堂場瞬一 『野心 ボーダーズ3』2024/05/09

ボーダーズ・シリーズの三作目。
今回の主人公は朝比奈由宇警部補です。
五人の階級がわかりました。
キャップの結城新次郎が警視、サブキャップの綿谷亮介が警部、八神佑と朝比奈が警部補、最上功太が巡査部長です。
ちなみに警察官の階級は九種類あり、上から、警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長、巡査だそうです。


朝比奈由宇は警部補の昇任試験に合格したので研修を受けており、久しぶりにSCU(特殊事件対策班)に戻った。
由宇は結城から昇進のご褒美をもらい、ついでに異動の話が出ていることを聞く。
警察には本部勤務のものが巡査部長から警部補に昇任すると、一度所轄に出るというルールがあるのだ。

その日、八神の同期で捜査二課の宮原がある情報を持ち込んでくる。
五年前の特殊詐欺事件の首謀者とみられていた秋山克己という男が、かつての詐欺グループを再起動しようとしているようだが、二課は捜査しないというのだ。

SCUは秋山を張り込みすることにする。
由宇と八神が張り込み中に秋山は動き出す。
尾行していくと、彼は有楽町駅で降り、銀座シャインに入っていった。
由宇たちは彼を見失ってしまう。
彼を探している時に爆発が起り、由宇は現場に駆けつけるが、二度目の爆発が起り、爆風で飛ばされ気を失う。
不運にも爆発時に宝石店で強盗事件が起り、由宇はその時の行動に判断ミスがなかったかどうか、監察官の事情聴取を受ける。
女性初の部長を目指している由宇にとって、これは汚点になるのか…。

翌朝、野川に浮かんでいる秋山の遺体が発見される。
秋山の死は宮原の件と関係があると判断したSCUは捜査を続けていく。

キャップ結城のご褒美が早々に出てしまい、ちょっと残念。
本の最後の楽しみだったのよぉww。

今回のヒロイン由宇は社会に出た女性が否が応でもぶつかざるおえないことで悶々とします。ガチガチの男社会の警察ですからねぇ。
ガラスの天井をぶち壊すほどのヴァイタリティがもっと欲しいですね。
そういえば、警視庁総合支援課の柿谷晶が由宇と友だちだったなんて、意外です。
好きか嫌いかと言えば、嫌いな方に入るキャラの柿谷ですが、今回はそれほど嫌ではなかったですわ。
まあ、二人とも三十代前半ですから、まだまだひよっこですねぇ。
これからも色々と大変なことがありますわよ。

そうそう、イケオジになり、捜査一課に復帰した大友鉄も爆破事件の担当として登場し、由宇にいいアドバイスをしています。
「誰にでもミスはある。問題は、その後どうやってリカバーするかだ」
「部下ができた時、絶対ミスするな、なんて言わない方がいいよ」
ひ弱になった今時の若い刑事はすぐに辞めるそうです。どこも同じなのね、笑。
岩倉剛ことガンさんもちょっとだけ登場しています。

美味しそうな食べ物と別のシリーズの主人公たちが登場するのが、このシリーズのいいところですww。
次は武道の達人、人間凶器・綿谷が主人公かな。楽しみです。

このシリーズの順番を載せておきます。

③『野心 ボーダーズ3』

コメント

_ ろき ― 2024/05/10 06時12分40秒

警察でがんばる女性は本当、尊敬します。めちゃくちゃ大変そう。今後もっと働きやすくなってくると良いですが。

>今時の若い刑事はすぐに辞める


次は将棋のデキる人間凶器?ちょっと楽しみかも。

_ coco ― 2024/05/10 11時05分05秒

ろきさん、そうですね。女性警官たちは大変そうですよね。自衛隊でセクハラがあったというし、警察ではあまり公になっていないけど、ありそうですよね。

SCUの五人の中で、わたしは将棋をするマッチョマン・綿谷警部が一番好きです。その次に謎の結城警視。
ろきさんは日本のこういうミステリを読まないと思うので、ちょっとネタバレ(?)すると、結城警視はスイーツを自分で作って、部下達にご褒美としてあげているのです。
一作目ではシュトレン、二作目ではガムドロップクッキー、今回はマカロン。
スイーツを作る中年男性っていいですよね、笑。

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