アガサ・クリスティ 『アクロイド殺し』&『ビッグ4』2022/09/11

ポアロ・シリーズの三作目と四作目を読みました。


『ゴルフ場殺人事件』でシンデレラと結婚したヘイスティングズは、アルゼンチンに行ってしまい、ポアロは淋しがっています。
ヘイスティングズがいないので、今回の語り手はキングズ・アボット村の医師ジェームズ・シェパードになりました。
彼は村のことなら何でもお見通しの姉のキャロラインと一緒に住んでいます。
村には二つ、大きなお屋敷があります。
そのお屋敷の一つ、キングズ・パドックに住んでいるフェラーズ夫人ともう一つのお屋敷、ファインリー・パークに住んでいるロジャー・アクロイドが結婚するのではないかと村では噂になっています。

ある日、フェラーズ夫人が、睡眠薬ヴェロナールの過剰摂取で亡くなります。
シェパード医師が呼び出されましたが、手のほどこしようがありませんでした。
その日、シェパードは相談したいことがあると、アクロイドから夕食に招かれます。

その頃、シェパードの隣の家、からまつ荘にポロット氏という外国人が引っ越ししてきました。
カボチャの栽培に興味があるという、引退した理容師みたいな男です。
シェパードが庭でタンポポの根を抜いていると、カボチャが飛んできました。
ポロット氏がカボチャに腹を立て、投げ飛ばしたんだとか。
恐ろしや~。
カボチャのことがきっかけとなり、シェパードとポロット氏は仲良くなり、彼からアクロイドの姪のフローラと亡妻の息子のラルフが婚約したと聞き出します。

ファインリー・パークに行き、食後、アクロイドから話を聞きくと、フェラーズ夫人が夫のアシュレーを毒殺したと告白し、すべてを知っている人物から脅迫され、大金をまきあげられていたとのこと。
アクロイドはその人物が自分の家庭内にいるのではないかと疑っていました。
シェパード夫人は亡くなってしまいましたが、アクロイドは何か彼宛に書き置きを残したにちがいないと確信していました。
そこに郵便物が届きます。
その中にフェラーズ夫人からの手紙があり、アクロイドは一人で読むと言ったので、シェパードは家に帰りました。

その夜、シェパードにアクロイドが殺されているのが発見されたという電話がきました。
急いでファインリー・パークに行くと、いたずら電話だということがわかります。
アクロイドが無事かどうか確認しに行くと、扉には鍵がかけられており、名前を呼んでも返事はなく、ドアを壊して部屋に入ると、アクロイドは背後から刺されて亡くなっていました。

次の日、シェパードの家にフローラがやって来て、いっしょにからまつ荘に行って欲しいと言います。
シェパードが理容師だと思っていた男は、有名な私立探偵のエルキュール・ポアロだったのです。
シェパードは成り行きからポアロの助手として、いっしょに捜査することになります。

意外な犯人で、全く予想できませんでした。


ヘイスティングズ、再登場。
彼がいないと、ポアロ・シリーズもつまんないですね。

ヘイスティングズはフランスで用件を片付け、一年半ぶりにロンドンに帰ってきました。愛する妻は南米に置いてきました。
ポアロを脅かそうと、帰国のことは内緒にしています。
今やポアロの名声は高まり、コンサルタントとしてあちこちから依頼が来ています。

ポアロのフラットに行くと、これから南米に、それも一時間後に、行くと言います。
アメリカの石鹸王エイブ・ライランドからリオの大会社をめぐる大がかりな詐欺行為の調査を依頼されたのです。
話をしていると、寝室に誰かがいる様子。
ドアが開き、埃まみれの憔悴した顔の男が現れました。
彼はどうも話ができないようです。
紙切れと鉛筆を渡すと、「4」という数字を書きなぐり、しばらくしてから、リー・チャン・イェンは”ビッグ4”の知力を代表する、ナンバー・ワンと呼ぶにふさわしい男、ナンバー・ツーはドルの符号で代表されるアメリカ人で富の力の代表、ナンバー・スリーはフランス人女性、地下の世界の魔女の一人らしい、ナンバー・フォーは殺し屋…とつぶやきました。

とりあえず、彼をフラットに寝せておき、ヘイスティングズはポアロをサウサンプトンまで見送りに行くことにします。
しかし、列車が信号で一時停車したとき、ポアロはいきなり列車から飛び降りるように命じます。
きわめて巧妙な手段によって、自分が厄介ばらいされるところだったと言うのです。
仕組んだのは、ビッグ4と呼ばれる国際的犯罪組織の天才的犯罪者たち。

フラットに戻ると、男は窒息死の兆候を見せ、死んでいました。
そこにハンウェルの精神病院から来たという介護士が現れます。
死んだ男は病院に二年収容されていたと言います。
彼は死体を引き取る手配すると言って帰っていきました。

その数分後にやって来たジャップ警部は死んだ男は秘密情報部員のメイアリングだと断定します。
彼は五年前にロシアに行ったきり、消息が知れなくなっていたのです。
メイアリングは危険を察し、部屋にあった時計を四時にしていました。
精神病院に問い合わせると、脱走した患者はいないそうです。
介護士と言っていた男はナンバー・フォーの殺し屋なのか…。

このことを発端に、ポアロとビッグ4の生死を賭けた対決が開幕します。

相変わらずのポアロとヘイスティングズ。
彼らの友情は素晴らしいのですが、ヘイスティングズは素直なので顔にすぐに出てしまうからって、ポアロは何でも秘密にし過ぎです。
可哀想なヘイスティングズ。何回騙されたことか。
ビッグ4はあまり怖く思えませんでした。
今と比べると行けないのでしょうが、戦い方がちゃちですわ。
ポアロと戦うよりも、彼を組織に入れ、自分たちの味方にした方がよくないですかぁ、笑。

ヘイスティングズ、妻を南米に置いてきぼりにして大丈夫?
そろそろロンドンに帰ってこようよ。

ポアロ・シリーズはミステリーというよりも、ポアロとヘイスティングズの二人のかけあいを楽しむお話に思えてきました。
続けて出版された順番に読んでいきますわ。