は昨年同様みたいですが、今年も猛暑のようですね。
トリミングに行ったついでに兄の膝を診察してもらいました。
先週は院長先生がいなくて、代わりの獣医さんでした。
その時には言われなかったのですが、靱帯よりも膝蓋骨脱臼の方が問題で、膝が外れても自分で直していたのではないかと言われました。
もう一週間、痛み止めを飲み、再度レントゲンを撮るそうです。
小型犬なので、手術しなくても大丈夫な場合があるとのこと。
体重は3.5㎏から3.2㎏になり、このままでいいそうです。
減らしても、3㎏までとのことです。
トリマーさんは気をつけてトリミングをしてくれるそうです。
病院でトリミングをすると、こういう時にいいです。
家から兄はスリングに入れて連れて来ましたが、スリングを使うことは膝には問題ないそうです。

足が心配なので、立ったままで撮りました。
元気ですが、たまに右足をあげます。
関節が固まらないように、少しずつ歩かせるようにと言われました。
明日は5分、歩かせてみます。

弟は元気いっぱいです。

ご飯の時、ものすごい勢いでやって来ます。
ご飯は飲み物で、数秒で飲み込みます。
そして、ゆっくり食べている兄のご飯を食べようとします。
そのため、今は兄が食べる時にはクレートに入れます。

体重は3.3㎏で、先月と変わりません。

弟は兄以上に跳んだり跳ねたりします。
今年は10歳になるので、そろそろお年を考えて大人しくなって欲しいですわ。
碌山美術館 ― 2024/05/20
一色さゆりさんの書いた『ユリイカの宝箱 アートの島と秘密の鍵』を読んで行きたいと思った碌山美術館に行ってきました。
碌山美術館には、30歳で夭折した、日本近代彫刻の扉を開いた荻原守衛(碌山)の作品と資料が保存・公開されています。
詳しくはHPをご覧下さい。
碌山美術館のある穂高駅に直接行ける特急列車は行き帰りそれぞれ一日一便しかありません。
新宿駅発8時のあずさ五号に乗って穂高駅には10時59分に着きました。

写真の左側にロッカーがあり、右側にトイレがあります。
右に行くと碌山美術館に続く道があります。

標示に従い、線路沿いの路を歩きます。
一緒の電車に乗っていた方々はどこかに行ってしまったようで、私一人しか歩いていませんでした。

穂高らしいマンホールがありました。
5、6分歩くと、左手にお蕎麦屋さん、突き当たりに碌山美術館が見えてきます。

少し早いのですが、先にお蕎麦を食べることにしました。

冷たい山葵蕎麦。蕎麦の量が結構あります。
久しぶりに外食でお蕎麦を食べましたが、観光地価格なのか、この頃どこでも外食が高くなっているからか、思った以上のお値段でした。
これが当たり前になっているんでしょうね。

向かい側に碌山美術館があります。
入館料の900円を払い、振り向くと、碌山館が見えます。

大きな建物だと思っていたら、そうでもなく、こじんまりしています。
この建物を設計したのは今井兼次という建築家です。
以下の説明は『ユリイカの宝石』に書かれていることをお借りしています。
教会みたいに見えますが、碌山も今井も洗礼を受けているカソリック教徒です。
外壁の煉瓦はあえて不揃いのものを選び、黒ずんでいて不揃いな”焼きすぎ煉瓦”とと呼ばれる素材が使用されています。
今井はサグラダファミリアから大きな影響を受け、長崎市の日本二十六聖人記念館や聖フィリッポ教会をデザインし、高く評価されたそうです。
碌山館は平成に国の登録有形文化財に指定されています。
碌山美術館は1950年代に建てられました。
地元の教師たちの荻原碌山の作品を後生に伝えたいという想いとひいてはこの地に文化のシンボルをつくりたいという夢が、懸命な募金活動に結びつき、結果として、三十万人近くの老若男女から寄付が寄せられました。
建築地には、地元の穂高中学校の一部が提供され、手作業で工事が行われました。
小中学校に通っていた子どもたちも、手伝ったそうです。

入り口の左横に水が流れていました。

ツタが見事です。(ツタだよね)

「碌山の鍵」と書いてありますが、鍵なんでしょうか?

「LOVE IS ART, STRUGGLE IS BEAUTY. 碌山」と書いてあります。

館内にはヨーロッパで彫刻を学んだ荻原碌山の作品が飾られています。
真ん中に見える後ろで手を組んでいる女性の彫刻≪女≫が一番有名でしょうか。重要文化財です。
≪女≫は碌山が思いを寄せた女性、新宿中村屋の女主人、相馬黒光の面影が心象のモデルとなっているといわれています。
碌山がまだ守衛と呼ばれていた十八歳の時に、安曇野に嫁いできた相馬黒光と出会います。守衛は彼女から見せられた油絵に心を惹かれ、それ以来、美術に魂を奪われ、愛するようになります。
十九歳で上京し、ニューヨーク、パリへ渡り、現地の美術学校で好成績をおさめます。パリ時代にはロダンの≪考える人≫に衝撃を受け、彫刻家を志し、幾度かロダンのもとを訪ねて教えを受けています。
≪女≫と写真の右端に写っている、≪文覚≫と≪デスペア≫は「恋の三部作」と言われているそうです。(どういう彫刻か知りたい方は、碌山美術館のHPの中の「荻原守衛(碌山)の彫刻」を見て下さい)
≪女≫が完成してからわずか二十日後に、碌山は喀血して、三十歳という若さで亡くなります。

碌山館の後ろには詩碑があります。

小さすぎて読めませんが、親友であった高村光太郎が書いた守衛の死を悼む詩が刻まれた詩碑。

碌山美術館の後。

碌山の絵画を集めた杜江館。

杜江館には碌山絵画室があります。

碌山館と杜江館の間にあるベンチ。


杜江館の方から見た碌山館。

第一展示棟のドアの装飾が面白いです。
第一展示棟には高村光太郎や戸張孤雁、中原悌二郎等の荻原守衛の友人や系譜のつながる彫刻家たちの作品が展示されています。

奥の第2展示棟では「生誕100年 基俊太郎展」が開催されていました。
碌山美術館の第一展示棟や事務棟、トイレ棟、第二展示棟、杜江館、第一展示棟の椅子などは基俊太郎が設計したそうです。

入り口にあった「カテドラル」という作品。



左側は女性の脱ぎ方を描いた作品です。
金属で作られた作品が面白かったです。

休憩室、グズベリーハウス。
ミュージアムショップで鈴を買いました。
すると、「この鈴でいいんですか」と聞かれました。
猫の魔除け鈴もあったので、女性はそちらの方を買う人が多いのかもしれませんね。
碌山館はとても美しい建物でした。
松本の様子は明日書きます。
松本市美術館 ― 2024/05/21
碌山美術館のある穂高駅から松本駅まで約30分ぐらいで着きます。
駅から歩いて松本市美術館に行くことにしました。
途中に「珈琲美学アベ」がありましたが、人気があるのか人が並んでいます。
約10分ぐらいで美術館に着きました。
松本市は草間彌生さんの故郷です。
その関係から松本美術館に草間さんのコレクションがあります。
美術館の前に巨大なチューリップが。

まあ、よく作ったものです。
何で作ってあるのか気になります。セラミックかしら?

美術館の壁が水玉です。

まあ、自動販売機まで水玉です。
右側には男女二体のマネキンがありますが、それも水玉です。

ベンチまでもが水玉。
「ブラックジャック展」をやっていましたが、特に見たくもないので、コレクションだけ見ることにしました。410円という安さ。
コレクション展では「草間彌生 魂のおきどころ」と「田村一男 作品セレクション」、「作家の息づかい」(上条信山記念展示室)、コレクション展「小川千甕」
を見ることができます。
それほど作品数は多くありませんが、草間さんの様々な作品(絵画、彫刻、インスタレーションなど)が見られます。
わたしはシャンデリアの作品が好きです。いつまでも見ていられます。

唯一写真に撮っていいのが、カボチャ。
カボチャと言っても、様々な形のものがありますね。
草間さんの他に見てよかったのが、上条信山さんの書です。
書と言っても絵画のようなもので、私なんかには絶対に書けないと思いました。
上條は戦後、小学校で書道を必修化する運動をした人なんですね。

美術館の庭です。奥に見える建物にカフェがあります。

なんか楽しそうな女性たちの像がありました。

お昼が早かったので小腹が空き、カフェで食べたアンミツです。
980円です。高くないですかぁwww。
美術館から歩いて中町通りと縄手通りに向かいます。
10分ぐらいで中町通りに着きました。
大火から守るために漆喰で作られた白いなまこ壁の土蔵が道沿いに続きます。

中町蔵シック館。
特に興味を引かれるお店はありませんでした。
中通りからそれて川沿いに行くと、「珈琲まるも」があり、喉が渇いたので入ってみました。
民藝家具のテーブルと椅子があり、レトロな雰囲気です。
アイスコーヒーを飲みました。
旅館も経営しているようで、一泊八千円ぐらいです。

隣の女性三人の声が聞えなければ、もっと長く滞在したいところでした。

川の流れている音はいいですね。この川は女鳥羽川というらしです。
この川沿いに縄手通りがあります。
アラ、カエルが。

カエルがマスコットなのね、笑。
カジカガエルというカエルで、水のきれいな川にしか生息しないそうです。
昔、女鳥羽川に沢山いたそうです。
カジカガエルの復活と街おこしをかけて「カエルの街」なんですって。
しばし縄手通りを歩くと願い事と縁結びの神、四柱神社に辿り着きます。

右側に行くと、蕎麦屋があります。

左側に入り口があります。神社の境内にあるんですね。
ちょっとのぞくと、人がいっぱい入っていました。
神社から出たところに、またカエルがいました。

これは強烈です。

道であったら、気絶しそうww。
神社のそばに川辺に下りられる階段があったので、下りてみました。
川音を聞きながら、いつまでも座っていたかったです。

観光の最後に、川向こうにある松本市時計博物館に行きました。
一階と二階しか見られませんでした。
古今東西の珍しい時計が展示されています。
ホテルで少し休んでから夕食に出かけましたが、どこも早くに閉めるようで、蕎麦屋に行くと営業終わりと書いてあり、他のレストランに行くと、やってなくて、結局コンビニ飯になってしまいました(T.T)。
この日の歩数はおよそ一万四千歩。
よく歩きました。
松本城 ― 2024/05/22
前日に早くに寝てしまったため、朝早く起きてしまいました。
ゆっくりとチェックアウトをしようと思っていたのに、時間があります。
松本城に近いホテルに泊まっていたので、チェックアウトはせずに松本城に向かい、開場時間の8時半より前に到着しました。

外堀には鯉がいます。

ブラブラと歩いて行くと、松本城が見えました。

昨夜、雨が降っていたのですが、晴れて青空。わたしは晴れ女かも。

白鳥が一羽いました。
上手い具合に松本城と写真が撮れました。

青空に映えますねぇ。

無知なんですが、天守の正面ってどっちなんでしょうか?

お城もいいもんですねぇ。
8時半になったので、埋橋から観覧券売り場まで戻ります。
観覧料は700円です。

この門(黒門?)の左側に甲冑がありました。

誰のものか書き留めるのを忘れました。

門をくぐると、本丸御殿跡の向こうにお城が見えます。

右端に天守閣への入り口があります。朝早いからか、それほど人がいません。

入り口で観覧券を見せるとビニール袋を渡され、その中に靴を入れて持っていきます。
急な階段を上ると聞いていたので、ちょっと心配でしたが、まあ大丈夫でしょう。
元ワンゲル部ですから、上るのは得意です。
暗い中を登っていきます。途中に火縄銃のコレクションなどがありましたが、上る方に意識が向かってしまい、ちゃんと見ませんでした(恥)。
階段は他の方が書いていたように結構急なので、足の悪い方は止めた方がいいと思います。

ここが最上階の六階。
東西南北の標示がありますが、適当に写真を撮ったので、どの写真がどちらかわかりません、笑。

たぶん東。

南。

西。

北。
間違っていたら、教えて下さい<(_ _)>。
下りの時はどのように下りたらいいか係の方に聞いてみました。
そうすると、カニのように横になって下りるといいそうです。
下りの途中で月見櫓から外が見られます。

左下にある赤い手すりのあるところが月見櫓です。

混んでいなかったので、階段を上がったり、下ったりで待たなくてよかったです。
混んでいると、待ち時間が沢山ありそうです。
是非、開場時間を狙って行って下さい。
思っていたよりもスムーズに上れたので気分がよくなり、売店に行くのを忘れてしまいましたww。
ついでに家にいるわんこたちが気になり、電車の時間を早めて帰りました。
意外とわたし、体力と筋力があります。まだ山登りもできそうです(しないけど)。
次の日に少し筋肉痛が出ました。
相棒がまだ若いんだねと言って笑っていましたww。
旧開智学校校舎や松本民芸館に行けなかったので、次回松本に行くことがあったら行きたいです。

お土産はたいしたものを買いませんでした。
どら焼きが発売5周年感謝セールで150円だったので、買ってみました。
下のは碌山美術館で買った鈴です。いい音がします。
私は高い所が好きで、教会の塔とかがあるとよく上るのですが、お城もいいですね。
まだ足腰は大丈夫そうなので、どこか探して上りに行こうかしら。
歴史好きの相棒も行きたいと言っているので、犬連れで行ける近場はあるかしら?
現存の12の天守はどこも遠いわ。
わんことパパを置いていくしかないわねぇ…。
メアリー・ウィンターズ 『前略、駆け落ちしてもいいですか?』 ― 2024/05/23

紫陽花が益々綺麗に咲き誇るようになりました。
梅雨入りは遅いと言っていますが、本当でしょうか。

兄は5分ほどの散歩を楽しんでいます。(他の犬がここでオシッコをしたのか、クンクンと嗅いでいます)
今のところ散歩では右足を上げないので、このまま手術をしないでもいいようになって欲しいものです。

『追伸、奥様は殺されました』に続く「伯爵夫人のお悩み相談」シリーズの二作目、『前略、駆け落ちしてもいいですか?』。
伯爵未亡人のアミリア・エイムズベリーが”レディ・アガニ”という名で書いている週刊誌のお悩み相談欄は好評だった。
そんなところに、侯爵のサイモン・ベインブリッジの妹、マリエールが手紙を寄越す。
マリエールは許されない恋をしていて、もはやその相手と駆け落ちをするしかないと書いていた。
サイモンによると、相手は屋敷で馬丁頭として働いていたジョージ・デイヴィスで、ギャンブル好きの野心家のろくでもない男だという。
アミリアはサイモンに頼まれ、駆け落ちを踏みとどまるようにという回答を書く。
そんなある日、マリエールとデイヴィスがオペラに招かれたということを知ったサイモンに頼まれ、アミリアは彼と一緒にオペラに行く。
オペラの上演後、デイヴィスがいなくなったので、マリエールはサイモンとアミリアと一緒に帰ることになる。
しかし、馬車を探している時に、マリエールが死体となったサイモンを見つけてしまう。
付き合うことに反対していた兄に反発していた妹に、自分が妹の側にいることを納得してもらうために、サイモンはデイヴィスを殺した犯人を捕らえることを決心する。
もちろんアミリアも手伝う。
この頃、アミリアにはマリエールのこと以外にも心配なことがあった。
エドガーの姪で娘のように思っているウィニフレッドに新しい友人ができ、二人が何か隠し事をしているようなのだ。
そして、親友のキティ・ハムステッドがロンドンからいなくなるかもしれない。
というのも、子爵夫妻が息子の、つまりキティの夫のオリヴァーの誕生日にノーフォークの田舎屋敷を贈ってくれたはいいが、ただちにそこを引継いで欲しいとせっつかれているのだ。
タビサおばの力を借り、アミリアは子爵夫妻を説得することにするが…。
さて、すべてがきちんと収まるところに収まるのか。
日本での題名に「追伸」と「前略」と来たら、次は「拝啓」かしら?
お悩み相談には世相が反映されていて、面白いです。
コージーミステリですので、謎解きは大したことはありませんが、1860年代のヴィクトリア朝時代の貴族たちの暮らしとか考えを知るにはいいお話です。
イギリス貴族は馬好きだとは聞いていますが、自分の馬が勝つためには何だってするんですね。
女性たちがとても魅力的です。特にタビサおばさんが気に入りました。
意外にも彼女は野外競技の猛者で、クロッケーや蹄鉄投げが上手いんですよ。
そのうちアミリアの味方になって、いい相談相手になってくれそうです。
最後に彼女は、サイモンに心を動かせられているアミリアに、ベインブリッジにもアミリアにも責務があり、乗り越えられるものではないとピシャリと言いますが、二人の関係はこれからどうなるんでしょうね。
まだ三作目が発売されていないので、楽しみに待ちましょう。
アリスン・モントクレア 『ワインレッドの追跡者 ロンドン謎解き結婚相談所』 ― 2024/05/24
「ロンドン謎解き結婚相談所」シリーズの四作目。
戦時中、イギリス諜報機関の工作員だったアイリス・スパークスと上流階級の戦争未亡人、グウェンドリン・ベインブリッジが主人公。

<ライト・ソート結婚相談所>の共同経営者のアイリス・スパークスは通勤途中にワインレッドのコートを着た女に尾行されていることに気づく。
准将が雇った新人?工作員の訓練?
オフィスに着くと、その女はいなくなる。
その日、ポーランド出身のミセス・ヘレナ・ヤブウォンスカが入会しにやって来る。
しかし、もう一人の共同経営者のグウェン・ベインブリッジは断る。
アイリスは気づかなかったが、ミセス・ヤブウォンスカは妊娠していたのだ。
アイリスが帰宅すると、そこに戦時中、同僚の情報部員だった、元恋人のアンドルーがいた。
彼はさしあたって行くところがないので、ここにしばらく潜伏したいという。
家賃は彼が払っているので、仕方なくアイリスはグウェンの屋敷に泊めてもらうことにする。
次の日の仕事帰りに、アイリスはミセス・ヤブウォンスカに呼び止められる。
彼女はアンドルーを探しているらしい。
なんとお腹の子はアンドルーの子だというのだ。
アイリスは、アンドルーの居場所は知らないが調べてみると言い、連絡先を聞き別れる。
その後、フラットに行き、アンドルーと話し合い、居場所を教えることになる。
ところが、翌日、アイリスのフラットで若い女性の死体が発見される。
それはミセス・ヤブウォンスカだった。
アイリスは容疑者の一人となり、自らの容疑を晴らさなければならなくなる。
グウェンに助けを求めるが、息子の親権を取り戻すために、馬鹿げたことをしてはいけないと弁護士に忠告されていたグウェンは断る。
頼みの綱のギャングスターのアーチーからも見放された上に、昔のよしみの機関からも助けが得られず、一人で事件と立ち向かわなければならなくなったアイリスは、はたして犯人を見つけられるのか…。
アイリスとグウェンの友情もこれまでかと思ったら、大丈夫でした。
二人とも頭がいいですね。悪知恵が働くといった方がいいかしら、笑。
それにしてもこの時代の警察は恐ろしい。男女お構いなしに、暴力を使って口を割らそうとするんです。
ロンドン警視庁の警部補たちが彼女たちに振り回される姿は小気味よいですね。
グウェンが息子の親権を取り戻し、早く自由の身になれるといいのですが。
戦後すぐのこの時代は上流階級の男性には特権があっていいけれど、独立心の強い女性にはまだ過酷な時代です。
五作目と六作目が発売されています。
五作目は「The Lady From Burma」で、六作目は「Murder at the White
Palace」。
ガンで余命少ない妻が、昆虫学者の夫のために新しい妻を探しにやって来るが、何物かに殺されるというのが五作目で、六作目は顧客のために大晦日の夜会を開く予定の会場で、壁に閉じ込められた死体が見つかるらしいです。
殺人に縁のあるお二人ですね、笑。
このシリーズの順番を載せておきます。
①『ロンドン謎解き結婚相談所』
②『王女に捧ぐ身辺調査』
③『疑惑の入会者』
④『ワインレッドの追跡者』
読んだ時代医療ミステリ二冊(文庫本) ― 2024/05/26

あさのあつこ 『おもみいたします』
お梅は五歳の時に目が見えなくなったが、十七歳になった今は評判の揉み師で、予約が多く、順番は今なら早くても半年以上先になる。
彼女の側にはいつも十丸という人の目からは犬に見えるが、人ではない不思議な存在がいる。
紅葉屋という水茶屋を出しているお筆がお梅への依頼を受け、彼女の孫で八歳のお昌がスケジュールを管理している。
お梅は目が見えないが、人の気配からその人を感じ取り、その性質を見抜く。
揉み師ではあるが、人の凝りだけではなく、心の奥底に隠された闇までも探り当て、揉みほぐしていく。
今回の患者は今津屋のお内儀、お清。
お筆が焦るほどの相当な凝りだった。
お梅はお清の施術に通ううちに、思わぬ事件に巻き込まれていく。
昔、針治療に通っていましたが、長く通っていたわりにはよくなりませんでした。後から思えば、よくなると通わなくなるから、ほどほどにして通わせていたみたいです。
お梅のような揉み師がいたら、一度でいいから揉んでもらいたいと思いながら読んでいました、笑。
揉み師と患者のほんわかしたお話だと思って読みましたが違いました。
ファンタジー的な味付けをしたミステリでした。
題名がちょっと風野さん風ですねww。
十丸と鼠先生の真の姿が気になります。
このお話はシリーズになったようで、二作目の『おもみいたします 凍空と日だまりと』が六月に発売されます。
こちらを読んでからお読みください。

和田はつ子 『産医お信 なぞとき帖』
お信は共に医療に精進してきた松川善周亡き後、患者だった北町奉行所与力の田巻の勧めに従い、彼の八丁堀の役宅の敷地の一部を借り、充信堂を開いた。
お信は産婆をしていた母から産婆の手技の全てを学び、母が流行風邪で亡くなり、産婆の知識だけでは人を救えないと悟り、善周に医術の教えを乞うたのだった。
善周は目の前の患者を救うために、全身全霊を傾けており、彼の姿こそ、医者の鑑として皆が見倣うべきだとお信は確信していたが、それが多くの医者や産婆たちから敵対視されることとなった。
ある日、宮田源瑞という大物産医が不在で、急を要する容態だったため、金創医加藤家の嫁、まつ江のお産にお信は呼ばれる。
無事に出産を終えるが、数日後、宮田と彼の下で働いていた産婆のおくめが何者かに殺される。
田巻によると加藤家はお信の女としての嫉妬と宮田の患者を横取りしたくて手を下したと言い張っているという。
その上、宮田とおくめの死んだ場所にお信の櫛が落ちていたという。
お信は田巻の力を借り、自らの汚名を晴らそうとする。
江戸時代のお産や堕胎、梅毒等について詳しく書いてあります。
残酷な事柄が書かれていますが、そういう時代だったのでしょう。
今とは違い、お産は女にとって大変なことだったのです。
母親は約二割以上出産で亡くなっていたそうです。
出産後、産婆や医者の不注意で膣瘻になって生き地獄を味わう女性がいたり、鉗子で赤子を殺していたなんて、知りませんでした。
それに医者に対する蔑視があったなんて、いかに人の命が軽んじられていたのかがわかります。
お信は女ですから、楯になってくれていた男の善周がいなくなると、風当たりがより強くなり、目障りなので、潰してやれとなったのでしょうね。
田巻や後から出てくる医者の白石宗祐の助けがあり、よかったです。
最後に明かされる真実がやるせない気持ちになりました。
作風の違う二人の作家が書いた時代医療ミステリです。
紫陽花とヨーキー ― 2024/05/27

紫陽花が満開になってきました。
明日は台風が来るということですが、どうなるんでしょうね。
風がいつもよりも強いみたいで、心配です。
兄は今日、10分ぐらい歩きました。
その間は右足を上げることはありませんでした。
傷み止めを飲んでいるからかもしれませんが、なんとか誤魔化しながら、いけるんじゃないかと思います。
兄には関節サポート機能付の餌を与えていますけど、犬用のサポーターってないのかしら?
この前スーパーに行くと、ペット用健康食品に「きびきび散歩PREMIUM」というものがあり、早速買って飲ませました。
「アンチノール」は魚臭いのか兄は飲まなくなり困っていたので、ちょうどよかったです。でも、そのうち嫌がるかもしれませんね。
ちゅ~るに混ぜて飲ませますわ。
買う時にレジの人が、「こんなのがあるって初めて知りました」と言っていました。
ヨーキー弟は兄が羨ましらしく、この頃五月蠅いです。
犬ですから、兄の足が痛いのが分からなくて、兄だけ可愛がられていると思っているのでしょうね。
兄と弟が一緒にお散歩できないので、弟のお散歩がちょっと少な目になってしまいます。
紫陽花が綺麗に咲いているところがあったので、お座りさせて写真を撮りました。

ちゃんとお座りしたのに、意地でも携帯カメラを見ないです。
もう一回挑戦。

なんとなく前を見てるかな…?
これくらいで良しとしましょう。
ブラシの木と似ている木を見つけました。

これはカリステモンとか金宝樹というブラシノキ。フトモモ科ブラシノキ属の常緑小高木だそうです。
今日見つけたのが、白いものです。

これは「カリステモン・サリグヌス」。和名がシロバナブラシノキ。
フトモモ科マキバブラシノキ属だそうで、同じ種の色違いってことかな。
ディズニーランドにもあるそうです。
自分では植えませんが、目を楽しませてもらっています。
ありがとうございます。
読んだ時代小説三冊(文庫本) ― 2024/05/29

森 明日香 『牡丹ちる おくり絵師』
『おくり絵師』の続編。
「第一章 読売の心中絵」
おふゆは思い人であった役者の市之進の死絵を描いたことから、地本問屋からの注文が増えてきてはいたが、未だ歌川国藤のもとで家事をしながら絵の修業をしている。
ある日、おふゆは卯の屋の帰り道の両国広小路で、矢助が役者の心中を扱った読売を売っているのに出会うが、画帖を持っていたことから、読売の仲間と思われ、岡っ引きに捕まる。しかし、国藤と同心の梶原が知り合いだったため、おふゆは放免になる。
そんな時に地本問屋の佐野屋から矢助の売ってた読売に扱われていた役者二人の死絵を頼まれる。ご禁制の心中の絵を描くことに躊躇するおふゆに佐野屋は芝居の道行を描くのだと言うが…。
「第二章 宝物」
三代目助高屋高助が興行中に亡くなる。おふゆの予想通りに佐野屋がやって来て、死絵を頼まれるが、おふゆはその役者を知らないため断る。そのため佐野屋に死絵を描くつもりなら、役者や芝居を学ばねばならないと言われ、恥じ入るおふゆだった。
そんな頃、おふゆは卯の屋でおりんの友人のおせいと知り合う。元辰巳芸者のおせいは娘を亡くしていた。しばらくして、具合が悪くなったおせいにおふゆは呼び出される。
「第三章 牡丹ちる」
おふゆは芝居を見に行くために、団扇の注文や絵草紙の挿絵をどんどん引き受けている。
そんなある日、千両役者の八代目市川團十郎が上方で自害し、江戸市中が大騒ぎとなる。おふゆのもとに地本問屋がやって来て、八代目の死絵を頼むが、おふゆは断る。おふゆは国藤に自分が八代目を商いの目で見ていたと話すと、国藤はおふゆが死絵の注文を受けずに済むように謹慎を言渡す。
二百を超える死絵が江戸市中に出回る。
それからしばらくして、唐突におふゆは謹慎を解かれ、国藤から八代目の死絵を描いて詫びなさいと言われる。
一作目と比べると、感動が少なかったです。
死絵とは、「たった一度でも光が辺り、命が真っ白に輝く」、「その刹那を永遠に留め」、亡くなった人の魂をあの世は送り出すためと、死絵を見て救われる人のために描くものなんですね。
卯の屋の寅蔵とのことも気にかかりますが、おふゆの修業は続きますから、なかなか進展しないかもしれませんね。
五十嵐佳子 『想い星 茶屋「蒲公英」の料理帖<2>』
『桜色の風 茶屋「蒲公英」の料理帖』に続く二作目。
「第一話 草履と錦絵」
さゆが始めたお茶と団子の店「蒲公英」は三月めに入った。
そんな頃、若い娘の万引きが番小屋の草鞋を盗んでいった。娘は人形問屋「三枡屋」で奉公するすえで、何か理由がありそうだ。
「第二話 空蝉の証」
さゆの実家のいわし屋の主である甥の娘、鮎は内与力の伊織に思いを寄せている。
しかし、伊織は忙しく、嫁取りどころではない感じだ。
ある日、鮎はさゆのところにやって来て、鍼仕事をしていく。
そんな鮎に宗一郎という男が話しかけて来る。何物なのか?
「第三話 夕立の空」
さゆの店に昔のさゆの思い人である俊一郞がやって来て、今度、美味しいものを食べに行こうと誘う。
ある日、日本橋の漆器屋「光風堂」のひとり娘、ゆうと湯河原の漆器屋「伊東屋」の娘で伝馬町の漆器問屋「太平堂」に奉公しているちかがやって来る。
どうもちかは湯河原に帰りたくない理由があるようだ。
「第四話 煮物を作る日」
常連の乾物問屋「松葉屋」の伊兵衛が蒲公英に来なくなった。何があったのか心配するさゆたち。伊兵衛は部屋で転んで脇息に額をぶつけたと言う。
鮎がやって来て、気になっている人がいるという。それが呉服問屋「難波屋」の跡取り息子、宗一郎で、前に彼との見合いの話があり、断ったという。お針の稽古の帰り道で呼び止められ、話してみると着物の話で盛り上がり、話が合ったというのだ。
「第五話 想い星」
さゆのところに俊一郞が隠居所に移り、お妾さんを置く気じゃないかという噂が入る。まさかと思うさゆだったが、俊一郞から両国の花火見物に誘われ、行くことにする。
そして、鮎のところに見合い話が持ち込まれるが。
今回は様々な人の想いが書かれています。
なんとまあ、さゆにも隠された想いがあったのです。
それぞれの人が幸せになるといいなぁと思えるお話でした。
坂井希久子 『月草糖 花暦 居酒屋ぜんや』
ぜんやに大奥に仕えていた只次郎の姪、お栄が転がり込んで来た。
町人になりたいとは言うが、母の思いを知り、お栄は自分の身の振り方を決める。
薬種問屋「俵屋」に奉公する熊吉は岡場所の女の手紙に困っていた。
ひと月まえの藪入りの日、手代仲間の留吉から誘われ、深川松村町の路地に連れられていった。その時、熊吉の相手となったのが、お万で、熊吉は金を払ったがお万を抱かずに帰ったのだ。それ以来、お万は熊吉に執着し、手紙を寄越すようになる。よせばいいのに熊吉はごくたまに会いに行くと約束してしまう。
そんな時に、熊吉はお万が唐瘡(梅毒)に罹っていることに気づく。客にうつるから、客をとってはいけないと言うが、お万は仕事を辞められないと言う。
金のない熊吉はお万を請け出し、三十年近くも面倒を見続けることはできない。
困った熊吉は只次郎たちに相談するが…。
一方、ぜんやの娘、お花は熊吉がおしろいの匂いをさせていることに気づき、熊吉が女郎買いをしていると思い込む。
今回の主人公は熊吉です。今回のことは彼の優柔不断さが招いた災難です。
今のままではまた同じようなことが起こりそうで、心配です。
お花も十六、番茶も出花(十八ではないけど)。熊吉はやっとお花も女だと気づいたようで、次は二人が主人公になるんでしょうかね。
「おくり絵師」シリーズと「茶屋「蒲公英」の料理帖」シリーズがどういう展開になるのか、三作目が楽しみです。
新川帆立 『女の国会』 ― 2024/05/31

国民党の三世議員、「お嬢」こと朝沼侑子が自殺した。
その前日に、性同一性障害特例に関する法律の改正案が総務会で通らなかったことで、「憤慨おばさん」というあだ名の高月聲がこの法案で共闘関係であった朝沼に噛みついていたため、高月は謝罪と国対副委員長の辞任を迫られる。
しかし、朝沼が自殺したことに納得がいかない高月は朝沼の死亡の経緯を調べることにする。
そんな時に毎朝新聞社の和田山伶奈が高月に会いに来る。
彼女が高月に見せたのは、一枚のメモ紙の画像。
朝沼が亡くなる直前にメールで和田山に送って来た遺書だという。
高月は、特例法に反対したという三好顕太郎と朝沼の間で何があったのか、和田山に調べさせることにする。
高月たちが辿り着いた真相とは…。
ミステリではありますが、謎を解くということよりも、政治の世界がいかに男たちの魑魅魍魎の世界であるかに目がいきます。
例えば、こんなことが書いてあります。
「政治は男がするものだと思っている」
「女性は党の公認をとりづらい」
「(前略)女性はあくまでピンチヒッターなの。困ったときだけ、目新しい印象を与えたいときだけ、女性を入れればいい。残酷だけど、彼らの素直な感覚はそんなものよ」
「野党であれば、与党にはない新鮮さを印象づけるために女性候補者をもくろむことがある。与党であれば、野党に惨敗したあとの選挙のときに、イメージ刷新目的で大量の女性候補者を擁立することがある。いずれにしても、ピンチヒッターにすぎない」
「私たち女性は、味変(あじへん)調味料ってことですか」
「味変調味料」とは、言い得て妙。
他にも色々とリアルにありそうなことばかりで、読むほどに嫌~な気分になります。
男性政治家たちの性差別発言がどういう土壌で培われてきたのかがよくわかります。
女性議員の中にはあまり好きになれないタイプの人がいますが、彼女たちはこのようなことを乗り越えて来たのだなと思うと感慨深いです。
男たちに足を掬われないように、頑張っていってもらいたいです。
百年後の女の子たちが、「そんなひどい時代があったのか」と驚くようになることを願っています。
最後の朝沼の弔い合戦の選挙の場面にはワクワクしました。
この続きもあるのでしょうか。
「でも腹立つじゃん。男だけで権力のボールをまわしてるんだよ。女がてっぺんをとって、変えなくちゃ。他にやる人がいないなら、私がやる」という高月の活躍を見たいですね。
衆議院と参議院の中庭に鯉がいるということです。
衆議院の鯉はニシキゴイ。一度、見てみたいです。
参議院は平日のみ、衆議院は毎日、無料で見学できるそうです。
<今日のわんこ>
お昼前に晴れて、それほど暑くなさそうだったので、別々にお散歩に行きました。

紫陽花の前に行くと、クンクン匂いを嗅ぎます。
近頃知ったのですが、紫陽花には毒があるので、犬はもちろんのこと人間も食べてはいけないそうです。
兄は落ちているものを何でも口に入れてしまうので、気をつけなければ…。

右足は大丈夫でした。
紫陽花の前で写真を撮ろうとすると、おやつがないのでそっぽを向きます。

弟はお座りをしますが、兄同様、なかなか顔を向けてくれません。
前を向いたと思ったらシャッターを押しました。そうすると、前よりもいい顔で撮れました。
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