S.J. ローザン 『冬そして夜』2008/07/06

この本はアメリカ探偵作家クラブ賞受賞だそうです。
このシリーズは、がっかりさせられることのないシリーズです。
ビルはどんな生い立ちをした男か、まったくわかっていませんでしたが、今回で少し彼の育った家庭がわかります。

父親はDVをやっており、殴られて死にそうになったビルが警察に訴えたために、父親は刑務所に入ります。
その頃、家が嫌になった妹ヘレンは家出をし、行方不明になり、それ以来数回しかビルはヘレンに会っていません。

11月の深夜、警察から呼び出され、警察署に行ったビルは甥のゲイリーと再会をはたします。
ゲイリーはやることがあるからと言って、詳しい理由は言わずに、ニューヨークに来たのです。
家に連れてきたのですが、ゲイリーはビルの家から逃げ出します。
ゲイリーのことが心配になったビルは、妹家族がどこに住んでいるのかを突き止め、妹に会いに行きます。

ヘレンの夫スコットはビルを毛嫌いしており、たまたまビルが訪れたときには、ゲイリーを探しにニューヨークに行っており、会わずにすみました。
甥一家の住んでいるワレンズタウンは、フットボールの盛んな町でした。
フットボール部員は特別扱いされており、何をやっても大目に見てもらえます。
スピード違反、飲酒、放尿、いじめ、なんでもOK。
ゲイリーはそのフットボールをやっていました。

ビルがゲイリーの通っている高校を調べ始め、一時ゲイリーと付き合っていたと言われる少女をつきとめます。
少女に会いに行くと、親がいない間に、パーティをやっており、家はメチャメチャになっていました。
警官を呼んで家を調べてもらうことにしますが、「Parents-are-away party」、PAAPと呼ばれていて、この町の伝統だとのこと。
とりあえず、家の中を調べてもらうと、少女は死体で見つかります。
どうもこのパーティに、フットボール部員が関係しているようですが、誰もパーティに参加したとは認めません。

この町には23年前に、少女がレイプされ、殺されたという事件がありました。
あるフットボール部員が犯人と思われていたのですが、その後、別の少年が自殺をして、自殺した少年が犯人とされ、事件は解決されていました。
23年前の事件と今回の事件はどう繋がりがあるのか。
そして、ゲイリーは何のために、姿を隠したのか。

アメリカのフットボールは盛んだと聞いていますが、それがこれほどまでにもなっているのかと思える内容です。
メジャーのスポーツ選手はいけてて、他の奴は「変人」として蔑む。
こんなんで健全な若者の成長がありえるのかと思います。
まあ、アメリカのどこの町もこうだというわけではないのでしょうが。
事件は思わぬ方向へ。
これ以上書くとネタバレになるので、いつもと同じように中途半端ですが、終わりにします。

とにかくお勧めの一冊です。

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