福島 章 『子どもを殺す子どもたち』 ― 2006/11/06

犯罪心理学者として有名な福島章が書いた本です。
第一章では、1959年、アメリカの精神科医、ローレッタ・ベンダーが行った、殺人を犯した子ども33例の調査・研究の結果を紹介しています。
33例の内訳は男子31人、女子2人と圧倒的に男子が多く、その年齢によって殺人行為の傾向が違ったそうです。
年少者の殺人行為は、動機や殺意が明確ではなく、事件というより事故という意味あいが多いのですが、十代の殺人は、計画性や殺意、動機などが明確で大人の殺人に近くなり、刺殺や撲殺が多くなります。
絞殺は児童・思春期ではまれだそうです。
人を殺した子ども達に、精神医学的所見が高率に見られ、これはアメリカも日本も同じです。
知能はアメリカでは優秀にやや偏っているそうですが、日本では平均値より低い領域に偏っています。
「脳障害」も殺人少年の2割に見られるとベンダー博士は書いていますが、最近の研究では5割程度に微細な脳の異常所見が認められるそうです。
次章からは、日本で起こった3つの子どもの殺人事件を取り上げています。
酒鬼薔薇事件、長崎、佐世保の事件。そのどれもが忘れられない事件でした。
酒鬼薔薇少年は、「弟を殴る」からという理由で、毎日親に殴られていたそうです。
<被虐待者にして虐待者>ということです。
そして、小学校の頃から動物虐待や弱いものいじめ、万引きを繰り返し、中学に入る頃には万引きがエスカレート、医者にADHDと診断されています。
福島の見立てでは、親の厳しい暴力に対処するために、小学生になるかならないかの年齢で解離心性と身体表現性障害の症状を示していて、その後思春期の性衝動と攻撃衝動の亢進のため、多彩な性倒錯と後遺障害の症状と行動が出現したのではないかとのことです。
長崎の少年の場合は、男子にいたずらをしようと思って、立体駐車場まで連れて行き、騒がれたので突き落としたというものでした。
この子はアスペルガー障害(対人的相互反応の質的障害)があったものと見られます。
現代の性の抑圧と性知識の欠乏により、彼個人の特異気質と彼の男子性器に対する強迫的感心が合わさり、このような事件が起こったそうです。
佐世保の女子の場合は、初めはHPの書き込みを巡るトラブルだったように新聞には書かれていました。
しかし、福島によると、殺人は<思春期の同性愛的感情>から誘発されたのではないかとのこと。
殺されたR子とは一見仲が良かったのだけれど、それはその女子の一方的な思いで、R子にとっては彼女はただの友だちでしかなかったのです。
その他に問題になったのが、思春期に起きる攻撃性の発散場所が彼女になかったということです。
ミニバスケットをしていて昇華されていた攻撃性が、親に受験のために止めさせられたため、同級生の男子などに向けられていたりしたそうです。
ミニバスケットを続けていれば、この事件は起こらなかったかもしれないとのことです。
福島によると、若い頃に凶悪な殺人を犯した人間がまた殺人を犯す可能性は、少なくとも殺人を犯していない普通の人より100倍も高く、性的倒錯の治療は困難だそうです。
アメリカの州によって、性犯罪者がどこに住んでいるのかという情報を誰でも見られるようにしていると言います。
性犯罪者の人権の問題がありますが、現状としては仕方がないのかもしれません。
子どもを殺した子どもは特異な子であったと思いたいと、誰もが思うのではないでしょうか。
しかし、子どもたちの置かれている状況を見る限り、あまり楽観的には考えられません。
出生率の低下も仕方ないのかなと思います。
第一章では、1959年、アメリカの精神科医、ローレッタ・ベンダーが行った、殺人を犯した子ども33例の調査・研究の結果を紹介しています。
33例の内訳は男子31人、女子2人と圧倒的に男子が多く、その年齢によって殺人行為の傾向が違ったそうです。
年少者の殺人行為は、動機や殺意が明確ではなく、事件というより事故という意味あいが多いのですが、十代の殺人は、計画性や殺意、動機などが明確で大人の殺人に近くなり、刺殺や撲殺が多くなります。
絞殺は児童・思春期ではまれだそうです。
人を殺した子ども達に、精神医学的所見が高率に見られ、これはアメリカも日本も同じです。
知能はアメリカでは優秀にやや偏っているそうですが、日本では平均値より低い領域に偏っています。
「脳障害」も殺人少年の2割に見られるとベンダー博士は書いていますが、最近の研究では5割程度に微細な脳の異常所見が認められるそうです。
次章からは、日本で起こった3つの子どもの殺人事件を取り上げています。
酒鬼薔薇事件、長崎、佐世保の事件。そのどれもが忘れられない事件でした。
酒鬼薔薇少年は、「弟を殴る」からという理由で、毎日親に殴られていたそうです。
<被虐待者にして虐待者>ということです。
そして、小学校の頃から動物虐待や弱いものいじめ、万引きを繰り返し、中学に入る頃には万引きがエスカレート、医者にADHDと診断されています。
福島の見立てでは、親の厳しい暴力に対処するために、小学生になるかならないかの年齢で解離心性と身体表現性障害の症状を示していて、その後思春期の性衝動と攻撃衝動の亢進のため、多彩な性倒錯と後遺障害の症状と行動が出現したのではないかとのことです。
長崎の少年の場合は、男子にいたずらをしようと思って、立体駐車場まで連れて行き、騒がれたので突き落としたというものでした。
この子はアスペルガー障害(対人的相互反応の質的障害)があったものと見られます。
現代の性の抑圧と性知識の欠乏により、彼個人の特異気質と彼の男子性器に対する強迫的感心が合わさり、このような事件が起こったそうです。
佐世保の女子の場合は、初めはHPの書き込みを巡るトラブルだったように新聞には書かれていました。
しかし、福島によると、殺人は<思春期の同性愛的感情>から誘発されたのではないかとのこと。
殺されたR子とは一見仲が良かったのだけれど、それはその女子の一方的な思いで、R子にとっては彼女はただの友だちでしかなかったのです。
その他に問題になったのが、思春期に起きる攻撃性の発散場所が彼女になかったということです。
ミニバスケットをしていて昇華されていた攻撃性が、親に受験のために止めさせられたため、同級生の男子などに向けられていたりしたそうです。
ミニバスケットを続けていれば、この事件は起こらなかったかもしれないとのことです。
福島によると、若い頃に凶悪な殺人を犯した人間がまた殺人を犯す可能性は、少なくとも殺人を犯していない普通の人より100倍も高く、性的倒錯の治療は困難だそうです。
アメリカの州によって、性犯罪者がどこに住んでいるのかという情報を誰でも見られるようにしていると言います。
性犯罪者の人権の問題がありますが、現状としては仕方がないのかもしれません。
子どもを殺した子どもは特異な子であったと思いたいと、誰もが思うのではないでしょうか。
しかし、子どもたちの置かれている状況を見る限り、あまり楽観的には考えられません。
出生率の低下も仕方ないのかなと思います。
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