畠中恵 『ちょちょら』2012/03/02



図書館に畠中さんの本がたくさんあったので借りてきました。
今度の江戸物は武士の話です。

自害して亡くなった兄の代わりに多々良木藩の江戸留守居役になった間野新之助は仕事がわからず右往左往。
同じ留守居役組の先輩たちにいいようにいじられています。面倒をみてもらっているのか、仕事をしこまれているのか?

留守居役ってどういう仕事なのか知りませんでした。実は2種類あるそうです。
まず、旗本で任じられる職では最高の職役職の留守居役。そして新之助のやっている中程度の諸藩の藩士がなる留守居役です。
新之助たちの主な仕事は「藩主が江戸藩邸にいない場合に藩邸の守護にあたったほか、藩主が江戸在府中であっても御城使として江戸城中蘇鉄の間に詰め幕閣の動静把握、幕府から示される様々な法令の入手や解釈、幕府に提出する上書の作成」です。留守居役たちは「前例に従って落ち度のない事が第一と考えられており、それに資する先例を捜査するために」組合を作り、適時情報交換をおこなっていました。(ウィキペディアより)

留守居役の他の重要な仕事として、この本に書かれている、接待をしわいろを渡し普請が当たらないようにと根回しをすることです。接待にとんでもない出費がかかりますが、その出費を惜しむと普請が回ってくるのです。
新之助が驚いたことに、彼の前の多々良木藩の留守居役は接待もわいろも何もしていなかったのです。
どうも兄の千太郎が自害した理由はこの辺にありそうです。

そんな時に一大事が起こります。
大きなお手伝い普請があるというのです。
財政難に苦しむ多々良木藩は次の普請を命じられると破産してしまいます。なんとしてもお手伝い普請から逃れなければなりません。
さて、新之助がどうやってお手伝い普請を逃れるのでしょうか。

接待もここまでやると芸術的といいたくなります。
どんな世の中になろうと、人間のやることは変わらないのですね。
いいキャラの登場人物がたくさんいるので、シリーズにしてもらいたいものです。シリーズにできなければ、せめて一作書いて、次の信之助の仕事を教えてもらいたいですわ。気になって仕方がありません。