「フォーチュンクッキー」を観る2025/07/04

原題「Fremont」で、カリフォルニア州にある町の名。最もアフガニスタン系
アメリカ人の人口の多いところだそうです。


アフガニスタンのカブール出身のドニヤは8か月前に特別永住ビザでアメリカにやって来た。アフガニスタンでは米軍基地で働く唯一の女性通訳だった。
今は中国人オーナーのフォーチュンクッキー工場で働き、工場とアパートを往復するだけの毎日を送っている。

眠れないので睡眠薬が欲しいと思い、精神科医の診察を申し込んでいるが、なかなか順番が回って来ない。
同じアパートに住むアフガニスタン人男性にそのことを話すと、彼は自分の予約を譲ってくれた。
精神科医に予約した本人でないので診察はできないと言われるが、ドニヤは強く出て、なんとか診てもらえることになる。
何回か通院するうちに精神科医と気心が通うようになるが、不眠は治らない。

ある日、フォーチュンクッキーのメッセージを書いていた老婦人が職場で急に亡くなる。
オーナーはドニヤにその仕事をさせることにする。

精神科医のところに通うようになってからドニヤの表情は明るくなり、髪型や服装も変わっていく。
そんな頃、精神科医はドニヤに君を真似してメッセージを書いてみたと言い、その中のひとつをドニヤに読んで聞かせる。

「港にいる船は安全だが、海に出なければ船じゃない」

ドニヤは思い切ってフォーチュンクッキーのメッセージの一つに自分の電話番号を載せ、それを見た誰かから連絡が来るのを待つ。
すると、ある男性から連絡が来る。
ドニヤは同じ工場で働く友人から車を借り、その男性に会いに行くが・・・。

ドニヤ役のアナイタ・ワリ・ザダさんは実際にアフガニスタン出身で国営テレビ局のジャーナリストだったそうです。
ドニヤは自分では認めようとはしませんが、PTSDを患っているのでしょうね。
祖国から裏切り者とされ、家族は脅迫を受けながらもアフガニスタンで暮らしています。
自分だけはアメリカでのうのうと暮らしていると、負い目や罪悪感を感じ、自分は幸せになってはいけないと思い込み、孤独と寂しさの中に引きこもっています。
そんな彼女を一歩前に進ませたのが、精神科医や中国人オーナー、レストランのオーナー、同僚の女性などの周りの人々です。
特にこの4人が印象に残るいいキャラしています。
精神科医なんか自分の愛読書の『白い牙』をドニヤに紹介し、本を貸すのかと思ったら貸さず、診察中に一節を読んじゃうんですからww。
同僚のジョアンナが、ドニヤを自宅に招き、ヴァシュティ・バニヤンの歌を歌う場面が好きです。歌は「Diamond Day」といい、のどかな幸せな日常の生活を描いた歌です。

いい人ばかり出てきますが、唯一の嫌われ役が中国人オーナーの奥さんです。
コーヒーマシンが壊れたので、自分で淹れたコーヒーを売りつけるんですよ。
タダで飲ませろよと思いましたw。

白黒映画で、ドニヤが車で出かけるまでが単調で眠くなりますので、気をつけましょう。
私はなんとか持ちこたえましたww。

フォーチュンクッキーは日本発祥のアメリカの中華料理店のものだと言いますが、私は日本のお店でもらったことがあります。
前向きな言葉が書いてあると、その日はいい日に思えますよね。
そういえば映画でクッキーを食べている人がいなかったけど、食べないものなんですかね。