「シャイン」を観る2008/05/13

「シャイン」は実在する天才ピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴッドの話です。
デイビッドの父親ピーターはユダヤ人で、強制収容所の生き残りらしく、戦後オーストラリアに移住したようです。
音楽が好きで、小さいときにバイオリンを買ったのですが、父親に取り上げられてしまったという悲しい過去がありました。
そのため、独学で音楽を学び、息子にピアノを教え、コンテストで一位になることを強います。
「いつも勝たなければならない」これが口癖です。

ある日、デイヴィットのピアノを聞いた音楽教師が家まで来て、デイヴィッドを教えたいと言います。
最初は断ったのですが、ラフマニノフを弾きたいという息子の言葉を聞き、自分では教えられないとさとり、その教師に息子を託します。
そのおかげでデイヴィッドはコンテストに優勝して、アメリカ留学という話が持ち上がります。
寄付金が集まり、アメリカに行けることになるのですが、父親はデイヴィッドが自分から離れていくのが許せず、息子の夢を潰します。
その時の言い方がひどい。
「私を憎むな。人生は過酷なものだ。それに耐えて生き残れ。私の愛は誰よりも強い。他の人は信用できん。私を信じろ」

デイヴィッドは生きる屍となります。
そんな彼を救ったのは作家のキャサリンでした。
彼の音楽を「神の音楽」と言って褒め、彼の友達になったのです。
立ち直ったデイヴィッドは、王立音楽学校のスカラーシップを取ります。
ところがまた父親は反対するのです。
今度は暴力までふるいます。
「ここまでにしてやった親を捨てていくのか。この家を出て行ったら、二度と戻れない。私を愛しているなら、ドアから出て行くな。出て行くと罰が当たり、苦しむ」
息子を本当に愛しているなら、息子の望むことをさせてあげるのが親でしょう。
ところが、ピーターは違います。
自分の力のおよばないところにデイヴィッドがいくのが許せないのです。
息子に嫉妬しているのかもしれません。

イギリスに渡ったデイヴィッドはいい師に出会い、幼いときの夢であったラフマニノフのピアノ協奏曲第三番をコンクールで弾くことになります。
難曲を見事に弾きこなしたのですが、極度のストレスからか、精神的におかしくなり、オーストラリアに戻され、精神病院に入れられてしまいます。
ピアノを弾くのを医者から止められ、なんの希望もなく生きていましたが、彼のことを知っている女性がたまたま病院にピアノを弾きに来ていて、彼を引き取ってくれることになります。

その後、いろいろな人の所にお世話になりますが、あるバーにあるピアノを弾いたことから、そのバーの専属ピアニストになり、評判になります。
デイヴィッドが新聞で取り上げられ、その記事を見た父親がデイヴィッドに会いに来ますが、デイヴィッドは父親を許せませんでした。
当たり前ですよね。
彼が変なことを息子に吹き込むから、彼がおかしくなったようなものですから。

ある日、バーの女性の知り合いの星占い師、ギリアンがやってきます。
デイヴィッドとギリアンは結婚し、彼女の支えを得て、デイヴィッドはコンサートピアニストとして復帰します。

デイヴィッドはなんか強迫観念があるのでしょうか?父親のせいですね。
何度も同じことを言ったり、部屋をメチャクチャにしたり、お風呂に変な入り方をしたりと、私だったら絶対に一緒にくらせないですわ。
奥様はよく我慢していますね。天才だから、我慢できるのでしょうか?

私の中では、天才には悲しい結末が待っていると思っていたのですが、幸せな終わり方だったので、意外でした。
とにかく、父親の偏屈さに圧倒された映画でした。
ホント、何様なのあんた。自分が不幸だったからといって、息子の幸せまで奪う権利があんたにあるのか、と言いたくなりました。