時代小説、4冊 ― 2021/07/04

五十嵐佳子 『むすび橋 結実の産婆みならい帖』
江戸時代の産婆さんの仕事はどんなものだったのかと思い読んでみましたが、あまり昭和の産婆さん(私の祖母)と違ってはいないようです。
幕末の江戸で、21歳の山村結実は祖母・真砂の指導の下、産婆見習いとして働いています。
真砂は母方の祖母で、産婆として四十年以上も赤ん坊をとりあげていました。
結実は十四歳から真砂の家に同居し、ひとつ年上のすずとともに、産婆になる修行を続けています。
結実の実母・綾は安政二年の地震で亡くなっており、結実は叔母の絹と真砂に育てられました。
絹は綾の夫だった医師の山村正徹の後添えに入り、結実の義母になり、後に弟の章太郎が生まれました。
結実が産婆になろうと決めたのは母の死と関係していました。
出産は命がけと言われ、今よりもずっと出産で亡くなる母と子が多かった時代に、様々な事情を抱えた母子の出産に立ち会い、若い結実は何を思うのでしょう。
結実の産婆としての成長物語です。
髙田在子 『まんぷく旅籠 朝日屋 なんきん餡と三角卵焼き』
元火付盗賊改の怜治に拾われ、旅籠「朝日屋」で板長・慎介の下で働くことになったちはるですが、困っていました。
というのも、仲買人の哲太が魚を売ってくれないからです。
彼のところの魚はとっても生きが良く、立派なのです。
どうも慎介と哲太の間に何かあるようです。
その他にも百川の料理人に朝日屋はしょせんは旅籠で「百川と同じ土俵にあがれると思うな」と言われるし…。
前途多難?
怜治とちはるは評判を呼んだ『玉手箱』を改良していくことにします。
さて、料理はみんなに気にいってもらえ、旅籠にお客が来るのでしょうか。
鷹井伶 『お江戸やすらぎ飯 芍薬役者』
大火事で7歳の時に親とはぐれた佐保は吉原の郭で育ち、今は医学館で賄い手伝いをしながら、病人のための料理人になるべく勉学修行中です。
佐保は白丸屋の娘・お鶴に誘われ、澤田夢之丞のが八重垣姫を演じる芝居見物に行くことになります。
そこには幼馴染みの颯太が女と一緒に来ていました。
颯太は夢之丞と懇意な間柄で、夢之丞の具合が悪いのを心配していました。
夢之丞は医者嫌いなので困っていましたが、たまたま父を診てくれた瑞峰が大見世玉屋にやってきたので、相談すると、佐保を行かせてはどうかと言われます。
さて、佐保は夢之丞に何を食べさせるのでしょうか。
吉原で火事が起こり、身請けが決まっていた花魁・玉紫が大やけどをしてしまいます。身請けの話もこれまでかと思われたのですが…。
一方佐保は吉原の火事をきっかけに両親のことを思い出します。
そして…。
鷹井伶 『お江戸やすらぎ飯 初恋』
失った記憶を思い出し、父と再会した佐保。
武家の娘であることがわかり、周りは戸惑っています。
そんな頃、また芝居見物に行くことになります。
行くのは稀代と瑞峰、元堅、佐保、そしてお旗本のお嬢さま。
そうです、元堅のお見合いです。
耕三郎の妻を奪い、彼の右手を切り落とした仇が現れます。
耕三郎はその仇の看護をすると言い出します。
彼の真意は…?
「初恋」ですから、もちろん佐保は胸キュンしますが、それは恋と言えるかどうか…という淡い思いです。
なんか父親との再会があっさり過ぎて、もっと膨らませてもいいんじゃないのと言いたくなりました。
それに元堅や颯太の恋も上手くいかなくて、こういう時代小説には珍しいパターンです。
薬膳料理もあまり美味しそうに見えないですねぇ。あ、当たり前か。
というわけで、一番のお勧めは『むすび橋』です。
江戸のお産婆さんの話でも読んでみようかしらと思ったら、どうぞ。

この頃、甘えん坊になった兄。
今朝も部屋から逃げ出してママの所に来ました。
部屋に帰すと、また出ようとします。
逃げ出せないようにしていたのですが、もう大丈夫かと思って油断していると、ちゃんと違う逃げ出せるところを探します。
犬は人間の二三歳の知能があると言われていますが、意外と頭がいいですね。
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