塔山郁 『薬なければ病なし 薬剤師・毒島花織の名推理』2024/07/15



「第一話 認知症と株券」
ホテルで働いているくるみが毒島に相談する。
彼女の祖母の認知症の症状が進んでおり、物取られ妄想が出てきた。
その祖母がくるみに株券をくれたという。父親はその株券を使い、いい老人ホームを探して祖母を入れようというが、くるみも母親も勝手に使っていいのかどうか迷っている。青年後見制度を使うことも考えているというのだ。

「第二話 眠れない男」
元警察官の星野栄一郎は不眠症に悩まされ、元同僚が通っていたクリニックに行く。久しぶりに医療機関にかかったので、今までとは違うことにことごとく不満をつのらせる。
どうめき薬局で待たされてイライラしたせいか毒島という苗字を見て意地悪を言ってしまう。しかし、冷静に対処する彼女と話しているうちに自分の態度を反省する。
毒島は彼と話していて、別の不眠症の原因があるかもしれないと思い、星野に薬を飲んで効き目がなければ医者と相談するようにアドバイスをする。

「第三話 はじめての介護」
青柳亮平は一緒に暮らし始めた祖母を骨粗しょう症の治療をしているクリニックに連れて行った。
新しいクリニックから出された薬を祖母が違うといい、飲みづらいとか飲むと嫌な気がする、前の薬がよかった、と毎日のように文句を言っている。
そのため診てくれた院長に薬を変えた理由を聞いてきてくれと母親に頼まれていた。
しかし、診察では飲み方が悪いのだろうとなり、結局同じ薬を処方されてしまう。どうめき薬局で毒島に祖母の話を訊いてもらうと…。

「第四話 誰にも言えない傷の物語」
毒島が公休の時に、娘が彼女にお世話になったと言って矢倉聡美がやってくる。
娘が右手の手首に包帯をしているのに気づき、リストカットをしているのかと心配したが、それは猫のかみ傷だった。それを聞いた毒島が彼女の娘にいいアドバイスをしたらしいいのだ。

「第五話 処方箋と闇バイト」
この頃、カラーコピーを使った偽造処方箋による医薬品の不正入手が増えている。
SNSで処方箋の変造や偽造のやり方や転売の方法などを事細かに教えており、それを参考に犯罪行為に手を染める子どももいる。
薬局が不正な処方箋を発見した時は、保健所や薬剤師会への情報提供と共に、最寄りの警察署に通報することも求められている。

くるみの交際相手で、作家志望の影山はフードデリバリーの仕事をしている。
ある部屋の住人に注文した品物を渡すと、知り合いに届け物をしてくれないかと頼まれ、紙袋と一緒に三千円を押しつけられる。
千夏は手軽なお金稼ぎをしようと、医薬品の転売をしようと思い、あるマンションに行く。
白いコートを着ている女性とフードデリバリーの男とエレベーターに乗っていると、エレベーターが途中で停止してしまう。地震があったらしい。
三人は作業員が来るまで閉じ込められることになる。
フードデリバリーの男は影山で白いコートの女は毒島だった。
二人は会ったことがあり、二人の話から毒島が薬剤師だとわかり、千夏はつい薬剤師は薬の転売に関わる仕事かと訊いてしまう。

「第六話 肝油ドロップとオブラート」
幼稚園児だった頃、家にあった肝油ドロップを食べたいばかりに、兄と俺はバレないように粉薬を飲むときに使う丸いオブラートを巻いて食べた。
ところが数ヶ月してからバレた。どうしてバレたのだろう。
この疑問を解いたのが毒島だった。

毒島さんがいい薬剤師なのは、患者さんの話を良く聞くからではないでしょうか。
わたしなんかは薬剤師さんとお話をすることなんかないですもの。
いつも、「お変りはないですか」、「ないです」で終わってますww。

そうそう、猫にひっかかれたら、本を読まない人もいると思いますので、載せておきます。
「猫の歯は鋭くて長いので、咬まれると細菌が筋肉の奥まで到達しやすい。軽症なら腫脹や疼痛で済むが、最悪の場合は敗血症を引き起こす危険もある」ということですので、傷の治りが悪くて、微熱が続いていたり、痛みが引かなくて腫れていたりしたら、すぐに皮膚科のクリニックに行って下さいね。

なかなか役に立つお話です。
しかし、毒島さんとホテルマンの水尾爽太との恋物語がなければないで、ちょっと残念でした。彼は新規開業するグループホテルのヘルプ要員として軽井沢に行っているそうです。

薬剤師・毒島花織の名推理シリーズの順番を載せておきます。

⑥『薬なければ病なし』

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