佐野晶 『ゴーストアンドポリスGAP』2020/02/17



第一回警察小説大賞受賞作。選考委員満場一致ということです。

東北大学法学部を卒業していながら、地方公務員採用試験で神奈川県警の警察官になった桐野哲也。
彼は肝心の試験になると腸の具合が悪くなり実力を発揮できず、国家公務員試験総合職も一般職も撃沈し、結局ノンキャリアの警官になるしかなかったのです。
いい学歴は邪魔になるだけ。
というのも桐野は警察学校では教科は抜群でも実技が最悪という結果でした。
そんな彼に救い(?)の手が。
準キャリアで女の副署長の戸村からある取引が持ち上がったのです。
鳩裏交番への配属です。
鳩裏交番は四交替制の実験交番で、ごんぞうたちの巣窟でした。
「ごんぞう」とは「自主的窓際警官」のことです。
警邏にも出ない、呼集にも応じない、交通違反取り締まりの応援に呼んでも役に立たない、反則キップ数も最低・・・。
そういう最悪の警官たちの集まる交番なのです。
どうしてそんな交番に配属されたのか。
戸村は彼らを退職させるための証拠集めに桐野を使いたかったのです。
ようするにスパイになれということです。

鳩裏交番は驚くことばかり。
立番は課長のレガシーが通り過ぎたら終わり、警邏もしない、他の交番からの呼び出しは急いで行く必要がないとしばし無視、唯一やるのは巡回だけ。妙に一生懸命巡回だけはやります。
それ以外はお茶を飲んでのおしゃべり。
住民との世間話から事件を解決することもありますが、彼らはそれをひけらかすこともありません。
彼らみたいなごんぞうだったら必要かもと思えるところもあります。

そんな頃、ホームレスばかりを狙った連続殺人事件が起こります。
ごんぞうたちは真相にたどり着けるのでしょうか。

警察小説大賞というからには刑事物かと思って読み始めたら、全く違い、読み続けようかどうしようか迷いました。
大賞を取ったからには面白いのだろうと思い、最後まで読みました。
「ごんぞう」は初めから「ごんぞう」ではなかったということと、色々と警察にも問題があるのだなぁというがわかりましたが、他の警察小説に出ていることばかりだったので、真新しくはなかったですが。
ごんぞうのリーダー小貫と桐野のコンビが意外とよかったです。
佐野さんは映画ライターとのことですので、そのうちドラマ化か映画化するかもと思われる作品でした。



庭を見ると、クリスマスローズが咲いていました。
つぼみも大きくなっているので、今週末には花盛りでしょう。

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