近藤史恵 『ホテル・カイザリン』2024/01/12

ずっと前に非常食を買って置いておいたので、賞味期限がどうなっているのか確かめてみました。
そうすると、ビスケットなどは昨年の10月ぐらい、アルファ米は今年の1月、パンの缶詰は2月に期限が切れます。気づいてよかったわ。


ネットで調べると、ビスケットなどは期限が切れても六ヶ月ぐらいは食べられるというので、ビスケットを食べてみました。全然大丈夫です。
アルファ米は別の容器に入れてお湯を入れると、米の芯が残りました。
おかしいと思って作り方をよく見てみると、お湯の場合は15分、水の場合は60分待つそうです。作り方をよく読みましょうねww。
量が多いと思ったら、お茶碗で軽く二杯分で、意外と美味しかったです。
これからしばらくランチは賞味期限切れの非常食になります。

うちの場合はわんこたちがいるので、避難所には行けないと思いますので、どう避難するのか、考えておかなければなりません。



近藤さんの本は好きなので、新刊がでたら読むようにしています。
この本は長編小説だと思って図書館に予約したら、八篇の短編集でした。
実は私はあまり短編小説って好きじゃないんです。
この前、原田マハさんの『黒い絵』は二篇ぐらい読んでパスしてしまいました。
ダークなのは嫌いですもの。
この本もどうかと思って読み出したら、最後まで読んじゃいました。

「降霊会」
学園祭実行委員だったが、家の都合で学園祭当日までの一週間を休んでいたぼくは、幼馴染みの宮迫砂美がペットの降霊会をやるということを聞き驚く。砂美が何を企んでいるのか、心配になったぼくは降霊会に参加することにする。

「金色の風」
幼い頃からやっていたバレエを止めたわたしはフランス語を学びにパリに行く。
パリでベガという犬とランニングしていた女性と知り合い、わたしも走ってみることにする。
走っているうちに、わたしはあることに挑戦することにする。

「迷宮の松露」
わたしはモロッコにもう二週間も滞在している。
思い出すのはわたしを育ててくれた、美しい祖母のこと。
ある日、道に迷った日本人夫婦に話しかけられる。
ホテルまで送ってあげた翌日、お礼にもらったのが松露。
それは祖母との思い出のお菓子だった。

「甘い生活」
わたしは子どもの頃から誰かのものが欲しくなるタチだ。
しかし、誰かのものを欲しがるのはよくないことと知ってから、上手く立ち回る方法を考えた。
小学校の六年生の時、沙苗が持っていたオレンジ色のボールペンがどうしようもなく欲しくなったわたしは…。

「未事故物件」
植野初美は東京に引越し、一人暮らしを始めた。
それからしばらくして、朝の四時から洗濯機の音が聞え始めた。
管理している不動産会社に苦情を言うと、上の階は空き室だという。
音は一体どこからしているのか?

「ホテル・カイザリン」
ホテル・カイザリンはわたしのお気に入りのホテル。
わたしは毎月好きなマクベスの部屋に泊まる。
そんなある日、よく見かけていた女性のひとり客と知り合い、意気投合し、都合がついたら同じ日に泊まろうということになる。

「孤独の谷」
大学で風土病を研究している白柳は、『文化人類学Ⅰ』を履修している波良原美希から相談を受ける。
それは彼女が九歳の時に養子として引き取られた纏谷村に住む家族に関する妙な噂のことだった。「纏谷という村に住むものは、たったひとりで死ぬ」というのだ。
実際に彼女の父が謎の死を遂げていた。
興味を持った白柳はヘルシンキでの学会を終えた後、美希の叔母に会いにラトビアまで行ってみる。

「老いた犬のように」
ぼくは小説家。ぼくのミューズ、妻の葵が出ていってから書けなくなっていた。
彼女はぼくの半身で、優しい人だったはず、なのに…。
ある日、SNSでリプライしてきたハンドルネーム「南風」さんと、いつも行く喫茶店で、偶然話すことがあった。
行きがかり上、彼女の書いた短編を読んでアドバイスをすることになるが…。

しょっぱなからいや~な感じの終わり方だったので、イヤミスでいくのかと思ったら、違いました。
多彩な近藤さんの色々な面を見させてくれます。ダークサイドに寄ってますけどね。
八篇の中で、私は主人公が再生するお話の「金色の風」とモロッコの異国情緒漂う「迷宮の松露」が好きです。
松露って和菓子なんです。食べたいわぁ。
読みながら、そろそろ外国に行きたいなと思いました。

表題の「ホテル・カイザリン」はこんなホテルがあったら泊まりたいというものです。
明治時代の洋館を改装した、各部屋には創業者が好きだったシェイクスピアの戯曲の名前がついているホテルだそうで、主人公が泊まったマクベスの部屋はくすんだ紅色のカーテンで、ベッドカバーもカウチに置かれたクッションも炭灰色で、キングサイズのベッドと暖炉、ベランダがある部屋です。
ロミオとジュリエットの部屋は、シフォンのカーテンが繭のようにベッドを包んでいて、ベッドリネンは白いレースで揃え、ベッドのクッションにひとつだけ赤いクッションが紛れ込んでいるんだそうです。
ハムレットの部屋はどんななのか、興味があるわぁ。

それなりに楽しめた短編集でした。
読むと、それぞれの方が気に入る物語が見つかるでしょう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2024/01/12/9650296/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。