サントリー武蔵野ビール工場見学会 ②2012/03/25

ビールが出来るまでの工程は6つあります。

まず、①精麦。
「二条大麦に水と空気を与え、適度な温度で発芽させ、適度に目が出たら乾燥させて発芽を止め、根を取り除き、麦芽を作ります」

②仕込み
「裂いた麦芽に天然水を加え、適度な温度にすると麦芽中のでんぷんが糖に変ります。その後にホップを加えて煮沸し、麦汁を作ります」



ここが工場正面から見た窓の中です。

③発酵
「麦汁に酵母を加え、低温で発酵させます」


④貯酒
「発酵が終了したばかりの若ビールを、低温に調節したタンクの中で熟成させます」


使われていないタンクの中を通れます。結構大きいんです。1タンク何トンと言ったのか忘れてしまいました。


⑤濾過
「熟成を終えたビールからオリや酵母を完全に取り除きます」


⑥缶・樽詰




ここで出てきた缶はビールではなく焼酎かなにかだったようです。
凹んだり傷ついたりした缶がはじかれ、たまにポツンと一本だけ流されていました。

とにかく工場には人影が見えません。完全な機械化ですね。衛生的でいいのでしょうが、何かさびしいです。
イギリスではウィスキーの醸造所に、チェコではビールの醸造所に行きましたが、もっと人間的でした。
大量生産のためには機械化は必須ですから仕方ないのでしょうが。

サントリーは環境に優しい取り組みもしています。水の使用量を減らし、排水を自然に近い状態で排出し、ごみゼロにも取り組んでいるそうです。ズラーッとゴミ箱が並んでいました。



工場見学の後は楽しみな試飲です。ここで試飲ができます。


私たちはここではなく、講座を受けた部屋で試飲しました。


おつまみは各ビール工場の技師長がすすめるものです。
「パインジュレ」、「ねぎ味噌煎餅」、「ビーフパイ」。
意外と甘味と合うようです。


お酒に弱い私ですが、一口飲んだ感じは苦味が嫌らしくない。ビールが苦手な人はこの苦味がダメなんです。「ザ・プレミアム・モルツ」の苦味は苦くても美味しい(?)です。炭酸もそれほど多くなく、すっきりした飲み口です。
三口ぐらい飲んだ所で、顔が赤くなってきました。これ以上飲んだら危ないということで、前に座っている男性がもう飲んでしまい、もっと飲みたそうだったので、私の残りをあげました。ビールがなくなった私は一人で伊右衛門を飲んでいました。

次は黒ビールの試飲です。


黒ビールのおつまみは黒糖ドーナツ棒です。合います。黒ビールの泡がクリーミィで、結構私は好きです。

最後においしい注ぎ方を教えてくれました。
お姉さんがやって見せてくれたのですが、顔出しNGなので、手元だけで。

①グラスをよく洗い、自然乾燥させる。


②グラスの底の中央に狙いを定め注ぎ、徐々に高い位置から注ぐようにしていく。グラスの半分ぐらいまで注いだら、休止。



泡が二層になっています。上の泡は大きく、下の方がきめが細かいです。

③上の大きな泡が落ち着いたところで、泡をつぶさないように、泡の下をくぐらせ、グラスの側面を伝わらせて注ぐ。



できあがり。


缶に残ったビールとグラスのビールは味が違うそうです。

酔った勢いなのか、大分場内は盛り上がっていました。
6時20分にバスが出るまで自由時間です。


下の売店を覗き、夫へのおみやげを買いました。夫は酒好きなので一緒に行きたがったのですが、連れはなしということだったので、おみやげでごまかします。ビール2本と「樽燻(鮭とば)」。


サントリーさんからもおみやげをいただきました。


ありがとうございます。

工場も暮れなずんできました。



ビールとは関係ないのですが、工場で気になったのが、植木鉢です。


英語が書かれていて、かわいらしいですね。

この後懇親会がありましたが、約束があったので参加できませんでした。
ブロガーの集まりは2度目(たぶん)でしたが、好奇心旺盛な話好きのパワーのある人が多いですね。

半日は楽しめますので、暇があったら武蔵野工場に行ってみてください。
もちろん、ビールはザ・プレミアム・モルツを飲みましょう。
工場で飲むと、家庭で飲むよりも新鮮なので、もっと美味しいですよ。

東野圭吾 『マスカレードホテル』2012/03/26



図書館に東野圭吾の本があったので、借りてきました。

私の中で東野圭吾ほど本によって好き嫌いの分かれる人はいません。
麒麟の翼』と『真夏の方程式』は面白かったです。
『マスカレード・ホテル』はこの2つに比べると、私の中では「ちょっとね」という感じです。
でも、お仕事小説として読むと、とっても面白いです。
ホテルのフロントの仕事って奥が深いんですね。私には想像のつかない仕事でした。ふむふむ度が結構高いです。
ホテルマン志望のみなさん、読んでみてください。
もちろん、東野圭吾ですからミステリーですが・・・。

舞台になるのが、都内の高級ホテルである「ホテルコルテシア東京」。

都内で起こった3件の殺人事件が同一犯による連続殺人であると警視庁は認定し、残された犯人のメモから次の殺人が計画されている場所が「ホテルコルテシア東京」であると推測しました。
そのため「ホテルコルテシア東京」は警察の捜査に協力することになります。

潜入捜査を行うことになり、捜査員がホテルマンの振りをすることになります。問題になるのは、刑事は目つきや顔つきが悪い人が多いということ。(私は刑事さんのお友達も、お世話になったこともないので知りませんよ。色々な本に書いてありますからね)
そこで白羽の矢が立ったのが新田警部補と数名の人相のよい(?)刑事たち。

新田はフロント・クラークに任命され、彼の面倒を見るのが優秀なフロント・クラークの山崎尚美。山崎は新田をビシバシ指導します。
若い山崎に指導され、面白くない新田です。
「俺は刑事なのに、なんでこんなことしなくちゃなんないんだ」

ホテルとしては新田のせいでお客様に不快な思いを持たれると死活問題です。それにフロント・クラークはホテルの顔ですから、厳しく指導しますわね。

最初は最悪の印象だった新田と山崎の関係がどう変わっていくのか。
そして、彼と組むことになった品川署のやり手刑事は犯人を追いつめていけるのか。

書くすべてのミステリーにベストを期待してはいけません。
しつこいですが、お仕事本としてお勧めします。

東野圭吾 『聖女の救済』2012/03/27



東野の作品の中では、(あくまでも)私的には駄作です。

一年経っても妊娠しなければ離婚するという約束で結婚した真柴綾音と真柴義孝。
一年経とうという時に、義孝が自宅で死んでいるのが見つかります。
彼を見つけたのが、綾音が主催するパッチワーク教室の講師である若山宏美。義孝とは不倫関係でした。
前日には妊娠した友人夫婦のお祝いが真柴邸で開かれており、義孝は特に具合は悪そうではありませんでした。
義孝が死んだ日、綾音は北海道に帰省していました。
死因はコーヒーの中に含まれていた亜ヒ酸。
どうやって亜ヒ酸がコーヒーに入れられたのかわからず、草薙は湯川に助けを求めます。

いつもいつもわからないことがあると湯川頼みの草薙も困ったものですね。
今回は被疑者の美貌の綾音にコロッとまいってます。

湯川が出した答えは、理論上はあり得ても、現実にはありえないという「虚数解」でした。

そもそも、今時、一年で妊娠しなければ離婚などという男がいるんですか?
普通の感覚の女だったら、そんな男と結婚しませんよね。(こう思う私が変?)
東野のレトロなところが出てしまいましたね。
彼って何歳でしたっけ?1958年生まれのわりに古い価値観の人なのかもしれませんね。還暦を過ぎた村上春樹の方がよっぽど若いです。

私のように設定にこだわる人は読まない方がいいでしょう。
湯川に挑戦という謎解きが好きな人向けの本です。

「あなたに見せたい絵があります。」@ブリヂストン美術館2012/03/31

絵を見に行ってきました。
まず、国立新美術館で「セザンヌ展」を、そして夕方からブリヂストン美術館で「あなたに見せたい絵があります。」展です。


ブリヂストン美術館が60周年だそうです。
60周年記念として、ブロガーのために特別内覧会が昨日あり、友人と共に参加してきました。

館長の島田さんからの挨拶に続き、学芸員の貝塚さんから展覧会の概要説明がありました。

石橋コレクションは画家坂本繁二郎のアドバイスにより青木繁の絵を集めたことから始まったそうです。
日本の近代洋画を中心に海外の19世紀後半の印象派以降を集めたそうです。
久留米に石橋美術館があるのですが、そこには日本近代絵画を、東京のブリヂストン美術館には西洋絵画を展示しています。
今回60周年記念として2つの美術館の作品を特別に一緒に展示しています。
ブリヂストン美術館から84点、石橋美術館から25点、その他のコレクションから47点、トータルで156点にもなります。

美術展の構成も変っていて、テーマごとに日本と西洋の画家の作品が並んでいます。
普段は見られない石橋美術館の作品と個人的に好きな絵を主に紹介していきます。

(会場内の画像は主宰者の許可を得て撮影したものです。)


<1章・自画像>
普段は石橋美術館に飾られている藤田武二や青木繁、坂本繁二郎などの自画像が展示されています。

セザンヌの絵の三点(自画像、「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」、「鉢と牛乳入れ」)は同時期に国立新美術館で展覧会があるにもかかわらず貸し出しをせず、自分の展覧会に展示しています。私のように『セザンヌ展』と一緒にブリヂストン美術館も見るといいかもしれません。

<2章・肖像画>
いつも見ることのできるかわいいジョルジェットちゃんの他に岸田劉生の『麗子像』黒田清輝の『針仕事』、藤田嗣治の『横たわる女と猫』などが石橋美術館の絵です。藤田の描く猫がかわいいです。


<3章・ヌード>
日本の画家では岡田三郎助や和田栄作、安井曾太郎、国吉康雄の作品が展示されています。


<4章・モデル>
コローの「森の中の若い女」や黒田清輝の「プレハの少女」、藤島武二の「黒扇」など私の好きな作品が展示されています。

<5章・レジャー>
残念ながら日本の絵画でレジャーを描いたものはないようです。
今の時期なら花見ですが、浮世絵にはあるけれど、現代の油絵とか版画にはなさそうです・・・。
ルオーの「ピエロ」とピカソの「腕を組んですわるサルタンバンク」などの他にブーダンの「トルーヴィル近郊の浜」が展示されていて、当時の海のレジャーの様子がわかります。
どうも海に入ったり泳いだりしないで、海辺を散歩したり座っているだけのようです。

<6章・物語>
西洋では聖書やギリシャ神話にテーマを求めますが、日本では古事記だと、青木繁は「大穴牟知命」や「わだつみのいろこの宮」を描きました。もちろん青木の傑作、「海の幸」もあります。

<7章・山>
雪舟の「四季山水図」は6年ぶりのお目見えだそうです。


ゴーガンのタヒチ以前の作品の3点中2点がここに展示されています。後の1点は<10章・静物>にあります。

<8章・川>
ゴッホの「モンマルトルの風車」はゴッホの違う面が見られます。
絵のタッチが違います。セザンヌ展を見た後で、ゴッホのデッサン力と絵の上手さを再確認しました。

<9章・海>
藤島武二の作品が4作。
そして何よりなのは、前から似ていると思っていた青木繁の「海景」とモネの「雨のベリール」が並んで展示されていることです。
青木はモネの絵を見ていないということですが、波の様子がとても似ています。

<10章・静物>
セザンヌ展で見たことのあるの鉢だなと思っていたら、「鉢と牛乳入れ」の中にありました。
セザンヌは遠近法を無視し、一枚の絵の中に複数の異なった視点を取り入れているそうですが、それにしても鉢や牛乳入れがゆがんでいて、じっくり見ると落ち着きがない絵です。

ゴーギャンの「馬の頭部のある静物」には日本の団扇らしきものが描かれています。

<11章・現代美術>
ここら辺に来ると、私にはわからない世界ですが、それでも小学生に人気があるというザオ・ウーキーの絵は好きです。
一日中、この絵の前に座っていたい感じです。

今買おうと思うと、すごい値段がつくというジャクソン・ボロックの作品の一つ「Number 2,1951」は5月29日から展示だそうです。

<新所蔵作品>
ギュスターヴ・カイユボットの「ピアノを弾く若い男」と岡鹿之助の「セーヌ河畔」を新しく購入したそうです。

ブルガー内覧会が6時から8時までで、私は6時半の学芸員の話から参加したので、石橋美術館蔵の作品を中心に駆け足で見ました。
テーマごとに絵を展示しているのですが、なにしろ所蔵作品に限りがありますから、テーマを絞るのも大変だなと思いました。絞って11章ですからね。

もう一度、今度は平日の人が少ない時に、ゆっくり見に行きたいと思っています。