南杏子 『ステージドクター菜々子が熱くなる瞬間』 ― 2020/03/16
『サイレント・ブレス』や『ディア・ペイシェント』などの医療小説を書いた南さんの最新作。
今度も女医ですが、扱うのはステージ。
スポーツドクターは有名ですが、医師でも色々な所で活躍するのですね。
菜々子は医療事故をきっかけに都心の大病院を退職し、兄が経営する個人病院で働き始めます。
市の教育委員会で働いている同級生に頼まれ、市民会館でステージに立つ出演者たちの医療サポートをすることになります。
出演者には末期癌のお笑い芸人、白血病の少年、歩行困難のある女社長、演歌歌手、慢性疾患持ちの和太鼓メンバーたち、アルコール依存症の市民合唱団の指揮者
など、どの人もステージに立つためには医療的配慮が必要です。
最初は兄に反対されていましたが、菜々子の熱意に周りも協力してくれるようになっていきます。
菜々子が大病院を辞めるきっかけになったことも上手くおさまりますが、そんなことでくじけていたらこれからも医師を続けるのが辛いんじゃないかなと思いました。
今の時代、モンスター・ペイシェントなんか沢山いますから。
それに問題のありそうな彼氏が出てこなくて、変だなぁと思っていたら、やっぱりねぇ。
でも、彼女のような内科医が身近にいてくれたらいいなと思いました。
ホーム・ドクターになっていただきたいぐらいです。
前作に比べると印象の薄い作品ですが、後味のいいほっこりできるお話です。
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