「刑事特捜隊「お客さま」相談係伊達政鷹」シリーズ 1&2 ― 2024/08/24

鳴海響一 『刑事特捜隊「お客さま」相談係伊達政鷹』
伊達政鷹は元神奈川県警の刑事部捜査一課強行第七係の刑事だったが、失態をしでかしたため、刑事特別捜査隊第四班に異動させられる。
刑事特別捜査隊第四班は『県警お客さま相談係』と呼ばれている、所轄刑事課と本部の刑事課が扱う事件のクレーマー対策本部で、申立人から話を聞いて、事件性がありと判断したときに独自に捜査を開始するという。
メンバーは伊達(三十四歳)を入れて五人。班長の安東ゆかり警部補(四十歳前後)と松浦義信巡査部長(三十代後半)、小笠原亜澄巡査長(二十代後半)、そして森友成巡査長(二十代半ば)。
松浦曰く、第四班は刑事部のあちこちから、嫌われ者や困ったちゃんが集められた部署で、刑事にとっては掃きだめのような場所だそうだ。
異動初日だというのに、伊達は亜澄に相談に来た神保長治を押しつけられる。
神保は「うちの娘が自殺するはずないんだっ」とテーブルを叩いて叫ぶ。
伊達はなんとか神保をなだめ話を聞く。
彼の娘の眞美は八ヶ月前に箱根の芦ノ湖で遺体となって見つかったという。
小田原署は宿泊したペンションに残されていた睡眠改善剤の空き箱と手帳の最後に書かれていた走り書きから自殺と判断したようだ。
娘とは毎年母親の命日に会うだけだったというが、自殺する前日に電話をかけてきて、箱根の帰り道にうちに寄ると言ったという。
伊達はなにかが引っかった。
彼の勘を信じた安東班長から亜澄とコンビを組み、この件を調べるように指示される。
早速伊達は亜澄と共に小田原署に出向く。
伊達はフラメンコのギタリストという意外な特技があります。プロの踊り手のステージで弾いていたようですが、一応警察官は公務員ですから、ボランティアとして頼まれた時だけやっていたようです。
ところどころでフラメンコのことが挿入されるのが、余計です。
例えば、「電車のジョイント音がフラメンコのゴルペに聞えてくる。ゴルペは…」とかね。
西日暮里のタブラオって本では≪アンダルシア≫になっていますが、≪アルハンブラ≫のことでしょうかね。
安東班長はインダストリアルデザイナーを目指していたというのが頷けるほど、服装のセンスがいいし、部下思いのいい上司です。
松浦はやる気がないけど、頭脳明晰で、パソコンに精通しています。
亜澄は直ぐに自分の意見を言う、生意気でわがままな人ですが、車の運転が上手いです。
森は身長190センチもあるスポーツマン。射撃が得意です。
この一癖も二癖もありそうな五人がクレームで持ち込まれた事件に挑みます。
鳴海響一 『織姫の夜 刑事特捜隊伊達政鷹 2』
亜澄のところに長束正明という相談者が来る。ちょっとオシャレだが、歯の浮くようなお世辞を言う嫌な男で、盗難事件のことで来たという。
盗まれたのは湘南ひらつか七夕まつりに使う予定の織姫の衣装。
会社の社長のお嬢さんのもので、衣装に使われている真珠は母親の形見で、伝説のコスプレ・メーカーが制作したものなので、作り直すことができない。
平塚署に被害届を提出したが、捜査をしてくれない。とにかく二週間後の織姫コンテストに間に合うように取り戻してほしいという。
平塚署に確かめると、長束は暴力団の若頭で、娘は組長の娘。
ヤクザの娘のコスプレ衣装なんてまじめに探してられないという。
安東班長、なにを血迷ったのか、この盗難事件を捜査しようと言い出す。
はたして伝説のコスプレ・メーカーが作った衣装の行方は…。
今回、森の意外な特技が分かりました。全国警察剣道選手権で二位か三位になったことがあるそうです。それに小学校の先生の免許を持っていて、将来生活安全部の少年相談・保護センターで働きたいんですって。
松浦は博識で、アンジェイ・ワイダとかなんたらかんたらが出てきて、びっくり。
亜澄は変わらずですが、お父さんが事件に関係する職業でした。
安東班長も過去に何かありそうな感じです。
五人のチームワークがだんだん良くなってきたので、三作目が楽しみです。
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