中山七里 『隣はシリアルキラー』2020/10/13

『キャッツ』や『オペラ座の怪人』などを作曲したアンドルー・ロイド・ウェッバーが自宅待機中に「ComposerInIsolation(隔離中の作曲家)」というタイトルで自宅から演奏動画を配信していたようです。
72歳になるのですが、まだまだ現役です。
『オペラ座の怪人』のカーテンコールでサラ・ブライトマンを「my angel of 
music」と言っていましたが、お二人は結婚していたことがあるのですね。
『オペラ座の怪人』はサラのために書いたようです。
自身のピアノ演奏の他に視聴者が歌うビデオを募集して、編集して、紹介してたりしています。
大作曲家なのに気さくなおじいさんです。

中山七里デビュー10周年記念12ヶ月連続新作企画も残すは3冊となりました。
この『隣はシリアルキラー』は9月の本です。
私としては11月の『復讐の協奏曲』が一番楽しみです。早く読みたいわ。


<ニシムラ加工>でメッキ加工の酸浸漬工程で働いている神足友哉は、寮の隣に住んでいる中国人の技能実習生・徐浩然に頭にきていました。
夜中に帰って来て、浴室を使うのです。
それもシャワーの音だけならまだしも、死体を解体して洗い流しているような不気味な音を立てるのです。
思い切って壁を叩いて注意してみても駄目、朝会ったので文句を言っても暖簾に腕押し。
そのおかげでこの頃寝不足気味で、酸浸漬槽に落ちそうになり、仕事を教えてくれたトレーナーで友人でもある矢口正樹に助けられました。
心配した矢口に寝不足の理由を聞かれ、徐のことを話しましたが、妄想大爆発だと言われてしまいました。

その頃、会社付近で女性の死体の一部が発見されます。
徐が犯人ではないかと思った神足は夜中に出かけた徐の後をつけます。
徐は<ニシムラ加工>の近くにある工場に入っていき、廃棄槽に何かを放り込んでいました。
神足が確かめてみると、それは人の手でした。
驚いた神足はとにかく寮に帰ろうと道を引き返していると、なんと徐と出会ってしまいます。
一緒に帰ろうと誘う徐を振り切り、神足は一人で寮まで帰りました。
次の日、矢口に昨夜の話をし、匿名で警察に通報しすることにしました。
警察が来て捜査をしますが、何も見つかりません。
しかし、別の工場の廃棄槽から腕が見つかります。

徐のことを疑いながらも神足は警察とは関わりをもとうとはしません。
そのうち仲の良い(まだ恋人未満の)紗穂里が、徐に後をつけられていることがわかりますが、神足は警察には言わずに、矢口の助けを借りることにします。

とっても軽い読み物です。
シリアルキラーという割にそんなに怖くないですから、怖いものが嫌いな人でも大丈夫です。
最後にどんなドンデン返しが来るのかと楽しみにしていましたが、それほどでもなかったです。別の人が犯人だったら驚いたかも。



またご飯を食べなくなった兄。
原因はわかっています。パパです。
ママが人用のご飯を作っているのでパパに犬用のご飯を任せたら、ご飯の上にちゅ~るをかけて食べさせていました。
そうすると兄はちゅ~るがないと食べなくなります。
弟はちゅ~るがあろうがなかろうが関係ありませんけどwww.
口が肥えてる兄です。

読んだマンガ2020/09/27

イギリスのウエストエンドに出演しているウエールズ人の青年たちの新しい歌がアップされていました。
ミュージカル、「ミス・サイゴン」の中から、「Bui Doi」です。
今回は男性8人が歌っていますが、迫力があっていいです。
私的にはステファン君の声が、泥臭いこの歌に合っていないなと思いました。


「Bui Doi」とはアメリカ人とベトナム人との間に生まれた子のことで、ベトナムでは酷い差別を受けていました。
そのため彼らは「Bui Doi」すなわち「ごみくず」と言われていたのです。
「ミス・サイゴン」はまだ観たことがありませんが、コロナがおさまったら、ブロードウェイかウエストエンドで観てみたいです。



小日向まるこ 『堀の中の美容室』
服役中に美容師の資格を取ることができることは知りませんでした。
このマンガでは女子刑務所内の美容院で一般客の髪を切っている小松原葉留が主人公です。
何があって彼女は罪を犯し、何故美容師となり、髪を切っているのでしょうか。

滝沢秀一・滝沢友紀 『ゴミ清掃員の日常』
秀一さんはお笑いをやりながらゴミ清掃員もやっている方だそうです。
収入は圧倒的に清掃員の方があるようですが。
そんな彼が清掃員をやりながら、経験したことやら思ったことやらをマンガにしたものです。
靴やらベルトを捨てようと思った時に、区からもらっているゴミの出し方の手引き書を見てびっくりしましたが、靴やベルトは可燃ゴミでいいんです。
結構知らないことがあります。一度「ごみ・資源の分け方」とかいうのを読んでみるといいですよ。
このマンガもゴミについて考えいるいい手引き書です。

七海仁月子 『Shrink~精神科医ヨワイ 3』
今回取り上げるのは、拒食症とPTSDです。
拒食症と言えば、カーペンターズのカレンさんのことを思い出します。
なかなか治らない病気のようで、命をなくすこともあるそうです。
興味のある方は読んでみてください。

二宮敦人 『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常 3』
最初に出てくるブラジャーウーマンってホントにいるの?と思って検索したら、いっぱい画像が出てきました!
King Gnuは好きなバンドですが、なんとヴォーカルの井口さんって藝大出身だったのね。藝大時代の彼が登場して、これまたびっくり!
藝大って懐が深いのね。

Cuvie 『絢爛たるグランドセーヌ 16』
奏は英国ロイヤル・バレエ・スクールのロウアー・スクール10年生に編入留学をしました。英語や文化の違いなどに戸惑いながらも前に進む奏。
世界的なプリマになって欲しいです。

田村由美 『ミステリと言う勿れ 7』
久能整が墓地にお参りに行くと、お世話になった天達先生が来ていました。
その日は天達先生の妻・喜和の命日でした。
二人でいつもの甘味屋に入っていると、週末のバイトを頼まれます。
天達の友人が別荘で謎解きミステリー会を催すので、片付けと給仕などを手伝って欲しいというのです。
ミステリーナイトで出されたのは、実際に別荘の持ち主の妻の事件だったようです。
さて、整はどう推理していったのでしょうか。

田島列島 『水は海に向かって流れる 3』
26歳の榊は、母親のダブル不倫相手の息子・直達と一緒に母親に会いに行きます。母親は別の男性と家庭を持っていて、幸せそうでした。
海で直達は榊への思いを告げますが、榊は直達を自由にするために家を出て行くことにします。
二人の間はどうなるのでしょうか・・・。

清水玲子 『秘密 season0  9』
恐ろしい子、「光」を里子として引き取ってしまった青木。
青木は大丈夫かと、読むのが怖くなります。
このシリーズ、怖い物見たさで読んでしまいます。

他に『タラレバ娘 シーズン2 3』(もう読みません)とか、『青のオーケストラ 8』も読みました。

どのシリーズ(『タラレバ娘』以外ね)もおすすめです。

読んだ漫画2020/08/30

先週発表されたWelsh of the West Endの新曲は『Frozen』の中の「Let It Go」です。(Jadeさん、太った?髪型のせい?)
女性向きの歌なのか、男性があまり活躍できていないのが残念です。
聞いてみてください。


ヤマシタトモコ 『違国日記』
私、題名を「建国記念日」だと思っていました(恥)。よく見ていないのよねぇ。

小説家の高代槙生は勢いで死んだ姉夫婦の遺児の朝を引き取ることにします。
槙生は人見知りな性格故に、人の感情をさっせないし、人と同じ部屋にいるととても気詰まりで、誰かと一緒に暮らす生活には向いていないと思っていました。(ちょっと発達障害っぽいですね)
槙生は朝にそれを言い、朝の気持ちがわからないので、彼女に寄り添えないとはっきり言い渡します。
朝は淋しさから槙生の気持ちを確かめる行動を起しますが・・・。

槙生のような人、わかります。私も似たような傾向が少しありますから。
彼女の方が生き方に一貫性があり、格好良いですけどね。
これから朝がどのように育ち、槙生の元から飛だつのかしら。

よしながふみ 『きのう何食べた? 17』
今回は作りたくなるお料理はありませんでした。
ケンさんとシロさんの仲も変わらず。そういえば二人もそろそろ50代なのよねぇ。それなのにケンさん、いつもキャピキャピのギャルみたいねぇ(笑)。

板垣巴留 『BEASTARS 20』
レゴシとメロンの最終決戦目前。
なんか話が壮大になってきて、どう収まるのかしら?
学校にいた頃の悩むレゴシ君が好きですわ。

グレゴリ青山 『京都深堀さんぽ』
京都、大好きです。が、外国の方々が押しかけるようになってからは行っていません。昔の落ち着きのある京都に戻って欲しいです。
コロナ禍が落ち着いたら、ゆっくりとこの本に載っている所を回ってみたいです。

たかまつやよい 『流されて八丈島 いよいよ10年目!』
10年目にして、連載も終わりということです。
ひょんなことから住んで早10年。八丈島は暮らしやすいのでしょうね。
たまには八丈島の皆さんのことを描いて下さいね。
行けるようになったら、一度伺いますから。

二階堂ヒカル 『あおざくら 防衛大学校物語 17』
防衛医科大学の方はすぐに終わっちゃったのに、こちらの方は続いています。
いよいよ二学年に進級し、一年生が入学してきました。
去年の自分たちのことを思い出しつつ、先輩として頑張っています。
この分でいくと卒業まで描いていくのかしら?

みやうち沙矢 『DOG SIGNAL 4』
犬を飼っている人必読の漫画です。
読みながら自分の飼い方を見直し、よりよい飼い主になるようにしようと思います。犬は飼い主のおもちゃではなく、生き物ですからね。
しつけをちゃんとしなければ・・・。

恵三朗 『フラジャイル 18』
壮望会に医療事故の申し立てが。それが何故か担当の医師にではなく、病理医の岸恭一郎に対するものでした。岸の医師免許剥奪が目的か!

今回の一押しは『違国日記』です。
シリーズ物も安定の面白さでした。

久しぶりのお兄ちゃんの寝姿です。


首がこんなに曲がっても犬は平気なのね。人間なら、次の日大変。
写真を撮っても気づかず、このままでした(笑)。
弟は潜り込むのが好きなので、こんな姿を見たことは一度しかありません。


Welsh of the West End2020/08/10

ロンドンのウエストエンドは、NYのブロードウェイです。
コロナ禍の今、まだ劇場は再開されていません。
そのため様々なスターたちがリモートで歌を配信してくれています。
何回か紹介してきましたが、私が今注目しているのは、Welsh of the West Endからのものです。
ステファン君が中心になって、若いウエールズ出身の若者達が集まって歌を歌っています。

ウエールズ人ってどんな人たちなのでしょう。
今までイングランド人やスコットランド人、アイルランド人などとの違いを特に気にしていませんでした。
調べてみると、ウエールズって「歌の国」で、男性合唱団のルーツなんですって。

ステファン君はオーディションを受け、2017年からウエールズの男性合唱団、
Only Men Aloudのメンバーになっています。
私の好きな「For Good」を一緒に歌っているトム君は、Only Men Aloudの設立者Tim Thys-Evansさんが2010年に設立した少年合唱団のOnly Boys Aloudのメンバーだったようです。
2012年、Only Boys Aloudは公開オーディション番組Britain's Got Talent で3位になっています。この時、トム君はソリストとして参加していました。
ちなみにOnly Boys Aloudは、団員が240名ほどで、ウエールズ各地に14の合唱団があります。
費用は無料で、11歳から19歳までのウエールズに住んでいる歌好きの少年なら誰でも参加できます。
「歌の国」ならではですね。日本ではたとえ無料でも200人も集まりませんよね。
トム君はこの少年合唱団からGuildford School of Actingで学び、卒業。
卒業した2015年にOnly Boys Aloud出身者として初めてOnly Men Aloudにリクルートされています。
歌うことよりActの方により興味があるようで、自分のことをActorと言っています。
Only Men Aloudの正式メンバーではないらしい(HPに名前が載っていない)のですが、たまに一緒に歌っているようです。

トム君が現在のOnly Boys Aloudと一緒に歌っているビデオがアップされていましたので、紹介しておきます。
歌はビリー・ジョエルの「River of Dreams」。
ステファン君はOnly Boys Aloudのキャプテンになっているので、右下の小さい画面でピアノを弾いて参加しています。
見ていると、真面目に歌っているのかしら?という子もいて、この合唱団がウエールズ社会で果たしている役割がわかります。

Welsh of the West Endの方では新しく「Welsh Musical Theatre Medley」がアップされています。
ウエールズ語の歌は歌詞が全くわかりませんが、ウエールズ語の響きがよくわかります。

近頃のステファン君と一緒に歌おうの方は、Siwan Hendersonさんとミュージカル「Dear Evan Hansen」から「Only Us」を歌っています。
良い歌なのですが、何か物足りないのです。
ブロードウェイの「Dear Evan Hansen」で主役をしていたBen Platt君とLaura 
Dreyfussさんの二人が「Only Us」を歌っているのを聞いてわかりました。
二人の間にはあるはずのエモーショナルな感情が感じられないのです。
ステファン君の笑顔も声も歌い方も素敵ですが、如何せん一本調子で、どの歌を聞いても同じように聞こえてしまいます。
ローラさんもそうなんですね。
何でトム君との歌が好きかというと、たぶんトム君とはOnly Men Aloudを通じてのお友達だから、友情を扱った歌が表現しやすかったんでしょうね。
二人のハーモニーが良く合っています。
「Only Us」は二人が恋心を告白し合う初々しい場面で歌われています。
トム君とローラさんの間には何もないことがわかりましたわ(笑)。
あくまでも私の感じたことですけど。

これらのウエールズ出身の若者たちの中から、次のスターが出てくるといいですね。
劇場が再開され、彼らが活躍出来る日を楽しみに待っています。

(YouTube画面をはめ込もうと思ったのですが、朝日ネットでは面倒なのでリンクだけにしてあります)

ブレイディみかこ 『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』2020/08/09



本屋大賞・ノンフィクション本大賞、受賞作の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を書いたブレイディみかこが、今度はイングランド南部の中年おっさんたちの生態を描きました。

副題の「ハマータウンのおっさんたち」とは、1977年に文化社会学者のポール・ウィリスが書いた『ハマータウンの野郎ども―学校への反抗・労働への順応』で調査対象であった労働者階級の少年たちが、今や老いておっさんとなったということらしいです。
この本は「英国の労働者階級のガキどもは反抗的で反権威的なくせして、なぜ自分たちから既存の社会階級の枠にはまり込んでいっちゃうのか。自らガテン系の仕事を選び、いかにもな感じの労働者階級のおっさんになりがちなのか」を研究した本だそうです。(プレイディみかこさんによる)
その頃、16歳だった少年は今や59歳。
立派なおっさんですね。

イギリスというと、「ゆりかごから墓場まで」を学校で習いました。
「ハマータウンの野郎ども」のおっさんたちが社会に出た頃は、まだイギリスは福祉社会でした。
失業すれば簡単に失業保険が出たし、怪我や病気をしてもNHS(国民健康サービス)で無料(不妊治療も無料だったそうです)で治療してもらえるし、大学の学費も無料なので、行こうと思えば大学まで行けるし、労働組合の力も強かった。
よきイギリスですね。でも、それは過去のこと。
今や緊縮財政で公共のサービスや福祉はカットされ、経済的に苦しくなっています。
NHSでは診察や治療を待たされ、待ちきれない人たちは民間の病院を使うようになりました。
労働組合が弱体化したため企業のパワーが肥大化し、仕事は歩合制やゼロ時間雇用契約が横行し、雇用条件や賃金が悪化しており、一端道を踏み外すと、下層民になってしまいます。
昔の若者は社会に対して反抗的だったのに、今の若者は真面目に働き、酒も飲まず、社会に対して従順なのだそうです。
若い人たちが酒を飲まなくなったので、潰れるパブも出てきており、パブはもはやパブリック・ハウスの役も果たせなくなってきたようです。
イギリスというとビールと思ったら、今やビールよりもスパークリングワインが売れてるそうです。
私たちの持っているイギリスのイメージが崩れますね。

よく言われているのが、「イギリスは階級社会」です。
昔は階級は職業と収入で決められており、3つ(上流、中流、労働者)でしたが、今はソーシャルな側面と文化的側面を加味して、7つになったそうです。
労働者階級の多様さや、白人労働者と移民との関係など色々と問題はあるようです。
詳しくは本を読んでください。
本に出てくるBBCの「Class Calculator」はここへ。
自分がどの階級に属するか、やってみると面白いかも。

EU離脱で揺れるイギリスでおっさんたちは何を考え、どう暮らしているのか。
一概にひとつではくくれませんが、日本のおっさんたちより生き方が多種多様な気がします。

本の中に出てくる歌を紹介しておきましょう。
モンティ・パイソン(イギリスの有名なコメディ・グループ)のメンバー、エリック・アイドルによる「Always Look on the Bright Side of Life」(1979年)。
磔刑にされているのに、のんきに歌ってますね(笑)。
この歌は国民的愛唱歌で、葬式やサッカーの試合などで歌われているとか。
もう一曲はFatboy Slim の「Praise You」(1999年)。
この踊り、何ですか。爆笑物です。
こういうのがイギリスのおっさんの好みなのね。
半ケツが好きなのもイギリスのおっさんです。
是非、映画の「フル・モンティ」でも見て笑ってください。
ア、これは半ケツではなくて、男性ストリップだったっけ。
半ケツ映画は思い出せないので、ストリップで我慢してください。
イギリスの炭鉱に働く男達の悲哀と哀愁をたぶん感じますよ(笑)。

荒川三喜夫 『ピアノのムシ 1~13』2020/07/30

渡辺直美がレディ・ガガのパロディを作ったというので見たいと思っていたら、YouTubeにあったので、早速見てみました。
ユリアンレトリバーが共演していて、パロディとは思えない出来の良さ。
キレッキレのダンスがすごいです。
私も太っているけど、あんなに踊れませんわ(笑)。

Lady Gaga "Rain On Me with Ariana Grande" Official Parody
Lady Gaga, Ariana Grande-Rain On Me(Official Music Video)

串団子が痛々しい・・・。


今、アガサ・レーズン・シリーズと同時に分厚い本を読んでいます。
無理して紹介しなくてもいいのですが、面白い漫画があったので書いておきます。


主人公の蛭田敦士はピアノ調律師。
性格がものすごく悪く、へそ曲がりで、嫌だと思ったことは絶対にやらない。
ピアノ調律師とはいえ接客が必要なのに、わざと怒らしているのかと思えるような言動をします。
しかし、彼の調律の技術は一流です。
そんな彼が務めているのが巽調律所。
所長の巽がぎっくり腰で動けない時に出した所員募集に応募してきたのが、ピアノ調律学校を卒業したばかりの星野小眞でした。
経験のない小眞なので、蛭田に付いて調律のやり方を学ぶ研修生になりましたが、蛭田に振り回される毎日。
あの男は人間として最低と思いつつ、彼の作るピアノの音に魅了されていきます。

この蛭田と小眞が出会うお客たちと阿漕な商売をやっているピアノ流通センターの社長・鏡、ピアノ・メーカーのアマギの主任調律師・八島、調律師団体「エメリッヒソサエティ」代表・番場などが絡み、ピアノ・メーカーやピアノ販売の裏側と調律師の仕事の低い評価、ピアニストたちのわがままな面、地方の公共ホールの問題点など多彩な話題が描かれています。

私はオルガンを習ってましたがピアノまでいかなかったので、ピアノが弾ける人が羨ましいです。
ピアノが弾ける、歌が歌える、ダンスができるかすると自慢できますよね(誰に?)。
今からやるにしても、指が短いのでピアノは無理だし、ダンスは体がついていけません。情けなか~ぁ。

家にピアノがある人、ちゃんと調律していますか?
この漫画を見ると調律がピアノには必須で、どれほどすごい技術であるのかがよくわかります。
ちょっとぐらい調律料が高くても、それだけの技術なのですから、快く出してあげましょうよ。
ピアノを買う時はピアノ教師やお店の人の勧める物は買わない方がいいですよ。
調律師にも当たりハズレがありますので、頑張っていい調律師を探しましょう。
なによりもピアノを毎日弾いて、可愛がってあげましょうね。
くれぐれもクレーマーにならないように(笑)。

そうそう、宮下奈都の『羊と鋼の森』も一緒に読むといいでしょう。
こちらは蛭田と違って穏やかな職人という調律師さんですよ。

「グレイテストショーマン」を見る2020/07/27

この頃よくウエストエンドの若いウエールズ人たちがリモートで歌っているのを見ています。
また新しい歌がアップしたので、紹介します。
「The Greatest Showman」の中の「This is Me」です。
From Now On」も良かったのですが、今回も良い出来だと思います。

ステファン君がこの中の何人かと一緒に歌っているバージョンもあります。
Maredさんの声が好きなのですが、「Let It Be」は私的には今一でした。
きれい過ぎて、もっと泥臭いのが好きです。
今の所の私のお気に入りは、ちょっとキモい(?)トム君と歌っている、「For 
Good
」です。

映画館にはまだ行く気になれないので、安いDVDを買って映画を見ようと思っています。
「This is Me」や「From Now On」がどういう場面で歌われているのか見て見たかったので、このDVDを買ってみました。


実際に19世紀に活躍した興行師・P.T.バーナムを(1810ー1891)モデルにした映画です。
色々と事実とは違うところがありますが、ドキュメンタリーではないので、映画が盛り上がればいいのです。
(ネタバレあり)

貧しい暮らしをしていたバーナムは良家の令嬢との初恋を成就させ結婚。
しかし、仕事が長続きせず、なかなか暮らしは楽にはなりません。
貿易会社に務めても船が沈没してしまい、会社は倒産、彼を含め全員が解雇されてしまいます。
バーナムは沈没した船の登録証を持ち出し、それを担保にし銀行から融資を受け、「バーナム博物館」をオープンさせます。
人がなかなか来ないので、考えたのが世界中から様々な人(小人症の男、大男、髭の女、全身刺青の男など)を集めサーカスを作りショーをすることでした。
ショーは大受けでしたが、新聞では酷評され、町の恥だと抗議する人たちが出てきました。
お金は入ったのですが成金と言われ、いつまで経っても上流社会からはつまはじき。
そんな頃、上流階級の人たちからもてはやされていた劇作家のフィリップ・カーライルと知り合いになり、ショーの演出家としてリクルートします。
彼のコネでヴィクトリア女王とも謁見できました。
その時欧州随一のオペラ歌手と言われていたジェニー・リンドと出会い、彼女とアメリカ公演の契約をします。
公演は成功しますが、ジェニーはバーナムに好意以上を要求し、バーナムが断ったため、その後の公演は中止になってしまい、バーナムは巨額な借金を背負うことになります。
NYに戻った時、「バーナム博物館」は放火で全焼し、愛する有色人種のブランコ乗りを助けに行ったフィリップは大けがをしてしまいます。
妻はジェニーとのことでバーナムに愛想をつかし、娘たちを連れ実家に帰ってしまいます。
全てを失ったバーナムがやけ酒を飲んでいると、そこにサーカスの団員たちが現れます。
彼らはサーカスが自分たちの居場所だったと言い、サーカスを再建するようにバーナムを説得します。
そしてバーナムは・・・。

「This is Me」はジェニー・リンドが初めてNYで公演した後のパーティにサーカスの団員たちが出席拒否され、彼らが怒って無断でパーティに押しかけた時に歌われます。
家族からも疎まれ、いない物として扱われていたのが、ショーに出るようになり、やっと自分たちの居場所が出来たと思っていたのに、バーナムに拒否され、思わずパーティに押しかけるのです。(バーナムは結局は差別主義者だったの?)
誇りを持って、これが私と言い切る、素敵な場面です。
「From Now On」はバーナムがやけ酒をあおっていた時にサーカスのみんなに励まされ、もう一度やろうと思い直す時に歌われます。
この2曲もいいのですが、「A Million Dreams」や「Never Enough」も場面に合っていて、忘れられない歌です。
そうそう、フィリップとブランコ乗りのアンの場面が幻想的でした。

実際、サーカスの出演者たちはバーナムに利用されていた訳ではなく、後に大金持ちになっている人が結構いるようです。
バーナムは人間性に問題がありそうですが、ただのごうつくばりではなかったようです。

フィリップ役のザック君、懐かしいです。
どこかで見たことがあると思ったら「ハイスクールミュージカル」の主人公のトロイ君でしたね。
大きくなった(体も)のね。

映画としては短かったので、描ききれないものがあったとは思いますが、見て損はしないと思います。

西條奈加 『九十九藤』2020/06/25

なんかいい歌がないかなとYouTubeを見ていると、いくつかいい歌を見つけました。
一人暮らしで、淋しいときは聞いて見てください。

Lean On Me」ArtistsCAN
Count On Me」Only Men Aloud
I'll Be There」Only Men Aloud
You Will Be Found」The Welsh of the West End
You're Not AloneMusical performance with Keala Settle, Kerry Ellis and                                more
You're Not Alone」 Michael Jackson




私は英語の勉強だと思って歌詞を見ながら聞いています。
わからないところがあっても日本語に訳してくれている人もいますから、そんなブログを参考にするといいかも。

関係ないですが、男性二人で歌うミュージカルのWickedの中の歌「For Good」がこの頃のお気にいりです。
もともとはエルファバとグリンダの別れのシーンで歌われる、女性二人の歌です。
ウエールズ出身のSteffan HughesとTom Hierの二人が歌っています。
彼らはイギリスの男性コーラスグループOnly Men Aloudのメンバーらしいです。



たまたま株が買えたので四軒目の店として口入屋・冬屋をやり始めた増子屋太左衛門でしたが、二年経っても上手くいかず、店をたたむしかないかと思案していました。
生家が口入業にたずさわっていたことから冬屋を任されたのがお藤でした。
口入屋は奉公人を世話する商売ですが、主に武家が客で、荒っぽい中間を相手にする商売なので腕っぷしの強さが必要でした。
お藤は武家相手から手を引き、商家を相手にしようと考えていました。
祖母のつてで六軒の大店から奉公人を雇うことを承諾されていたのです。
しかし前からいる手代たちには通じません。しばらく武家相手と商家相手の二本立てでいくことになりました。

お藤は『商いは人で決まる』を信条として、冬屋立て直しにかかります。
ただ人を紹介するだけでは駄目なのです。
江戸のお店で賄いや掃除などの仕事を男衆がやっているのに目をつけました。
辛抱のききそうな七人を選び、店で寝泊まりをさせ、お兼を指南役とし、みっちりと台所仕事や掃除を仕込んだのです。
なんとか軌道にのりそうな時に、お藤のことを面白くなく思う組合から呼び出しが・・・。

お藤のバイタリティーがすごいですね。
彼女の過去には色々とありましたから、チャンスがあったらすかさず掴むし、脅しにも負けないし、気概があり、奉公人のことを第一に考えることができるのです。
太左衛門のおかみさんのお品さんが素敵で、お藤といいコンビです。
お藤の思い人の黒羽の百蔵のことをもっと描いて欲しかったです。
お江戸版お仕事本です。

3人の女優が・・・。2020/06/03

YouTubeで音楽を流しながらネットサーフィンしてます。
この頃のお気に入りは、ミュージカルの中の歌です。
今ブロードウェイやウエスト・エンドなどで舞台ができないので、積極的にビデオを作り発信しているようです。
どの歌も有名なのでしょうけど、私は「レ・ミゼラブル」以外は知りませんでした(恥)。
「レ・ミゼラブル」ではアルフィー・ボーの歌う「Bring Him Home」がいいです。
アルフィー・ボーは三十代頃が一番素敵です。この頃籠もりすぎなのか太ってしまったような・・・(失礼)。
彼はどちらかというとミュージカル歌手というよりオペラ歌手に近いですね。
「レント」(DVDを買ったのにまだ見ていません)の「Seasons of Love」はしゃれています。
最初に「Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes」と一年間を分で数えます。
そして、一年を何で数えようか。夜明け、日没、真夜中、コーヒー、笑った数・・・愛では?という感じの歌です。
2020年はどうでしょう?

他には「Dear Evan Hansen」の「You will be found」。
誰も友達のいなかったEvanが自分への手紙を書くことによって変わっていくというミュージカルだそうです。
自粛生活で孤独を感じていた若い人にぴったりの曲です。
どんな時でも君は一人ではないというメッセージのこもった歌です。

驚いたのが、メリル・ストリープとクリスティーノ・バランスキー、オードラ・マクドナルドの三人の女優が歌っているミュージカル「カンパニー」からの「The Ladies Who Lunch」です。
これは「Take Me to the World:A Sondheim 90's Birthday Celebration」というアメリカの作詞家兼作曲家で、多くのミュージカル作品(「ウエストサイド物語」など)を手がけたスティーヴン・ソンドハイムの90歳の誕生日(3月22日)を祝うビデオです。
このビデオにはソンドハイムの舞台に出演してきたシンガーや俳優たちが出演していて、それぞれ好きな彼の歌を1曲歌っています。
この3人のおばさまたちは、なんとバスローブ姿でお酒を飲みながら歌っているのです。


クリスティーノさんは最初からワインが瓶に残り少ないわ。
メリルさんなんかはカクテルがなくなったらスコッチの瓶を出し、瓶から直接飲んじゃうんです。
もちろんすべてが演技でしょうけど。
本当に飲んでるのっと思えるところがすごいです。
いつになるのかわかりませんが、早く彼女たちが活躍する映画や舞台を見たいです。

塔山郁 『薬も過ぎれば毒となる』&『甲の薬は乙の毒』2020/05/18

YouTubeを見ていて、人のいないロンドンの地下鉄で一人、ピアノを弾きながらジョン・レノンの「Imagine」を歌う若いミュージシャンを見つけました。
彼の名はStephen Ridley。イギリスで人気があるのかしら?

人のいない地下鉄構内をスタスタと歩いていって、ぽつんと置いてあるピアノの蓋を開け、シューシューと消毒液を拭きかけ、鍵盤を拭き、マスクを取り、おもむろに「Let it be」の一部を歌ってから「Imagine」を歌い始めます。
人のいないお店、彼を無視して歩いて行く警官、たまに通り過ぎるマスクをした通行人などシュールです。(A Song For The World)
第二弾は人のいないロンドン塔(だよね)の見える広場で「Your Song」を歌っています。(A Song For The World #002)
彼の歌は今世界は大変だけど、何があっても世界はすばらしいんだよと訴えかけています。



ホテルマンの水尾爽太は足の水虫に悩んでいました。
ホテルの近くの病院に行って薬をもらい、毎日つけているのに治らないのです。
医師にそう言っても無視され、同じ薬を出されるだけでした。
そんなある日、たまたま薬をもらいに行った薬局で毒島(ぶすじま)という女性薬剤師が症状を詳しく聞いてきて、別の病院に行くことを勧めてきました。
彼女の言うように別の皮膚科に行って診てもらうと、水虫ではなくアレルギーによる接触性皮膚炎でした。
ステロイド外用薬を使うとすぐにかゆみもなくなりました。
どうも彼が最初に言った是沢クリニックは医師に問題のあるところだったようです。
このことがあってから毒島さんに興味を持った爽太はお礼を言いに薬局に行きます。毒島は薬の知識が豊富で、一端スイッチがはいってしまうと薬にまつわる色々なことを話しまくる人でした。
彼女と仲良くなりたい爽太は薬に興味があると偽り、彼女と仲良くなろうとしますが、毒島さんには彼の気持ちはわからないようです。
しかし、爽太の周りで薬にまつわる様々な事件が起こり、爽太は毒島さんに助けを求め、二人は一緒に事件を解決していくことになります。

薬剤師は処方箋を見たらその人がどんな病気なのかわかると思っていませんか?
わからないのだそうです。
だからいつも聞かれていたのですね。私なんか何でわかっているのに聞くのと思っていましたし、人前で病名を言いたくなかったので、愛想悪く答えていました。
失礼しました。次回からは愛想よく答えます。
そういえば色々な薬局に行きましたが、彼女のように知識豊富な薬剤師に会ったことがありません。
薬のことで質問しても、薬の本(みたいなもの)で調べてから答えるという感じでしたもの。薬が沢山あるので、それをすべて知っているわけではないのでしょうけどね。早く薬をもらって帰りたかったので、話を適当に切り上げていました。
調剤薬局の薬剤師はただ薬を医師の処方箋どおり出せばいいから簡単な仕事でいいなぁとしか思っていませんでした。

漫画の『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』と一緒に読むと薬剤師の仕事がどんなものかわかりますので、読んでみてください。