「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」を観る2006/10/02

「白バラ」とは、第二次世界大戦中のドイツにおいて行われた非暴力主義の反ナチス運動のことです。
ミュンヘンの大学生であったメンバーは1942年から1943年にかけて6冊のリーフレットを作成。その後グループはゲシュタポにより逮捕され、首謀者とされるハンス・ショルほか五名がギロチンで処刑されました。
( フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)。

映画は、首謀者であったハンスの妹ゾフィー・シュルが逮捕されてから、ギロチンで殺されるまでの5日間を描いたものです。

逮捕の日、いつもは郵送で送るリーフレットの封筒がたりなく、リーフレットが余ったので、大学でばらまこうと思い、ハンスとゾフィー兄妹は二人で大学に行きます。ゾフィーが3階から降りてきたのを見られてしまい、兄と共に逮捕されてしまいます。

はじめは、兄を3階の研究室に連れて行ったら、リーフレットが置いてあったので、おもしろがってまき散らしたと言ってごまかしていましたが、いろいろと証拠がでてきて言い逃れができなくなります。
この時から、ゾフィーは変わっていきます。
尋問するモーアに、精神障害の子どもたちを殺すことがいいことなのか、と聞きます。
生きる価値のないものだからいいのだというモーアに、彼女はそれは礼儀、モラル、神の問題であると言うのです。
その後、反逆罪で裁かれることになるから、自分は何も知らずに兄のいう通りにしたことにしろと暗にほのめかすモーアに、信念に生きるから後悔はけっしてしないと断るのです。

彼女と兄のハンス、仲間のプロープストが人民法廷で裁かれる日、ゾフィーは夢を見ます。
その夢はこういうものでした。
白い服を着た子どもを彼女は抱いています。
急に地震が起こり、大地が彼女の足下から崩れ落ちます。
彼女は子どもを安全なところに置きます。
落ちながら、彼女は開放感を味わっていたのです。
彼女は言います。「子どもは信念だから生き残ったのよ。」

法廷では、ヒステリックな裁判官がしゃべりまくります。
彼はゾフィー達を寄生虫、裏切り者等と呼び、さげすみます。
しかし、ゾフィーは言うのです。
「私たちは言葉で戦います。連合軍との戦いやユダヤ人虐殺を止めさせるために。
支配民族は平和を望みます。人間の尊厳を望みます。神と良心を望みます。
大衆が私たちを支持します。無言の声で。」

彼らの父親が2回出てきますが、この父にしてこの子ありです。
「正義は死なんぞ」「おまえは正しい。誇りに思う」この言葉は当時なかなか言える言葉ではなかったでしょう。

結局、ゾフィーたちは死刑の判決を受け、その日のうちにギロチンにかけられたのです。この時代はギロチンが使われていたのですね。

DVDの特典映像の中に、当時のゾフィーを知っている人が、彼女について話していました。
その女性は、ハンスは陽気で楽しい人だったけれど、ゾフィーは目立たない平凡な女性だったと言っています。
そういうものかもしれません。
その他に印象に残ったのは、「信仰心」についてでした。
ゾフィーが何故、このように誇り高く生きて、死んで行けたのか、「信仰心」も関係しているとのことです。

映画で何度もゾフィーが窓から外を見る場面が出てきます。
窓はゾフィーの心の自由の象徴なのかもしれません。

コメント

_ Loki ― 2006/10/03 00時49分03秒

主人公が若いのに堂々と自分の考えを主張して、偉いですよね。
個人的にはあの小型化され、ドイツ的に機能美をそなえた「ギロチン」が怖かった。

_ CoCo ― 2006/10/03 21時27分57秒

Lokiさん、こんばんは。
そうそう、ギロチンを見たとき、ドキッとしましたね。
まだ使っていたのか!
今はいくらなんでも使っていませんよね。
一人の平凡な女性が、信念をまげることなく、潔く死んでいくということが感動を呼ぶのでしょうね。

_ みのる ― 2007/08/12 20時13分01秒

はじめまして。
私、梶野と申します。
この度、「白バラの祈り」を舞台化する事になり、お知らせさせて頂きました。
私はヴィリー・グラフを演じます。
映画では冒頭のシーンだけでしたが舞台版ではみんなと共に奮闘します。
舞台版の今作品は学生の勇気ある行動が生々しく、命を賭けて信念を貫くさまが描かれていると思います。
舞台版も是非ご覧になってください。
詳細はこちらを下記をご覧下さい。
http://www.gekidanmingei.co.jp/whiterose.html
「梶野扱い」と伝えて頂くと一般料金6300円のところ5700円でご覧になれます。
宜しくお願い致します。

突然のメッセージで失礼致しました。

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