ほしおさなえ 『銀河ホテルの居候 光り続ける灯台のように』 ― 2025/01/23
『銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に』の続きのお話。

「第1話 長い黄昏 Twilight」
近現代文学の教授、滝田は亡き妻との約束を果たすために、八年ぶりに銀河ホテルを訪れる。
妻の幸子は、生前、遺影に銀河ホテルの前で撮った写真を使って欲しいと言っていた。
葬儀の準備をするため、写真を写真立てから取り出すと、写真と蓋の間に銀河ホテルの名のはいった封筒が挟まっていた。
封筒の中に「この預かり証を持った人が来たら、手紙をわたしてください」と書かれた『預かり証』が入っていた。
手紙とはなんだろう、と不思議に思った滝田は、その謎を解くために銀河ホテルに来たのだ。
始めは手紙を受け取るだけにしようと思っていた滝田だったが、ワークショップの話を聞くと、俄然興味が湧き、ワークショップを受けてみることにする。
「第2話 光り続ける灯台のように Vert Atlantide」
藤本真衣は会社の同僚が褒めていた銀河ホテルに泊まりに来た。
彼女は同僚には内緒にしているが、SNSで旅の写真を公開している。
紹介するのは特別な観光資源のないふつうの町で、フォロワーも少しずつ増えてきて、しだいにレストランや宿から依頼が来るようになった。
ところがある日、前にアップした投稿に嘘があるという告発があり、それが瞬く間に拡散され、炎上してしまった。
アカウントを消そうとは思ったが、それではこれまで積み上げてきたものをすべて捨てるということになる。それがなくなったら、わたしにはなにも残らない。
そう思うと、何もできなくなった。
このままでは堂々巡りを続けるだけ。そう思った真衣は普段とは違うタイプの場所に行ってみようと思い、銀河ホテルに来たのだ。
銀河ホテルの蔵書室に置いてあったリーフレットを見て、真衣は手紙ワークショップに興味を持つ。
手紙室の様子を見ようと、ワークショップが終わる時間に行ってみると、ワークショップを終えた人たちが皆、満足そうな顔をして出て来た。
真衣は自分もワークショップを受けてみようと思う。
「第3話 軽井沢黄金伝説 GOLD」
銀河ホテルで「ワイン愛好家の集い」が開かれる。
その集いの講師、大原志穂は息子の洸を連れて来ていた。
洸は「ワイン愛好家の集い」の時間帯にデイキャンプに参加する予定だったが、キャンプが中止になってしまう。
ちょうど空いていたのが、手紙室のワークショップ。
手の空いているフロントの三枝茜が洸の相手をすることになる。
ワークショップでは洸は何を書いたらいいかわからないらしい。
苅部は色々な案を出すが、洸は気に入らない。
茜はあることを提案する。
第1話は教授(七十代)と近い年齢の方にしみるお話です。
第2話はいかにも現代風のお話です。
第3話は子どものいる人にはささるでしょう。
第3話でホテルの従業員の三枝とその家族のことと苅部の過去がちょっとだけ出て来ます。
従業員が何人いるのか定かではありませんが、これからも少しずつ明かされていくのでしょうか。
読んだ誰もが泊まりたくなるのが銀河ホテルで、泊まると受けたくなるのが手紙ワークショップです。
私はワークショップのお値段が結構高いことにビックリしました。
そんなにいい便せんと封筒なのかしら。
インクはいくらするのかわかりませんが、特別製のものもあるのかも。
千色集めるには相当な金額がかかりますしね。
ワークショップは受けられませんが、誰かに手紙を書いてみるというのもいいかもしれませんね。
書くとしたら、誰がいいか、考えてみましょうか。
最近のコメント