東野圭吾 『真夏の方程式』2012/03/23



小学五年生の柄崎恭平は、大阪に新しい店を出すことで忙しい両親から、夏休み中、玻璃ヶ浦で旅館をしている叔母一家のもとでお世話になるようにと言われ、一人で電車に乗っていました。
電車の中で携帯を使ったことを咎められた時に助けてくれたのが、物理学者の湯川でした。
湯川は玻璃ヶ浦の海底資源開発の説明会に招かれていたのです。
恭平が世話になる『緑岩荘』に湯川も宿泊することになりました。

説明会があった日の夜、『緑岩荘』に宿泊していた男が行方不明になります。彼は次の日に堤防から落ちて死んでいました。この男は警視庁捜査一課の元刑事だったため、玻璃警察署と県警以外に警視庁まで捜査に加わることとなり、解剖が行われ、死因が一酸化炭素中毒であることがわかります。

事件の起こった『緑岩荘』に湯川が泊まっていることを知った警視庁は草薙を派遣し、湯川と協力して独自の捜査を行うようにとの指令を与えます。
湯川の性格をよく知っている草薙は不可解とも思える湯川の指示にも文句も言わずに従います。

子どもは「行動が論理的ではないからストレスを感じる」から嫌いという湯川が、恭平君の勉強を見てあげたり、一緒に実験をしたり、船に乗れない恭平君にあるものを見せるためにがんばったりしています。
知らず知らずのうちに事件に加担してしまった少年に対する優しさでしょうか。

最後が甘いという思いもあります。人間に人間が裁けるのか。難しいものがあります。
論理的である湯川が人情に厚いところが弱点と言えば言えるでしょうか。

「気になる、というのは知的好奇心が刺激されていることを意味する。好奇心を放置しておくことは罪悪だ。人間が成長する最大のエネルギーが好奇心だから」

湯川の言葉です。
この頃、好奇心を持てない人が多くなったように思います。
何事にも好奇心を持てるかどうかが心の若さに関係しているようです。

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