ヨルン・リーエル・ホルスト 『刑事ヴィスティング 悪意 』2022/06/14

「警部ヴィスティング」シリーズの翻訳四作目で、「未解決事件四部作」の三作目となります。


二人の女性の暴行・殺人・死体遺棄の罪で禁固刑21年を言い渡されていたトム・ケルが、もう一人の女性の犯行を告白し、死体を遺棄した場所を自供する見返りとして世界一人道的だと言われているハルデン刑務所への移送を要求した。
未解決事件だったため、クリポスのアドリアン・スティレルがその事件の責任者となっていて、彼はヴィスティングの娘リーネをケル護送の撮影スタッフに起用した。
リーネは今回の記録ビデオをドキュメンタリー番組に使用する権利を確保しており、制作会社とも接触していた。
ケルが死体遺棄したという現場がラルヴィック警察の所轄区域内だったため、ヴィリアム・ヴィスティングたちも加わり、現場の警備をすることになる。
ところが現場に赴いた際にトム・ケルは手榴弾を爆発させ、逃亡してしまう。
トム・ケルの逃亡に関与したのが、共犯者のアザー・ワンではないかと思われた。

クリポスは刑務所を出る前にトム・ケルに発信器をふたつ仕込んでいた。
そのためトム・ケルがある別荘に潜んでいるとわかるが、別荘に突入するとトム・ケルの姿はなかった…。

トム・ケルはどこに消えたのか。
アザー・ワンは誰なのか。
ヴィスティングたちの地道な捜査が始まる。

今度のお話はアクション場面が多いです。
作者のホルストは実際にノルウェーで警官だったそうなので、現実味があります。
ヴィスティングは優秀なのですが、人に恨みをもたれやすく、また内部調査担当のタリュエ・ノールブー主任警部がやって来ます。
前にヴィスティングにこけにされたのがよほど頭にきたのか、今度は報復するために執拗にヴィスティングを陥れようとします。

リーネは父親と共に働きながらも、立場の違いから知ることができないことがあることに苛立ち、独自に調査をしていきます。
仲のいい親子でも、仕事が関係すると難しいですね。
彼女は危ういと前回書きましたが、今回はとても危ない目に会います。
娘もいるのですから、ジャーナリストとしての野心があるのでしょうけど、もう少し考えて行動して欲しいですわ。と言ってもリーネは聞く耳もたずですけど。
リーナはスティレルのことを意識しているみたいです。
これからスティレルとリーネの関係は進展していくのでしょうか。

次の未解決事件もこの三人が絡んでくるのでしょうか。
翻訳が待たれます。