夏川草介 『神様のカルテ 3』2012/08/11



発売日に買ってきました。
映画は見ていませんが、どうだったのでしょうか。
神様のカルテ 2』では医師の良心について話していた一止が、今回は岐路に立っています。
今までのような医療を提供するだけでは駄目であると思い始めるのです。

相変わらず病院はてんてこ舞い。
消化器内科に小幡奈美という医師が加わります。彼女は人当たりがよい切れ者の美人の女医。
一止はありがたいと思っていたのですが、どうも彼女、ある特定の患者に対して最低限の治療しかしていないようです。
その真意はなんなのか。
彼女の言葉を聞き、一止は反発を感じつつも、自分の限界を悟り始めるのです。

「我々の仕事は常にゼロか百かのどちらかです」
「たとえ1パーセントでも患者の命を奪う疾患が疑われるなら、我々はそこに百パーセントの力を注ぐんです。そして、すべての責任を負うんですよ」

「みんな医者を便利な小道具か何かと勘違いしてるのよ。昼も夜も働かせて、土曜日も日曜日も呼び出して、散々頼っておきながら、ミスを犯したと知った途端、あっさり掌を返して、やっつけようとする。こんなことしていたら、真面目に働く医者から順に、こわれていっちゃうわ」

人の命を扱う医師という仕事の厳しさ。
その厳しさに負けずに働いている医師たちに尊敬の念を感じずにはいられません。
私にはとてもじゃないけれどできませんわ。

一止のこれからの医師としての成長が楽しみになってきました。