「オークション~盗まれたエゴン・シーレ」を観る2025/01/18



アンドレ・マッソンはパリのオークション・ハウスで働く競売人だ。
ある日、フランス東部の工業都市、ミュルーズ郊外に住む夜勤労働者、マルタンの家でエゴン・シーレが描いたと思われる「ひまわり」の絵が見つかり、鑑定してもらいたいという手紙が来る。
「ひまわり」はナチスドイツに略奪され、行方がわからなくなっていた。
元妻で仕事のパートナーの鑑定士、ベルティナとともにミュルーズを訪れ、鑑定をすると、それは紛れもなくエゴン・シーレの「ひまわり」だった。
絵は大家が亡くなった後に購入した家の中にあったという。
マルタンは絵を元の所有者であるワルベルグの遺族に返す。
法廷相続人は9人だが、マルタンもその中に加わることになる。
しかし…。

この映画は実話に基づいて作られました。
「ひまわり」は1918年にシーレのパトロンだったステファン・ワルベルグが購入し、1939年から行方不明になり、2000年初頭に見つかり、2006年にロンドンのクリスティーズでオークションにかけられたそうです。

エゴン・シーレの「ひまわり」はこんな絵です。


シーレはゴッホの「ひまわり」にインスパイアされて描いたと言われています。
シーレらしい作品ですが、家に飾っておきたいかと聞かれると、私なら遠慮しますわww。

簡単に言うと、発見された絵が高額で落札されてよかったねというお話ですが、その中に、夫婦のこと、親子のこと、友人や同僚とのこと、コレクターの思惑などの人間模様が描かれています。

マルタン君の無欲さには感心しました。
彼は自分の幸せとは何かを知っているんですね。
弁護士の女性が彼の側に立ってくれて、誠実に仕事をしてくれたのは、彼にとって幸いでした。
強欲な弁護士だったら、彼はいいように扱われ、騙されていたかもしれません。

よくわからなかったのが、研修生の嘘つきお嬢さん。
彼女と父親の間には色々とあったのはわかりますが、なんで直ぐわかるような嘘をつくようになったのでしょうね。父親の詐欺事件に関係しているのかどうか、気になります。

そうそう、主役のマッソンは今は何をやっているのかしらww。


私的にはフランスらしい軽さ(?)がよかったです。
アート関係の映画は眠くならなくていいです、笑。

「ぼくとパパ、約束の週末」を観る2025/01/15

ドイツ映画。実話をもとにした映画。 


10歳のジェイソンは自閉症。
音が苦手で、人と接触することが嫌、こだわりが強く、彼独自のルールやルーティンがあり、それが周りと齟齬をきたす。ルールに縛られてしまい、守れないとパニックを起こして手がつけられなくなる。
知能が高く、非理論的、非科学的なことは許せない。
学校では、例えば宗教の授業なんか、彼にとっては荒唐無稽なもので、いつも宗教の教師を怒らせてしまう。(教師の口癖もかぞえているんだからww)
同級生たちはジェイソンのことが理解できず、おもしろがってよく彼をからかう。

ある日、宗教の教師を激怒させたのみならず、同級生の子に暴力をふるってしまい、ジェイソンのパパとママが学校に呼び出されてしまう。
学校の方はずっとジェイソンに手を焼いていたようで、特殊学級への編入を勧められる。
ママはそういう学校に反発するが、パパは特殊学校もいいんじゃないかと思っている。
結局、学校からもう一回チャンスを貰えることになる。

翻訳の仕事を辞めて子育てに専念しているママのファティメはジェイソンの世話に疲弊し、もうこれ以上やっていけないというところまで来ていた。
パパのミルコはレストランチェーン(かな?)のスーパーバイザーとして各店舗を周っており、出張の多い仕事にかこつけて、あまりジェイソンと関わっていなかった。
話し合いのすえ、今度はミルコがジェイソンと向き合うことになる。

その頃、ジェイソンは推しのサッカーチームはどこかと同級生に聞かれ、答えられなかったことから、56ある全てのチームを見てから、推しのチームを決めたいと言い出す。
そこでミルコは上司に掛け合い、出張の少ない仕事にしてもらい、ジェイソンと宗教の教師を困らせないことなどを約束し、週末にスタジアム巡りを始める。

映画によりますと100人に1人が自閉症だといいます。
確実に増えているような気がします。
ひょっとして自分もそういう傾向があるのではと思ったりします。

自閉症の子を持つ親は大変です。
バス停でおばあさんにファティメが子どもを甘やかしていると批判された時に、ファティメは言い返します。
一方、ミルコは、電車の中で出されたパスタにソースが三箇所ついていて、ジェイソンが自分のルールに従うと、どうにもできなくてパニクった時に、ジェイソンをどうしたらいいのかわからず、何も出来ず困っていました。(パスタとソースは別々で、サステナブルじゃなければダメなのよ)
母は強しですかね。
ファティメは穏やかに息子のことを話して理解してもらえるようにしてもよかったのにとも思ったのですが、何回も同じように非難されているので、堪忍袋の緒が切れたのでしょうね。
おばあさんの世代には「自閉症」という概念がなかったので、なかなか理解してもらうことは難しいでしょうね。
後にミルコは、障害者用エレベーターに乗り、上がったり下がったりを繰り返すジェイソンを見て、やっとジェイソンのことを理解できたと言っています。
自閉症には色々なタイプがあるとは思いますが、この映画を観て、少しでも自閉症について理解する人が増えたらいいなと思います。

素敵だったのが、家族です。
ジェイソンの祖父母が出てくるのですが、特におじいちゃんがいいキャラです。
彼の祖父もジェイソンのような人で、彼は祖父がとても好きだった、ジェイソンはありのままでいいんだとジェイソンに語る場面なんかよかったです。

ジェイソンがいちいちサッカー観戦のマイルールを決めるところなんか、どうでもいいのにと思います。決めたら守らなければならなくなり、大変なのにね。ホントやっかいです。
ジェイソンがこのスタジアムは…、応援歌の歌詞が…、靴が…、マスコットが…、と色々と文句を言うのですが、次は何を言うのかが楽しみでしたww。
辛抱強く付き合うお父さんはえらい。

そうそう、ドイツのサッカーリーグの1部から3部までが56チームで、4部は93チームあります。
映画の中で、ジェイソンは後の93チームも、そしてヨーロッパ中のチームも見たいと言っていました。
映画の最後に出て来ましたが、未だに彼らはスタジアム巡りをしているそうです。
現在、本物のジェイソン君はチューリッヒ大学で物理学を勉強しているそうですから、映画の頃から10年ぐらい経っていますかね。
後、何チーム残っているのでしょう。
お金がいくらあっても足りないですね。

私はサッカーファンではないのですが、ドイツのサッカースタジアムの様子が出て来て、興味深かったです。変わった形のスタジアムがあるんですね。
FCバイエルン・ミュンヘンの赤いスタジアム「アリアンツ・アリーナ」が印象的でした。
スタジアムの独特な雰囲気や声援、応援歌など、熱気と一体感がすごいです。
ああいう雰囲気がフーリガンを作りだすんでしょうね。
そうそう、リガのスタジアムでオーロラを見る場面がありましたが、本当に見られるのでしょうか。
そもそも夜中に中に入れるのかしら?(ここのトイレの場面、お父さん、泣きたいわよね。わかるわ。)


お勧めの映画ですが、子どもの叫び声が苦手な方は気をつけて観るようにしましょうね。

「型破りな教室」を観る2025/01/08



2011年、アメリカとの国境近くにあるメキシコ北東部タマウリパス州のマタモロスは犯罪組織間の抗争が絶えない危険地帯で、麻薬と殺人が日常的、貧しいスラムが拡がっている。
そんな地域にホセ・ウルビナ・ロペス小学校がある。
ENLACE(メキシコの共通テスト)の成績が全国最下位レベルで、教師もやる気がなく、学校の設備も最低で、世間では「罰の学校」と言われている。

新学期、出産で辞めた教師の代わりに、六年生のクラスにセルヒオ・ファレス・コレアが赴任して来る。
彼はネットで見た授業法をもとに、独自の型破りなアプローチで授業を始める。
始めは戸惑っていた生徒たちだったが…。

三人の生徒に焦点が当てられています。
一人目はパロマ。
彼女は父とゴミの山のすぐ近くに暮らしています。ゴミの山から廃品回収をして、それを売ってなんとか生計を立てています。
知的に勝っているため、他の子たちとは上手くいかず、大人しく見られ、一人でいることが多いです。
セルヒオの授業を受けているうちに宇宙工学者になるという夢を持つようになります。
二人目はニコ。
兄と二人で浜辺の廃墟のような家に住んでいます。
兄はギャングの一員で、ニコも学校に行くのを辞めて、そろそろ仲間にならないかと言われていますが、セルヒオの授業を受けてから、もう少し学校にいたいと思い始めます。
パロマに淡い恋心を抱いています。
三人目がルペ。
ルペは長女なので、夜勤で働く母の代わりに妹や弟の面倒をみています。
セルヒオの授業で哲学に興味を持ち、大学の図書館に行き、哲学の本を借りて読み始めますが、母親がまた妊娠してしまい、学校を辞めて赤ちゃんの面倒をみなくてはならなくなります。

ついでに校長のチュチョ。
デブなのを生徒たちから揶揄されていますww。
授業中に学校内を歩いて回っている時にも食べ物を食べながらというのは、日本では考えられないことですよね。どうも独身らしいので、食べる以外に楽しみがないのかもww。
彼も始めはセルヒオに懐疑的だったのですが、いつしか彼の協力者になっていきます。
身体を使い、授業にも協力していますよ、笑。

実話をもとにした映画です。
ENLACEで23人の生徒の中10人が全国上位0.1%のトップクラスになったそうです。

パロマは実在の人物で、大学図書館の司書役として映画に登場しています。
ニコとルペは実在していませんが、彼らのような子どもはメキシコではどこにでもいるのでしょうね。
パロマが現在も生きていて、活躍していることは嬉しく思いますが、ニコとルペのような子どもたちのことを考えると、なんとも言えない気持ちになります。
彼らにとって現実を受け入れて暮らしていくのが幸せなのか、それとも…。
メキシコの現在の状況はわかりませんが、子どもたちが身の危険を感じずに暮らして行ける生活をしていると思いたいですが。
私は最後までルペちゃんのことが気になりました。

主演のセルヒオ役のエウヘニオ・デルベスはアカデミー賞を取った「コーダ あいのうた」の音楽教師役の俳優です。
映画としては面白く見ることができました。
しかし、良かったねで終われない映画です。

メリー・クリスマス2024/12/24



まず、ヨーキー弟からクリスマスのご挨拶です。
鴨川のホテルにあったクリスマスツリーの前でポーズを決めています。


お兄ちゃんはいっしょに写真が取れなかったので、保険会社のクリスマスカードを使ってみました。
ちゃっかりヨーキー弟はこういう時だけちゃんとポーズを決めるのです。

長崎と五島列島に行ってきたので、その時に撮った写真を載せておきます。


福江教会のイルミネーション。
各教会はイルミネーションをしているようですが、ここのしか見れませんでした。


福江教会のマリア像。


長崎空港のクリスマスの飾り。


サンタさんたちの隣にいたクマさんとツリー。
クマさんたちはくつろぎ過ぎの様子ですww。
ツリーには地元の園児が書いた願い事のカードが飾られています。


出島の新石倉シアターにあったクリスマスツリー。


長崎県立美術館にあったツリー。
写真写りがよくないですが、青いツリーでした。


ワンコたちのケーキはこちら。文庫本と比べると小さいです。半分こにして食べさせます。


こちらは人間のクリスマスケーキ。Dean & Delucaのピスタチオケーキです。


半分に切ると、こんな感じです。普通のスポンジケーキよりも崩れやすいです。
でも、とっても美味しかったです。二日に分けて食べます。

今年のクリスマスの歌は、エド・シーランの「Under the Tree」。
クリスマス気分に浸りたいときに見るのは、イギリスの田舎に暮らしている女性の「Under the Tin Roof」とフィンランドに住んでいる日本人とフィンランド人夫婦の「北欧暮らし」。
Vlogは言葉のない方が好きです。

「山逢いのホテルで」を観る2024/12/15



クロディーヌはアルプスの山間の村に障害のある息子と洋服の仕立てをして暮らしている。
毎週火曜日に息子を隣人の女性に預け、白い服を着て、グランド・ディクサンス・ダムにあるホテルに行く。
そこに宿泊している男性の中から一人を選び、後腐れのない情事を楽しむのだ。
その帰りに、その男から聞いた男の住んでいる町の様子を手紙に書き、ポストに投函する。

ある日、クロディーヌはドイツ人の水力発電の技師で写真家のミヒャエルと関係を持つ。
一度きりのはずが、翌週もミヒャエルはホテルにいたので、また…。
やがてミヒャエルとの情事に夢中になり、クロディーヌは息子を迎えに行くのを忘れてしまう。
その後、息子を施設に預けるようにする。

アルゼンチンに出張で行くことになったミヒャエルはクロディーヌをいっしょに行こうと誘う。
クロディーヌは迷うが…。

主人公のクロディーヌを演じたジャンヌ・バリバールさんは「ボレロ」にも出ていた女優で、56歳だそうですが、もっと年上に見えてしまいました。
日本の女優さんたちがシワもなく、若く見えるだけですかね。
息子は20歳以上になっているようですが、特に何をしているわけではないようです。息子を施設に入れずにずっと手元に置いてきたようです。
1997年頃のスイスでは大人になった障害のある子どもが親と暮らすというのは、よくあることなのでしょうか。
大人になった息子と二人で暮らすことには限界が来ていたのかもしれません。
そんな時に男と出会ってしまい、男を取るか、息子を取るかで、クロディーヌは迷います。
私ならどうするかと考えてみると、息子を施設に入れて、男のところに行くかもしれませんね。
こう思えるのは、他人事だからなのでしょうかね。

赤い口紅をつけ、煙草をプカーと吸い、あなたの部屋に行こうと誘うジャンヌさん、妖艶過ぎます。
ミヒャエルは独身だったので、いいのですが、他の男はよく簡単についていくものだと感心しました、笑。
何歳になっても男と女という社会と、日本のように男も女も年を取ると枯れるのが当たり前という社会との違いを感じさせられました。

音楽や美術関係の映画だと眠くならないのですが、この映画でも二人がダムの内部を歩いている場面ぐらいから私は夢見心地になってしまいました。
いけませんね。映画を選んで観ましょうねww。
ダムの風景が美しかったので、一度行ってみたいです。

<週末のわんこたち>
お年なので、暖かい日中にしか散歩をしません。今日はポカポカしててよかったですが、日陰は寒かったです。


MはミッキーのM。お調子者のヨーキーにぴったりです。


気むずかし屋の兄はイチョウといっしょに撮りました。(前を向いてくれないのよ)
まだイチョウの葉が残っています。

<今週のおやつ>
今週はケーキを食べることが多かったです。


「FOUNDRY」のモンブラン。上にのっている栗が大きいです。
クリスマスまでケーキは食べないようにしないと。
太ってしまった気がします。怖くて体重計にはのれないわぁ…。

「チネチッタで会いましょう」を観る2024/12/02

イタリア映画。
現代は「Il sol dell'avvenire(未来の太陽)」。
これまたなんでこんな邦題なのかといいたくなりましたwww。


五年毎に映画を撮っている映画監督のジョヴァンニは、ソ連のハンガリー侵攻を舞台にした政治映画を撮り始めた。
ところが万事が上手く行かない。
出演女優はこの映画は恋愛映画だと言い張り、ジョバンニの演出をことごとく無視する。
音楽家であるジョヴァンニの娘は彼と年のかわらないポーランド大使と付き合い始める。
映画のプロデューサーをしている妻のパオラからは、彼の言動がもう我慢ならないと言われ、離婚を突きつけられる。

そんな頃、映画の資金を出すはずのピエールに金がないことがわかり、映画の資金が足りなくなる。
ピエールはジョヴァンニにNetflixと契約するように勧めるが…。
さて、映画は無事に完成するのだろうか?

ジョヴァンニの映画に対するこだわりはすごいです。
パオラは若い監督と仕事をしていましたが、ジョヴァンニは妻と話すためにその現場に行き、関係もないのにラストシーンにダメ出しをし、持論をえんえんと展開し、一晩をついやします。
ラストシーンが終われば、みんなで打ち上げだと思っていたのに、一晩ジョヴァンニに付き合わされて、みんなグッタリ。ご苦労様ですw。
妻のパオラの気持ちがよくわかりました、笑。
ジョヴァンニは巨匠ではありますが、時代にもはや合っていないんですね。

内容を知らずに見た私は映画と現実がごっちゃになり、最初戸惑いました。
映画監督が映画を撮っていることがわかると、大丈夫でした。
途中にノリのいい曲やゆるいダンスが入り、楽しかったのですが、何を描きたかったのか、私にはわからず、エンディングで睡魔が押し寄せてきました。
イタリア人ってこんなに饒舌でしたっけ?

イタリアを代表する監督ナンニ・モレッティが自作自演の映画だそうで、彼のファン向きの映画です。
私は彼の監督した「ローマ法王の休日」を観たかもしれません。
演技も上手くて、多彩な方ですね。



<今朝の兄わんこ>
毛がボッサボッサです。毎日ブラッシングはしているのですが、上手くいきません。


昨夜ママが寝る時にはぐっすりと自分のベッドで寝ていた兄が、1時過ぎにクゥーンクゥーンと鳴き始めました。
仕方ないのでママのベッドまで連れていき、寝せました。
6時過ぎになると餌をくれと、ママの身体の上に上り、起こそうとします。とっても迷惑です。

年を取ったからか、兄は待つことをしなくなりました。
おやつを見せるとすぐに食べようとします。
ご飯もママパパが少し早めに食べていると、自分にもくれと言って鳴きます。
人も犬も年を取ると堪え性がなくなるのでしょうかね。困ったもんです。

「a human position」を観る2024/11/19

詩人の谷川俊太郎さんがお亡くなりになりました。たくさんの詩をお書きになりましたが、わたしは彼の第一詩集『二十億光年の孤独』が一番好きです。
ご冥福をお祈りします。

ノルウェー映画を観てきました。


夏が始まる頃、オーレスンに住み、新聞社に勤めるアスタは手術の後の療養生活を終え、出社する。
取材したのは、ホッケーチームやアールヌーボーの建物を保存するためのデモ、クルーズ船の景気など、地元のことだ。

アスタはガールフレンドのライブと猫といっしょに暮らしている。
ライブは古い椅子を修復し、キーボードで作曲しては歌っている。
二人は料理をしたり、ゲームをしたり、古い映画を観たりして穏やかに暮らしている。

ある日、ライブから新聞に載っている移民の子の記事を読んだかと聞かれる。
十年間ノルウェーに住み、働いてきた移民のアスランが労働法違反で強制送還されたという記事だ。
アスタはその記事に惹かれ、独自に調べて行く。


オーレスンは港町で、1904年に大火に見舞われ、町の中心部が焼失し、復興の際にユーゲント・シュティール建築の建物に建て替えられたそうです。
ユーゲント・シュティールはドイツ語で、「アール・ヌーボー」と同じ意味です。
物憂い、絵画のように美しい町です。

アスタは病気で子宮を摘出したのでしょうか。
どことなく悲しそうな様子です。
ライブはそんなアスタを心配しながらジッとそばで見守っている感じです。

二人で料理をしている場面が面白かったです。
何を作っているのでしょうか。
アスタは水中眼鏡(?)をつけて玉ねぎを沢山切っています。
ライブは着物、アスタは柔道着を着ています。
その後、丼ものを食べ、囲碁をしたり、日本映画を見たりしています。
「すみれの花、咲くころ」という歌が聞こえてきました。
監督は小津映画が好きだということなので、「お茶漬けの味」でも見ているのかもしれませんね。

アスタはライブに椅子を、ライブはアスタに歌をプレゼントする場面がいいです。
そういえばアスランが座っていた椅子がでてきます。
ライブはどうも移民の子のようです。
アスタの病気がきっかけとなり、アスタがライブに壁を作ってしまい、ライブはなすすべがなく困っていたのかもしれません。
でもアスランのことを調べるうちに、アスタはライブの置かれている立場に気づき、ここがあなたの居場所、ここにいてということを示したくなったのかもしれませんね。

特にこれといって何も起こらない、アスタの心の変化が映像で淡々と描かれている映画です。
私はつい心地よくて眠りに誘われてしまいそうになりましたww。

本編映像&予告編

つまらないことが気になるのですが、歯磨き。
最後に口をゆすぐのが、ライブが軽く一回でアスタがゼロ回。
イギリスでは口はゆすがなくていいと言われているとどこかのブログに書いてあるのを見ました。
ネットで調べると、歯磨き粉の中にフッ素や抗菌薬、抗炎症薬が含まれているので、軽く一回がベストだそうです。
古い時代のわたしは知りませんでした(恥)。
あなたは知っていましたか?

「ロスト・キング 500年越しの運命』を観る2024/11/07

「これは人生で正当な評価を得られず、真価を発揮できずにいた人の物語です」


フィリッパ・ラングレーは持病があるが、仕事を頑張ってやってきたつもりだった。
だが、上司には評価されていなかったらしく、若い新人女性に狙っていた仕事を奪われる。

失意の中、フィリッパは二人の息子たちといっしょにシェイクスピアの劇「リチャード三世」を観に行く。
劇を観ながら、リチャード三世(1452ー1485)はシェイクスピアが描いたように、醜いせむし故に性格が曲がってしまい、二人の甥を殺した、残忍な、不当に王位を奪った男なのかと疑問を持つ。

フィリッパは多くの書籍や文献を読み、リチャード三世の正当な評価を求めている市民サークル「リチャード三世協会」に参加する。
そんなフィリッパの前にいつしかリチャード三世の幻が現れるようになる。

リチャード三世のことを調べていくうちに、フィリッパは彼の遺体の埋葬場所に興味を持つ。
一説では遺体はレスターを流れるソアー川に捨てられたといわれている。
フィリッパは講演を聞きにレスターまで行き、講演会場に来ていた歴史家のジョン・アッシュダウン・ヒル博士にリチャード三世が埋葬されているかもしれない教会を探したいと相談すると、彼から教会の敷地は手つかずの場合が多いので、空き地を探すように助言される。
フィリッパが見つけた空き地は社会福祉課の駐車場になっていた。
フィリッパはそこにリチャード三世が埋められていると確信する。

フィリッパは考古学者のリチャード・バックリーに援助を求め、発掘のための資金集めとレスター市への発掘許可申請に奔走する。

発掘作業が進む中、足の骨が見つかる。
バックリーは修道士のものだと言ってそれ以上掘ろうとはしない。
しかし、フィリッパは自らの直感に基づき、発掘を強行する。
すると…。

このお話は実話です。
2012年9月にリチャード三世の遺骨は発見されました。
ヒル博士が探し出したリチャード三世の姉の女系子孫のミトコンドリア鑑定を行い、2013年2月に遺骨がリチャード三世のものと断定されたそうです。

歴史の専門家ではない女性(仕事をしていたので、主婦ではないですね)が、リチャード三世の遺体を探せたというのが、すごいことです。
だけどその後に、フィリッパさんの手柄を横取りしようとする連中が現れます。
色々とあったようですが、フィリッパさんに勲章が授与され、リチャード三世が正当な王であることが認められ、墓に王家の紋章が刻まれたそうなので、本当によかったです。

映画ではフィリッパの別居中の夫ジョンとリチャード三世役の人が素敵でした。
リチャード三世捜しに熱中する妻を馬鹿にすることなく、サポートするジョン(スティーブ・クーガン)の姿がとても好ましいです。
リチャード三世になったのはハリー・ロイドという役者です。


なかなか凜々しいリチャード三世ですね。
DNA鑑定によると、リチャード三世は青い目の金髪である可能性が強いみたいですが、残っている肖像画では黒髪の黒目ですね。
どちらが本当なのでしょうか。

映画ではリチャード三世の遺体の埋葬場所をどうやって見つけたかがそれほど詳しく描かれていません。
後から振り返ると、そこのところが疑問です。
フィリッパさんが発掘までの出来事を書いてくれていたらいいのですが。
(どなたかが彼女が本を書いたと書いていました。だから大学等の不正がバレたのねwww)

歴史はロマンですねぇ。
フィリッパを参考にして、埋もれている歴史を掘り出そうと思う方が観ると、勇気づけられるかも。

Official Trailer (英語)

「サウンド・オブ・フリーダム」を観る2024/10/30



アメリカ国土安全保障省の捜査官ティム・バラードは児童の性犯罪に関わる仕事をしている。

ある日、ペドフィリア(小児性愛者)の振りをして、おとり捜査をし、一人の男を逮捕する。
彼に連れられていた少年を父親の元に返すが、彼には姉のロシオがいて、彼女もいっしょに誘拐されていた。
ロシオを救出するために、ティムはコロンビアに飛ぶ。

コロンビアでは前科者ではありながら、誘拐された少年少女たちの救済をしているバンピロと地元警察のホルヘ、そして資金援助をしてくれる資産家のパブロの協力を得、ペドフィリア専門のホテルを離島に作ると言って、バイヤーたちを離島に呼び、一網打尽に検挙し、子どもたちを救出する計画を立て、実行する。
しかし、子どもたちの中にロシオはいなかった。

ホルヘは逮捕したバイヤーの一人からロシオが反政府のコロンビア革命軍に売られたと聞く。
ティムは医師になりすまして、単身、革命軍のアジトに潜入し、宴の騒ぎに乗じて、ロシオを取り戻す。

この映画は児童人身売買を扱ったものだというので見に行ったので、五年間もお蔵入りしていたと知り、驚きました。
事実に基づいた映画だそうですが、昨年、ティム・バラードが女性から訴えられたとか、クリスチャン映画だとか、Qアノンの陰謀論映画だとか、なんたらかんたらと言われているとか。そういわれてみると、表現に宗教臭さがありました。
映画のことは置いておいて、人身売買が実際に行われていることは確かなことで、今も子どもたちが誘拐され、売られているのです。
そのことを知るのには、まあ、いい映画だと思います。
でも、何故ティムがあれだけロシオに執着するのかがわかりませんでしたし、最後の革命軍から少女を奪還する場面は、あまりにも簡単に行き過ぎて、現実感がありませんでした。
おぞましい場面は極力排除してありますので、その点は安心して観られます。
制作側の強い思いは感じられましたが、最後が蛇足に思えました。


<今週のおやつ>


シナボンのミニボンクラシック。
小さくても、とても甘~い。普通サイズだと、どれだけのカロリーになることか。
先週食べたシナモンロールよりも甘かったです。

「花嫁はどこへ?」を観る2024/10/27



2001年、インド。
大安吉日に結婚式をあげたディーパクとプールは、ディーパクの家に行くためにプールの実家を出て、バイクや船、車の屋根などに乗り継ぎ、駅まで行き、急行列車に乗った。
列車は満員で、同じ日に結婚式をあげたカップルが沢山乗っていた。
花嫁はみな同じような赤いサリーを着て、赤いベールを被っている。
途中の駅で人が降りたり、乗ってきたりする。
ディーパクがトイレに行って帰って来ると、隣に座っていたプールが別の座席に動いていた。
いつのまにか眠ってしまったディーパクが目覚めると、降りるはずの駅だった。
急いでプールと覚しき女性に合図し、列車を降り、バスに乗り、家に着いたのは夜中だった。
村の仲間に歓迎され、親たちに挨拶をし、花嫁のベールをとると、そこにいたのは見知らぬ女性だった。
一体、彼女は誰?
プールはどこに?
その女性はプシュパと名乗り、夫の名前や住む場所、電話番号などを話した。
翌日、ディパークは地元の警察に行き、マノハル警部補に相談する。

一方、プールは見知らぬ駅で降り、ディーパクを探すが、彼は見つからない。
知らない男に話しかけられ、怖くなってトイレに逃げ込み、泣きながら一夜を明かす。
翌日、プールのことを心配して話しかけてきた少年、チョトゥに駅長のところに連れられていくが、プールは乗った駅名も降りるはずの駅名も、嫁ぎ先の村の名前さえも覚えていなくて、駅長もお手上げ。
チョトゥに屋台の女主人マンジュを紹介され、プールは彼女の店の手伝いをすることになる。

マノハルは他の警察に出された花嫁の捜索願や結婚詐欺などをプールの件と結びつけて考え、プシュパを尾行する。
プシュパの行動はどうも怪しい。

プシュパの隠された意図は何か。
そして、プールは無事にディーパクと会えるのか…。

インド映画というと、延々と流れる歌とダンスが有名ですよね。
この映画は歌もダンスもありません。
それに約二時間と短いので、ご心配なくww。
コメディタッチではありますが、根底に流れるのは新しい女性の生き方です。
世間知らずだったプールはマンジュから結婚して夫に依存して生きるだけではない生き方を学びます。
プシュパは実は偽名で、実の名前をジャヤと言いますが、自分で自分の生き方を選び、チャンスを掴もうとします。
インドはIT大国でありながら因習に囚われた国というイメージがありますが、それもだんだんと変わりつつあるのでしょうね。

プール役のニターンシー・ゴーエルは10代だそうで、幼い花嫁にピッタリでかわいいし、ジャヤ役のプラティバー・ランターは意志の強い女性という感じが出ていました。
インドの女性は美しいですね。
それに比べると、あくまでも私の好みですが、男性は…。

最後に驚かされたのが、悪徳警察官のマノハルです。
賄賂を平気で取るくせに…意外でした。
人にはうかがいしれない面があるのです。

この映画では、インドの田園風景や伝統的な結婚文化、交通機関、女性の権利と社会問題などが垣間見られます。
現代のインドと違うところがあるでしょうが、インドのことを知らない人にはいい入門映画になるでしょう。
ほのぼのとした明るい映画ですので、観て損はないです。
二時間が短く感じられる映画です。

同意の首振り、真似したいけど、目眩がしそう、笑。


<休日のわんこたち>
イチョウの木が黄色くなってきましたね。


相変わらず、外に行くと楽しそうな兄。
寒くなってきたからか、夏はママの足下で寝ていたのに、この頃、腰の辺りに来て寝ることもあります。


こちらは相変わらずヤンチャで、落ち着きのない弟です。
彼のように元気な56歳はいませんわ。