アイルランドの映画を観る2023/05/11

アイルランドが舞台の映画を二本観ました。
まず最初が「イニシェリン島の精霊」。


1923年、アイルランドでは内戦が起きていた。
しかしイニシェリン島では平和な毎日が続いていた。

パードリックは毎日年上の友人のコルムを迎えに行き、一緒にパブで酒を飲みながら馬鹿話をするのを日課にしていた。
ある日、いつものようにコルムを迎えに行くと、コルムは答えず、窓から覗くと座って煙草を吸っていた。
妹のシボーンに話すと、兄さんが嫌いになったのかもと言われ、もう一度パブに行ってみるように言われる。
パブに行くとコルムは来ていなく、店主に喧嘩したのかと聞かれる。
再度コルムを迎えに行くと、彼はレコードをかけたまま出かけていて、遠くに歩いている姿が見えた。
パブに戻るとコルムがいたので、彼のテーブルに座ろうとすると、コルムは向こうに行けと言う。
先にここにいたのは自分だと反論すると、コルムは外に行って座る。
コルムに理由を聞くと、「お前は何もしていないし何も言っていない。ただお前のことが嫌いになった」と言うだけ。
その日からコルムはパードリックを無視するようになる。

無視されると追いかけてしまうのは人の常。
パードリックはしつこくコルムに迫る。
そうするとコルムはこのまま年を取るのが恐い。残りの時間を思考や作曲に使いたい。お前のつまらない話に時間を取られたくないとパードリックに告げた。

妹のシボーンがコルムに文句を言いに行くと、コルムはパードリックが退屈で、もう退屈に耐えきれなくなったと言う。
シボーンがこの島には退屈しかない。退屈以外に何を求めるのかを聞くと、コルムは「静けさだ。心の安らぎだ。君ならわかるはず」と答える。

素朴で気のいいパードリックはコルムのことが理解できない。
シボーンは読書家で、今は兄の世話をして暮らしているが、たぶん親が亡くなるまでは本土で司書の仕事をしていたように思われる。
コルムはパードリックより大分年上で、音楽家として各国を回り、その後故郷の島に戻って来たのだろう。
シボーンにはコルムの気持ちがわかる。それは彼女が普段感じていることだから。
でも兄の気持ちを考えると…。

コルムと変わり者のドミニク、そして妹以外に友だちのいないパードリックは納得がいかず、コルムにしつこく絡んでいく。
とうとう怒ったコルムはパードリックにお前が話しかけるたびに1本ずつ指を切っていくと宣言し、本当に指を切り、パードリックの家のドアに指を叩きつけていく。

段々と二人の行動は過激になっていく。
やがてシボーンもドミニクも去って行き、一人残されたパードリックが大事にしていたロバも…。

大人げない二人だとは思いますが、私には二人の気持ちがよくわかります。
どちらかといえばコルム派ですが、笑。
でもどうして指を切断するという極端な行動を取ったり、どちらかが死ぬまでこの戦いを続けていくというように拗れてしまったのかが理解できません。
自然は変わらず、そのままで、人間たちのやることは愚かとしか言えません。

この映画は小さな諍いを描いていますが、アイルランドの内戦の寓話だとも言われています。

美しい島の風景と可愛いロバと犬を見るだけでもいい映画です(私にはね、笑)。
ロバのジェニーは人の言葉もわかるし、頭がいいですよww。



1969年、北アイルランドのベルファストで生まれ育ったバディは9歳。
愛する家族と隣人たちと幸せな生活を送っていた。
しかし8月15日、バディのすむ地域にプロテスタント系の武装集団が現れ、カトリック系の住民を襲撃する。
それ以来同じ町で暮らしていたプロテスタント系住民とカトリック系住民の対立が
激しくなっていく。

バディの父親(パー)はロンドンに出稼ぎに行って、たまに帰ってくるという生活をしていた。
家族のことを心配し、一家全員でロンドンやオーストラリアなどに移住しようと言うが、母(マー)は住み慣れたベルファストから離れるつもりはない。

ある日、プロテスタントの暴徒がカトリック教徒の経営する雑貨店を襲撃し、略奪を繰り広げる。
この時その場にいて怖い目にあったバディとマー。
このことをきっかけにマーは真剣にベルファストを離れて新天地に移り住むことを考え始める。

しょっぱなのカラーの現在のベルファストから白黒の1969年のベルファストになっても違和感がありませんでした。モノクロ画面が綺麗です。
監督のケネス・ブラナーはベルファスト出身で、自伝的な映画だそうです。

無邪気な幼いバディの目を通し、北アイルランド紛争を描いた作品です。
子どもたちの目の輝きを消してはいけません。
争いはどこでも起こりうるし、どんな理由があってもやってはいけないことなのです。

お勧めの映画です。
どちらも共に映画館で上映していませんが、ネットで観られます。

コメント

_ ろき ― 2023/05/11 21時09分57秒

ロバと犬が可愛い映画でしたね。人間って、アホだなあ。

ケネス・ブラナー、ベルファスト出身だったんだ。大物を輩出している不思議な国ですね。1年くらい住んでみたいかも。言葉の聞き取りが難しそうですが。

_ coco ― 2023/05/11 23時50分26秒

ろきさん、ホント、人間って愚かですねぇ。
ロバって利口なんですね。飼いたいわ。

アイルランドって何故か惹かれますね。
ダブリンには行ったけど、ベルファストは行っていないので、是非住んでみてください。遊びに行きますよ。

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