アメリカン・バレエ・シアター 「白鳥の湖」を観る2008/07/25

や~、昨夜の白鳥、よかったです。
何故「白鳥の湖」が「古典中の古典」と言われているのかがわかりました。
私のバレエの知識は主に漫画から来ています。
『ドゥダダンシン!(ヴェネチア国際編)1・2』をこの前読んだのですが、25歳の遅れてきたダンサー、桜庭鯛子がヴェネチア国際にでるためにと、愛子先生が選んだのが、この白鳥でした。
「古典を極めた者こそ どんなダンスへも行けるのです。その逆はありません」と言う愛子先生です。
自他共に認める我の強い鯛子が、「私」を捨てて白鳥という役にならなければならないのですが、それはできないと悩む鯛子。
相手役の龍一は「役の中に自分の真実を見つけて 本物の感情を乗せた時 時代や人種を越えて人を感動させられる。くだらない自我を捨てた時 はじめて本物の個性が表面に出てくるんだ」と鯛子に言います。
う~ん、すごい。

さて、実際の白鳥は…。

オデット/オディール:イリーナ・ドヴォロヴェンコ
ジークリード王子:マキシム・ベロセルコフスキー
ロットバルト:ロマン・ズービン、ゲンナジー・サヴェリエフ

見ておわかりのように、今回はロットバルトに特別な役割が与えられています。
二人のダンサーが演じ分けているのです。
不細工な悪魔と見目麗しい紳士。
どこでどう替わるのかを見るのも楽しみのひとつです。
不細工な悪魔君の方はあまり見せ場がなくて、かわいそうでしたが、笑。
オデットと王子は、名前を見ておわかりのように、出身がウクライナ共和国のキエフで、なんと夫婦です。
キエフ・バレエ仕込みの白鳥です。
パンフレットにお子さんがいると書いてありました。
でもイリーナさんは、そんな風には全く見えませんでした。
軽々と踊っています。
手の表情が豊かで、なんと書いたらいいのかわかりませんが、天の方へ身体が伸びていくような感じがしました。
決めポーズが美しいです。

ここで、またまた私の勘違いを書かなければなりません。
「瀕死の白鳥」って、「白鳥の湖」とは関係なかったのですね。
いつ踊るのかと待っていましたが、ありませんでした。ハ・ハ・ハ。

「白鳥の湖」のプロローグで、オデット姫が悪魔ロットバルトに魔法をかけられてしまいます。
第一幕は王子の誕生日の祝宴です。
21歳になり、王妃に石矢を贈られ、明日の舞踏会で花嫁を選ぶようにと念を押されます。
気ままに暮らすのも終わりかと、気が滅入った王子は森に出かけます。
第二幕。王子は湖畔で一羽の美しい白鳥を見かけます。
その白鳥はやがて美しい娘に変身します。
王子は出ていって、何故そのような姿になったのか説明してくれるように頼みます。
オデットは自分の運命について王子に語ります。
この第二幕と四幕の湖畔の場面がいいです。
何羽もの白鳥になったバレリーナ達が美しいこと。
第三幕。大広間で舞踏会が始まります。
そこにロットバルトが娘のオディールを連れてやってきます。
王子はオディールに惑わされ、彼女と結婚すると宣言してしまいます。
ここであの有名な黒鳥の踊りが。軽々と32回転をしました。
第4幕。王子は湖畔に行き、オデットに許しを請います。
オデットは自ら命を絶たなければ、永遠に白鳥のままであることを告げます。
王子は彼女と一緒に死ぬと宣言します。
ロットバルトが現れ、二人を脅しますが、二人は湖に身を投げてしまいます。

最後の場面は二通りあり、もともとは悲劇で終わるのですが、ハッピーエンドもあるそうです。
私は悲劇の方が好きです。
王子の優柔不断ないい加減さが、悲劇を生み出したようですから。
まあ、仕方ないわね。
彼が王様になると、国も滅びそうなので、よかったかもと思う私は冷たいですかね。

今回は奮発して、S席、前から9列目だったので、人の頭も邪魔にならず、とってもよく舞台が見えました。
だからという訳ではないと思いますが、いい舞台だったと思います。
キャストが毎日替わっているようなので、他の人のも観たかったのですが、先立つものが続きません。
バレエ鑑賞が趣味になると、大変。
次から次へと、いいバレエ団が来日するんですから。
あ、そうそう。この前いた髪が邪魔だった女性、昨日もいました。
あの髪型、めったにいないもの。切ってやりたい、笑。