上橋菜穂子 『神の蝶、舞う果て』2026/02/27

明後日から三月。
三月と言えば、卒業の季節ですね。
卒業式では泣いている同級生が不思議だったという思い出しかありませんが、今の子どもたちが羨ましく思うことがあります。
というのも、いい卒業ソングがあるからです。
私の頃は小学校では「大地讃頌」、中学校は覚えていませんが、高校では「仰げば尊し」と「蛍の光」を歌ったのではなかったかしら?
今は色々とあって、選ぶのを迷いそうですね。
毎年、卒業ソングを聞いていますが、今年、気に入ったのは、2018年のNHK『18祭』のために作られたRADWIMPSの「正解」と2013年に解散したファンキーモンキーベイビーズの「ありがとう」です。

今日の本は全く卒業に関係ないのですが、上橋さんが1999年から2001年にかけて雑誌に連載し、書籍化していなかった作品です。


ジェードとルクランはラシェラン国の<降魔士>だ。
<降魔士>は<神が下された糧>であるラムラーの花を受粉させるために、魔所でもあり、聖地でもある<闇の大井戸>の底からやってくる<神の蝶>を、彼らを喰らう魔物である<蝶の影>から守るための番人で、孤児たちの中から選ばれ、男女一組になり魔物たちと戦う。

ルクランは奇妙な癖を持っている。
<神の蝶>がやってくることを知らせる<予兆の鬼火>に激しく反応し、<蝶の影>とは戦えない状態になるのだ。

ある日、ルクランが<予兆の鬼火>に触れてしまう。
そして、その翌日、自分が育った救児院に行った後に何者かに石をぶつけらる。
腹を立てたジェードはルクランの悪い噂を流しているスーナムという男に会いに行く。
するとスーナムは、月の光の中で立っている三歳のルクランの周りを無数の鬼火が回っているのを見たことを教えてくれる。

ルクランは自分の出自を知ろうとしていたが、ちょうどその頃、ラムラーの実のつきが悪くなり、<闇の大井戸>に異変が起こる。

ジェードはラーシェル師からルクランにまつわる秘密を聞かされ、ルクランが災いをもたらすようなら、すべきことを告げられるが…。

あとがきに書いてありますが、このお話は「守り人」シリーズを書き進めている最中に書かれたもので、上橋さん自身が「この物語は熟していない」と思い、出版を断念したそうです。
読んでみると、残念ながら「守り人」シリーズや「獣の奏者」シリーズと比べると物語が単純で稚拙ですが、後に書かれる物語の萌芽が見られます。
新しく<神の蝶>シリーズとして書いていってもよさそうです。
是非、お願いしたいです。