柳田邦夫 『「死の医学」への日記』 ― 2006/09/29
柳田邦夫が1996年に発行した本です。癌患者が病と闘いながら、いかにいい医療を受けられるかを世の中に問うた本です。この頃と今と比べてどれほど、終末期医療が進んだのでしょうか?
以前テレビでイギリスの癌患者のことをやっていました。イギリスでは、モルヒネなどを患者に躊躇なく与え、普通の日常生活を送れるような援助を与えているという内容でした。その時に日本のモルヒネ使用量をみると、他の先進国に比べると格段に低かったのを覚えています。
癌患者は生きたいなら、少しぐらいの痛み(といいながら、患者にとっては耐えられないほどの痛みなのです)を我慢しろ、という医者からの暗黙の圧力があるらしいです。痛みを緩和する=治療現場から降りるということを意味すると見なされることが一般的なのだそうです。(もちろん、こういう病院ばかりではありませんが、多いということです)
私の経験からも、医者は痛みに対して鈍感な人が多いと思いました。まあ、自分は全然痛くないのですからね。湿布に肌が荒れてしまい、そう訴えても、湿布が痛みに一番効くんだから我慢しろとどなられましたから。別の病院でボルタレンをもらい、痛みがひいた時のうれしさ。むやみに痛みを我慢しろって言ったって、困りますよ。ちょっと話題がずれてしまいました、すみません。(未だに怒りがこみ上げてきます)
この本には、理想的と言える「死」の迎え方をした方々がでてきます。もちろん患者側の人間性も大事ですが、その家族の支援と、医者の「死にゆく人とのかかわりあいにおいては、患者の内面にあるものを汲み取り、その人生の歩みを、崩壊ではなく完成へと支援する取り組み」も重要なのです。
いい終末期医療とは何なのか、自分はどう自分の人生に終わりを告げようか、もし自分の伴侶や家族が癌にかかったら、などなどいろいろとかんがえさせられる本でした。
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