京都が舞台のシリーズ(文庫本)2024/08/19

フィンランド旅行以降、読んだ文庫本が今までにないくらい溜まっています。
遅くなると忘れてしまうので、早く紹介しなければとは思いますが、いろいろと用事があってできません。
できるだけまとめてご紹介します。


志賀内泰弘 『京都祇園もも吉庵あまから帖 9』
京都祇園の花見小路の奥にある甘味処「もも吉庵」に、様々な悩みを持った人たちが訪れます。
息子に希望を託し、ついつい厳しく当たってしまう父親。
京大を出たのに不運が続き、仕方なく京洛信用金庫に就職し、出世を目指し、ビジネスの提案をするが、提案先の社長に否定され、意味がわからず混乱する銀行員。
旅館を継ぐための一番大切なことがわからない跡継ぎ息子。
夫が亡くなり、夫の最期の望みを叶えられずに悔やんでいる妻。
そして、今回はもも吉が胸に秘めたとんでもない秘密が明らかになります。

本の中のなるほどと思える言葉。
「ほんまに強いお人いうんはなぁ、見栄なんか張らんと自分の弱いところもさらけ出して事を成すもんや」
「心の弱い人間やからこそ、人の気持ちがわかるんや」
「心の強い人はなぁ、心が弱い人の気持ちがわからはんのや。なんで、もっと努力せえへんのやろ、なんでもっと辛抱でけへんのやろて上から物を見てしまう。自分がでけるんやから、人にもでけると思うてしまうんや。そんな心の強い人には、心が弱い人は心の扉を開こうとはせえへん」

望月麻衣 『京都寺町三条のホームズ(21)メランコリックな異邦人』
ジウ・イーリンが10月から京都の大学院に留学することになる。
父親のジウ氏はいい機会だからと、好事家として知られている高宮宗親と親しくなり、彼が所有しているコレクションの中に『珍しい宝石』があるかどうか調べてほしいとイーリンに頼む。
そのためにイーリンは骨董品店『蔵』でバイトをすることにする。
しばらくしてイーリンは家頭清貴にそのことを相談すると、彼は彼女に探偵の小松を紹介する。
やがて宝石にまつわる秘密が暴かれる。

終わりが見えないシリーズです。
清貴と葵は婚約するのですが、なかなか結婚までには至らず、このままジラされていくのでしょうかねww。
合間に出てくる美術品のあれこれが読み甲斐があります。

柏井壽 『鴨川食堂ごほうび』
鴨川食堂は上賀茂神社の近くに移転した。
元刑事・流と娘のこいし、そして料理人の浩の三人で「鴨川食堂」を営んでいる。
この食堂を訪れる人たちには、探してもらいたい思い出の味がある。
今回のは、京都旅行で出会った男が食べさせてくれたスポンジケーキと新婚旅行で行った三陸宮子の民宿で結婚祝いだと出された雑煮、恩師の家で食べた蕎麦の鍋、リフォーム会社の若い男性が手土産に持ってきたホットドッグ、中高生の頃、母が作ってくれた弁当に入っていたまずい牡蠣フライ、五十年近く前の大学生の頃に付き合っていた男性が連れて行ってくれた京都のレストランで食べたヒレの網焼きの六品。

どうしても探してもらいたい味があるという人は幸せだと思います。たとえその思い出が悲しいものであっても。わたしなんか、何もないですもの。
いつも思うのですが、探しものを頼む前に食べる流さんのつくったお料理が美味しそうで、本当にこういう探偵事務所があったら、捜し物をでっち上げてでもいいから、流さんの料理を食べたいと思います、笑。

今や海外からの観光客が多く、前とは違う雰囲気になっていると思われる京都ですが、一番寒い2月にでも久しぶりに行きたいなと思いました。
できれば円高になって、来日する観光客が少しでも減っていて欲しいですww。

「京都寺町三条のホームズ」以外はどこから読んでもいいシリーズです。
少し前の京都の雰囲気に触れたいときに読むといいでしょう。