知念実希人 『祈りのカルテ 再会のセラピー』2022/09/15

祈りのカルテ』の続編。


諏訪野良太は純正医大付属病院での研修後、循環器内科医になりました。
学会の後、医学生時代の同級生で親友の小鳥遊と彼の後輩で女性研修医の鴻ノ池と飲んでいる時に、鴻ノ池に諏訪野が研修医の時に関わった患者の面白い経験を求められ、話し始めます。

「救急夜噺」
二年目の研修医・諏訪野良太は救急救命部で研修を行っていました。
そこに救急部の『常連』、広瀬秀太が現れます。彼はかなり進行したがんを患っており、純正医大付属病院で治療を受けているので、他の病人のように、軽く診察して帰宅させられません。
今回は何事もなく、反対に広瀬から心配される諏訪野でした。

その日、救急部は大忙し。朝一番に『お得意様』の末期の膵臓がん患者が最上階の特別病棟に入ることになり、暴れる急性覚醒剤中毒の疑いのある男が制服警官に連れてこられ、新橋の路上で倒れていた男が搬送され…。
路上で倒れていた男は去年深夜に救急車を呼び、『入院させろ』とごねた男でした。痙攣発作を起こしたので、薬物中毒を疑い、尿検査をしますが、検査の後に意識消失を起こします。
原因がわからないので、朝まで経過を見ていくというと、男は安堵したようです。
何故彼は入院にこだわるのか?不審に思う諏訪野。
諏訪野は経過観察室に飴玉が落ちているのを見つけ、あることに気づきます。

「割れた鏡」
諏訪野は形成外科での二ヶ月の研修をスタートしました。
指導医の三上翔馬の外来見学をしていると、女優の月村空良が芸能事務所の社長と共にやって来ます。
月村はこれまでに大きな美容整形手術を7回行っており、今回はあご辺りのフェイスラインを細くしたいと言います。これ以上の手術は危険だということで、紹介されてきたのです。
三上は月村は重度の醜形恐怖症で、断ると技術的に劣った外科医の手術を受けて酷い結果になるか、自殺をするかもしれないと、手術を引き受けます。
そんな中、諏訪野は病院にやって来た月村空良の双子の妹、海未と偶然出会い、二人の因縁話を聞くことになります。

「二十五年目の再会」
諏訪野の二年間の初期臨床研修の最後は暖和ケア科です。
諏訪野はホスピスに入院している一人の患者の担当となります。
その患者と色々な話をするうちに、彼には25年間会っていない子どもがいることがわかります。
子どもと会わせたいと思う諏訪野でしたが、患者は自分は犯罪者だからと言って会おうとはしません。
しつこく話をするうちに、患者はそれは冤罪で、彼は強盗などしていないと告白します。
諏訪野は彼のために、事件を調べ始めます。

最後のエピソードはお涙頂戴なのでしょうが、泣けませんでした。
だってすぐにわかっちゃうんですもの。

医学の目的が「人の病気を治し、命を救うこと」と言った諏訪野に、暖和ケア科の指導医がこう言います。

「医学は…『永く、そして、より良い生涯を送れるようにする』ための学問だね」
「人生は有限だ。その間、どれだけ充実した時間を送り、そして未練なく最期のときを迎えられるか。その手伝いこそが医学の本質だと私は考えている」

こういう風に考えると、高齢患者に対する認識も変わるのではないでしょうか。
ホワイトルーキーズ』で悩んでいた朝倉君(たぶん)にこの言葉を捧げたいです、笑。

キスマイの玉森主演でドラマ化されるようです。
知念作品のファンの方は他のシリーズの登場人物が出てくるので、嬉しいでしょうね。
サラッと読める本ですので、お暇な時にどうぞ。