山本幸久 『凸凹ディズ』2012/09/28



渋谷に里帰り』がおもしろかったので、山本さんの別の本も読んでみました。
『渋谷・・・』を同僚に貸すと、結構好評でした。
今度の本もお仕事本です。

凪海はむさい男ふたりがいる弱小デザイン事務所「凹組」で働いている新米デザイナー。
そんな彼女にチャンスが巡ってきます。
昔から描いていたキャラクターのデビゾーとオニノスケが老舗遊園地のリニューアルキャラクターに採用されたのです。
ところが、ロゴは別のQQQという会社のを使いたいというのです。
仕方なくQQQと組んで仕事をすることになり、凪海はQQQに出向することになります。
仕事を学ぶつもりで出向したのに、デビゾーとオニノスケを描いているようにと言われただけ。
こんなんでいいのかしら?

実はQQQの社長のオータキと「凹組」の男ふたりとは因縁がありました。
この三人はもともと『ゴッサム・シティ』というデザイン事務所でバイトをしていた仲間で、三人で「凹組」を始めたのです。
しかし、オータキが裏切って「凹組」を辞めました。

オータキという女は上を目指す女。
上に行くためには手段を選ばず、女であることを利用することも厭いません。
エロ漫画の表紙、スーパーのチラシ、和菓子屋の包装紙などの細かい仕事は馬鹿らしくてやってらんない。ドーンとでかい仕事をやりたいのです。
凪海は彼女から「凹組」を辞めてQQQに来るようにと誘われますが・・・。

この本に出てくる変人黒川が理想の職業人ですかね。
有名になるとか、金持ちになるとか、そんな夢を持たず、どんなに(他の人から見て)つまらない仕事でも淡々と、手を抜かず完璧にこなしていく。
こういう過程でお金が稼げるようになれば最高ですよね。
オータキのようにガツガツと上を目指すよりも、黒川のような生き方の方が好ましく思う私って、年をとったということですかぁ・・・。