『バター・コーヒーの舞台裏』&『絶品スコーンは死を招く』2024/08/29



クレア・コイル 『バター・コーヒーは舞台裏』
「コクと深みの名探偵(Coffeehouse Mystery Book)」シリーズの二十作目。

クレア・コージーがマネジャーをしているコーヒーハウス「ビレッジブレンド」が、コメディアンのジェリー・サリバンが主演する『ゴッサムは殺人だらけ』の撮影現場となる。
クレアは彼の大ファンであり、ビレッジブレンドで働く従業員たちも興奮状態。
やってきたジェリーは大スターのオーラは健在だが気さくな人で、店のバリスタたちとすぐに打ち解けた。

しかし、撮影現場はトラブル続き。
三週間前に照明機材が落下してジェリーのアシスタントが負傷。
昨日、最初に抽出したエスプレッソを飲んだ小道具責任者で銃器の責任者でもある男が倒れ、病院に緊急搬送される。
今日、小道具の銃に実弾が装丁されていて、バリスタのタッカーが撃たれるが、防弾ベストを着ていたため、アザだけですむ。
警察に捜査してもらうようにクレアは言うが、ジェリーは反対し、取引を持ち出す。
取引に同意したクレアだったが、自分ひとりで捜査をすると宣言する。

妨害行為はこれだけではなかった。
薬物問題が持ち上がる。
恋人でニューヨーク市警の警部補であるマイクにクレアは非公式のOD(薬物過剰摂取取締)班の協力者に任命される。

はたして『ゴッサムは殺人だらけ』の撮影は順調に進むのだろうか?

この本を読むと、いつも美味しい珈琲が飲みたくなります。
一時、マンネリ化していましたが、今回は面白かったです。
二十一作目の『No Roast for the Weary』は来年の四月にアメリカで発売される予定なので、翻訳されるのは再来年ですかね。
お話はビレッジブレンドにWriter's Block Loungeができ、小説家や劇作家、詩人を目指す人たちで賑わうというところから始まり、お決まりの殺人があるという感じでしょうか。

シリーズの順番を載せておきます。
⑤『秘密の多いコーヒー豆』
⑳『バター・コーヒーの舞台裏』


H.Y.ハナ 『絶品スコーンは死を招く』
新シリーズ、オックスフォードティールーム・ミステリ。

オックスフォード大学を卒業し、シドニーの企業で働いていたジェマ・ローズは二十九歳の誕生日の翌日に仕事を辞め、シドニーにあるペントハウスを売り、夢を叶えるためにコッツウォルズの小さな村、メドウフォードにあるティールーム<リトル・ステイブルズ>を買いとった。
そして、三週間前に、親友のキャシーとシェフのフレッチャー・ウィルソンと共にティールームをオープンする。
なんとか店は上手く行きそうな感じだったのに、とんでもない事件に巻き込まれる。
店で傍若無人な振る舞いをしていたアメリカ人男姓が、店の内庭でスコーンを喉に詰まらせ、死んでいたのだ。
やって来たのは、ジェマの元カレ、オックスフォードシャー州警察犯罪捜査課警部補のデヴリン・オコーナー。オックスフォード大学に通っていたときの、初恋の人だ。
未だに彼に未練のあるジェマだったが、デヴリンは違うようだ。
早々に、昨夜、アメリカ人男性と喧嘩をした男が捕まる。

警察は間違った人を逮捕した。
殺人はオックスフォード大学と何らかの関係があるのではないか。
このまま犯人が見つからなければ、ティールームは潰れる。
そう思ったジェマは独自に調査を始める。

表紙を見ておわかりのように、ミューズリーというかわいいニャンコが登場します。
今回は行方不明になってしまい、最初と最後しか登場しませんが、最後に大事なお役目を果たしてくれます。
二巻目からはずっと登場してくれ、活躍してくれることを願っていますww。

オックスフォード大学を卒業したというだけで、イギリスでは崇め立てられるんですね。オックスフォード大学を出たのに、なんでティーハウスなんてやるのよと周りに言われてますが、東大出たのに、なんで喫茶店やるのよと同じですかね。
それにしても母親はすごい。ティーハウスなんて止めて、ちゃんとした仕事をやるか、それでなければ結婚して子どもを産めよと、ものすごいプレッシャーをかけています。
ぶっちゃけていうと、今のイギリスにこんな母親、本当にいるんですか。
次回から、母親がジェマのティーハウスに関わってくるらしいです。
この母親もそうですが、4人の<かしまし婆さん>たちも面倒くさそう。
母親と<かしまし婆さん>に悩ませられながら、ジェマは殺人事件に関わっていくんでしょうね。
デヴリンと幼馴染みの医師、リンカーン・グリーンがジェマの恋人候補です。
なんかお馴染みのコージーミステリって感じで、あまり目新しさがなさそうですが、二作目に期待しましょう。

作者のハナさんは台湾生まれで、オックスフォード大学を卒業している方で、現在はオーストラリア西部のパースに住んでいるそうです。
このシリーズは十二巻まで発売されています。


二巻目は『Tea With Milk and Murder』で、カクテルパーティで起った大学生毒殺事件にジェマは関わるようです。
日本の表紙もかわいいですが、洋書の方も負けてないと思います。