幸福について考える二冊2012/08/13

お盆なので電車が空いていることを期待していったら、全然空いていません。
今は休みもお盆をずらして取る人が多いのかもしれませんね。


ニッポン・ビューティー』で知った渡辺さんの本です。
この本、結構読まれているようです。書店に行くと、目立つところに置いてあります。何が人を引き付けるのでしょうか?

渡辺さんは今年で85歳。
シスターは世の中から超越しているように思いますが、それでも色々と心が波立つこともあったようです。

この本の中で一番私の心に残ったのは、「ほほえみをたやさないために」という章です。
三十代後半で四年制大学の学長になった筆者は、教職員や学生からあいさつされるのが当たり前と考え、そうしない相手に”いきどおり”を感じていました。
それから「ほほえみ」という詩に出会って、自分から相手にほほえみかけるようにしたそうです。
ところがそのほほえみを無視する人もいたそうです。
普通の人なら腹をたてて、無視する人にはほほえみかけないようにするでしょう。
渡辺さんは違いました。
そういう人にいきどおらず、「今のほほえみは”神さまのポケット”に入ったのだ」と考えたのです。
「思い通りにならないときもある。いきどおらず、視点を変えてみる人になろう」
こう考えると、腹も立ちませんね。

いつも「ほほえみ」を絶やさない人でありたいと思いました。


渡辺さんの本は素直にこういう人になりたいと思える内容でしたが、五木さんの『新・幸福論』は副題にあるように「青い鳥の去ったあと」、絶望の中からどう幸福を探すかに重きを置いてあります。

東日本の大災害と原発事故の後、私たちは「決して幸福ではないが、それほど不幸を感じてもいない」「幸せと不幸のあいだの、空白地帯のようなところにふわふわと漂って」いると五木は言います。

彼の描く未来は・・・。
日本は高齢化していき上流と下流という二分社会になり、カジュアルなニヒリズムが人々のこころに広がっていくであろう。
「長寿地獄」という事態が出現し、尊厳死を考えるべき時がきつつある。

そういう社会で私たちはどう生きていけばいいのでしょうか。

「日常のなかで自分の好きなこと、そのことが自分にとってすごく気持ちがいいとか、自分が幸福感を感じることをもっと大事にしなくてはいけない」

「小さな幸福感」と五木は言っていますが、そういえば聖路加病院の院長、日野原さんも同じことを書いていました。
人間の幸福の根源に戻るということなのでしょうね。