村上 春樹 『遠い太鼓』2011/05/19


村上春樹が1986年秋から1989年秋まで、37歳から40歳までイタリアに暮らしたことを書いたエッセイ集です。
彼の書いた各国比較がとっても面白かったです。

例えば、
ドイツ人・・・世界一旅行好き。特殊能力を持っていて、ひとつは何でも美味しそうに食べるという 能力。もうひとつはどんな季節にも日光浴ができること。
カナダ人・・・世界一暇。
オーストラリア人・・・カナダ人に次いで世界で二番目に暇。
イギリス人・・・だいたい顔色が悪い。
北欧人・・・ドイツ人からタフさを抜き取ってこころもち空想的にしたような顔つき。
フランス人・・・すばしっこそうで何となく皮肉っぽい顔つき。
オランダ・ベルギー人・・・ちょっと人懐っこい。

ふ~ん、どうなんでしょう。
私が旅行に行った時は西洋人の違いなんてわかんなかったです。
カナダ人とオーストラリア人が暇だなんて、こんなこと書いて怒んないでしょうか。そういえばアメリカ人についての記述がなかったですね。アメリカ人ってどこにでもいるという感じですが、どうしてでしょう。

もっとすごいのがイタリアについてです。

「もしギリシャで困ったらとにかくGNTO(ギリシャ政府観光局)に行く。もしイタリアで困った目にあったら、あっさり諦めるのが利口である」(ギリシャは村上さんのお気に入りです)
「首相が毎年替り、人々が大声でしゃべりながら食事をし、郵便制度が極端に遅れた国」
イタリア車は表情があり、「ちゃんと動けば、とても楽しい」(イタリア車でオーストリアを走ると「オーストリア自動車修理工場巡り」になったそうです)
「ムッソリーニの唯一の失敗はイタリア人の戦争能力を過大評価したことだな。イタリア人に戦争なんかさせたらおしまいだよ」(イタリア人が言ってます)
「自慢じゃないけれどイタリア人は税金なんてほとんど納めないんだよ」(これもイタリア人)

郵便が届かないのはイタリアだけではないです。インドもひどかった。郵便局で消印を押されたものは届きませんでした。ちゃんと自分で切手を貼ったのは届いていましたけれど。郵便局員がお金を着服しているらしかったけれど、今もそうかしら?

眼科の前の主治医がイタリアには緑内障患者が少ないと言っていました。本当に村上さんが書いたような国だったら、何事も気にせずに生きていかなきゃ精神的に駄目になりそうですね。
幸運(かな?)なことにイタリア人の知り合いはいません。
旅行するにはローマは色々と大変らしので、トスカーナなどの田舎に行くのがよいのでしょうか?

村上さんには阪神淡路大震災のことを書いた『神の子供たちはみな踊る』があります。この前読み返しましたが、前に読んだ時ほどいいと思いませんでした。時が経つと指向性も変わるのですね。
今回の東日本大震災について彼が何を書くのか、楽しみにしています。

最後に村上さんが語る旅行についての文を載せておきましょう。

「旅行というのはだいたいにおいて疲れるものです。でも疲れることによって初めて身につく知識もあるのです。くたびれることによって初めて得ることのできる喜びもあるのです。これが僕が旅行を続けることによって得た真実です」

この頃くたびれる旅行ってものをしてませんわ。

そうそう、ギリシャには「死に犬現象」なんてものがあるんですって。
ギリシャの犬は暑いと「石のごとく」眠り、ぴくりとも動かない。町の人は生きてるのか確かめるらしいです。
一度見てみたいです。いいえ、寝ている犬の上に石でも落としてみたいですわ。
もちろん冗談です(笑)。

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