「あなたに見せたい絵があります。」@ブリヂストン美術館2012/03/31

絵を見に行ってきました。
まず、国立新美術館で「セザンヌ展」を、そして夕方からブリヂストン美術館で「あなたに見せたい絵があります。」展です。


ブリヂストン美術館が60周年だそうです。
60周年記念として、ブロガーのために特別内覧会が昨日あり、友人と共に参加してきました。

館長の島田さんからの挨拶に続き、学芸員の貝塚さんから展覧会の概要説明がありました。

石橋コレクションは画家坂本繁二郎のアドバイスにより青木繁の絵を集めたことから始まったそうです。
日本の近代洋画を中心に海外の19世紀後半の印象派以降を集めたそうです。
久留米に石橋美術館があるのですが、そこには日本近代絵画を、東京のブリヂストン美術館には西洋絵画を展示しています。
今回60周年記念として2つの美術館の作品を特別に一緒に展示しています。
ブリヂストン美術館から84点、石橋美術館から25点、その他のコレクションから47点、トータルで156点にもなります。

美術展の構成も変っていて、テーマごとに日本と西洋の画家の作品が並んでいます。
普段は見られない石橋美術館の作品と個人的に好きな絵を主に紹介していきます。

(会場内の画像は主宰者の許可を得て撮影したものです。)


<1章・自画像>
普段は石橋美術館に飾られている藤田武二や青木繁、坂本繁二郎などの自画像が展示されています。

セザンヌの絵の三点(自画像、「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」、「鉢と牛乳入れ」)は同時期に国立新美術館で展覧会があるにもかかわらず貸し出しをせず、自分の展覧会に展示しています。私のように『セザンヌ展』と一緒にブリヂストン美術館も見るといいかもしれません。

<2章・肖像画>
いつも見ることのできるかわいいジョルジェットちゃんの他に岸田劉生の『麗子像』黒田清輝の『針仕事』、藤田嗣治の『横たわる女と猫』などが石橋美術館の絵です。藤田の描く猫がかわいいです。


<3章・ヌード>
日本の画家では岡田三郎助や和田栄作、安井曾太郎、国吉康雄の作品が展示されています。


<4章・モデル>
コローの「森の中の若い女」や黒田清輝の「プレハの少女」、藤島武二の「黒扇」など私の好きな作品が展示されています。

<5章・レジャー>
残念ながら日本の絵画でレジャーを描いたものはないようです。
今の時期なら花見ですが、浮世絵にはあるけれど、現代の油絵とか版画にはなさそうです・・・。
ルオーの「ピエロ」とピカソの「腕を組んですわるサルタンバンク」などの他にブーダンの「トルーヴィル近郊の浜」が展示されていて、当時の海のレジャーの様子がわかります。
どうも海に入ったり泳いだりしないで、海辺を散歩したり座っているだけのようです。

<6章・物語>
西洋では聖書やギリシャ神話にテーマを求めますが、日本では古事記だと、青木繁は「大穴牟知命」や「わだつみのいろこの宮」を描きました。もちろん青木の傑作、「海の幸」もあります。

<7章・山>
雪舟の「四季山水図」は6年ぶりのお目見えだそうです。


ゴーガンのタヒチ以前の作品の3点中2点がここに展示されています。後の1点は<10章・静物>にあります。

<8章・川>
ゴッホの「モンマルトルの風車」はゴッホの違う面が見られます。
絵のタッチが違います。セザンヌ展を見た後で、ゴッホのデッサン力と絵の上手さを再確認しました。

<9章・海>
藤島武二の作品が4作。
そして何よりなのは、前から似ていると思っていた青木繁の「海景」とモネの「雨のベリール」が並んで展示されていることです。
青木はモネの絵を見ていないということですが、波の様子がとても似ています。

<10章・静物>
セザンヌ展で見たことのあるの鉢だなと思っていたら、「鉢と牛乳入れ」の中にありました。
セザンヌは遠近法を無視し、一枚の絵の中に複数の異なった視点を取り入れているそうですが、それにしても鉢や牛乳入れがゆがんでいて、じっくり見ると落ち着きがない絵です。

ゴーギャンの「馬の頭部のある静物」には日本の団扇らしきものが描かれています。

<11章・現代美術>
ここら辺に来ると、私にはわからない世界ですが、それでも小学生に人気があるというザオ・ウーキーの絵は好きです。
一日中、この絵の前に座っていたい感じです。

今買おうと思うと、すごい値段がつくというジャクソン・ボロックの作品の一つ「Number 2,1951」は5月29日から展示だそうです。

<新所蔵作品>
ギュスターヴ・カイユボットの「ピアノを弾く若い男」と岡鹿之助の「セーヌ河畔」を新しく購入したそうです。

ブルガー内覧会が6時から8時までで、私は6時半の学芸員の話から参加したので、石橋美術館蔵の作品を中心に駆け足で見ました。
テーマごとに絵を展示しているのですが、なにしろ所蔵作品に限りがありますから、テーマを絞るのも大変だなと思いました。絞って11章ですからね。

もう一度、今度は平日の人が少ない時に、ゆっくり見に行きたいと思っています。