内澤旬子 『センセイの書斎 イラストルポ「本」のある仕事場』&『世界屠畜紀行』2012/02/01



作家、研究者、建築家、デザイナーなどの本棚を見てみたいという願望は、本好きなら誰にもあるでしょう。
私もそうです。
誰の本棚を見たいかしら?今ちょっと思い当たりませんが。

この本は書斎の詳細なイラストと書斎の持ち主へのインタビューからなっています。文庫本版を読んだので、イラストが小さすぎて失敗しました。(といっても図書館から借りたのですが)
内澤さんがどういう人か知りませんが、彼女の書く文が結構好きです。

自宅を見せてくださる人と、大学の研究室を見せてくれる人と人それぞれ。
本棚を見られるのって自分の脳みそを見られるようですね。
こういうブログも似たようなものですね。私の脳みそが暴かれているなんて、怖いですわ。
まあ、たいしたことのない人間ですからいいですかぁ。

昔は山関係の本を持っていて、それを見た古本屋さんがこういう本は高いんですと言っていたことを思い出しました。
今は軽い本ばかり読んでいるので昔ながらの古本屋さんには売らずにブックオフを利用しています。
前の家では本棚が足りなくて床の上に置いてある本もありました。引越を期に本を持たないことにしました。必要なら買えますもの。
この本に出てくる人たちはすごいです。彼らのような書斎が欲しいです。書斎に普通の人はあれほどのお金をかけられ、いえ、かけようとは思いませんよね。
一軒家に住めたら書斎を作りたいですが、東京に住んでいる限り無理そうです。

読んでいてロシア語の通訳でエッセイストでもある故米原万理の言葉にその通りと言いたくなりました。

「CD-ROMやインターネットだけだとやっぱり視野が狭くなるんですよ。自分の選んだ項目しか出てこないでしょ。電子メディアは。ところが紙の媒体だと全然読むつもりのないものがついでにパッと目に入ってくる」

語学の学習でも今は電子辞書が主流です。私も使っていますが物足りなくて紙の辞書をよく引きます。今の若い人たちは電子辞書に慣れてしまって、何でもすぐにわかることが当たり前になってしまっているように思います。
道草をしなくなったというんでしょうか。
手をかけてグダグダやるのが面白いんですけどね。


二冊目の『世界屠畜紀行』は色々なところで紹介されている本です。
読んでみたいと思っていたので、たまたま図書館にあったので借りてみました。実は『センセイの書斎』を書いた人と同じ作者だとは知りませんでした。イラストを見て気づきました。

何故日本では食肉処理にたずさわっている人は差別されているのか。
この疑問から彼女は屠畜現場へ出向くようになったようです。(何故屠殺でないのか、本読んでね)
韓国、バリ島、チェコ、エジプト、モンゴル、アメリカ、そして日本の沖縄、東京の中央卸売市場食肉市場内芝浦屠場と自腹で出かけています。

彼女のすごいところは、屠畜現場を見ても目をそむけず、なんと自分もやってみたいとまで思うところです。
彼女のブログを見ると、今、実際に豚を飼っているようです。本の中で家畜を飼って自分で屠畜したいと言っていましたが、実行したのですね。

そういえば私もインドで肉にするために鳥の首や羽を斬られたり、寺院で神様へのいけにえとしてヤギが殺されるのを見たことがあります。その時、気持ち悪いとか全く思いませんでした。
なんというのでしょうね。人間が生きていく上での当たり前の行為のように思いました。私って普通の人と感覚が違うのでしょうか?

自分たちの食べているものがどうやって作られているのかを知ることは必要なことです。パックされた肉だけでは何もわかりませんものね。
命をいただくということをしっかり心に刻みたいものです。

屠畜だけで宗教から社会、文化、差別問題まで網羅するということがとても面白いと思いました。
これから買う人は文庫本よりも単行本を買うことをお勧めします。
なにしろイラストが小さくて、大変ですから。

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