北森 鴻 『凶笑面』2011/02/15

この蓮丈那智シリーズは民俗学に関するミステリーです。


蓮丈那智は「異端」と呼ばれる東敬大学助教授の美貌の民俗学者です。彼女の助手は内藤三國で、三年ほど蓮丈那智の研究室を手伝っています。

蓮丈の出す卒業試験はユニークです。民俗学なんて、あまり興味がなかったのですが、やってみるとおもしろそうです。

「ラーメンの丼に浮かぶナルトについて、ガラパゴス式の進化論を、民俗学的見地から構築すると仮定する。その場合の調査方法を、自分の仮説とともに順次列挙せよ」

はぁ~!?ナルトで民俗学・・・?

この本に出てくるのも修二会、異人論、都市伝説、女の家、巨人伝説、楊貴妃渡来伝説・・・などで、民俗学って広範囲なんですね。

「そもそも民俗学には決まった形が存在しない」、 「研究のアプローチも方法論も、学者によってまるで違うのが現状」だそうです。
有名どころには南方熊楠や柳田国男、折口信夫がいますね。現在民俗学はどうなっているのでしょうか?

蓮丈那智のところによくビデオや手紙、資料が送られてきます。興味を持つとすぐにフィールドワークに出かけるほど蓮丈のフットワークは軽いです。三國はいつも彼女に振り回されています。そして、蓮丈と一緒に行くところには常にトラブル(死体)が・・・。

蓮丈那智が独特の語調で「ミクニ」と呼ぶ時、何かが起こります。

嬉しいのは≪狐≫さんが「双死神」の章に出てくることです。
北森さんは強い女性がお好きなのかしら?