桜木紫乃 『青い絵本』2024/12/14



「卒婚旅行」
子どもが巣立ってから、晴美は二年前に絵本セラピストの資格を取得した。
二ヶ月前に生涯学習セミナーで講座を持つことが決まった。
そんな時に春に退職した夫が応募したJR九州の豪華列車ななつ星の抽選に当たり、九月に定年退職記念旅行に行くことになる。
その旅行は晴美にとって…。

「なにもない一日」
やや子は夫の昭彦の道楽と言われている地元FM局を引継ぎ、自らパーソナリティを務める番組を持っている。
姑の陽子は入院しており、生きて病室から出られる確率は低い。
昭彦には婚外子がいるが、陽子に秘密にしている。
陽子の命が尽きたとき、やや子は決めていることがある。

「鍵 key」
小説家だった夫が自死してから十五年、寿々は書店員としてひまわり堂に勤めていた。しかし、ひまわり堂は今日、五十年の歴史に幕を下ろす。
寿々は帯広に就職した息子が持っていった本『鍵 key』を買い、急に思い立って息子に会いに帯広行きの電車に乗る。

「いつもどおり」
十年前に小夏は華々しく作家デビューをし、しばらく昼も夜もないぐらい原稿を書いていたが、今は細々と書く仕事をしている。
上京するとデビューした時の編集者、小川乙三に連絡すると、ホキ美術館で会うことになる。
そこで小夏は乙三からイラストレーターのキダジュンの絵に文章を付け、本を作らないかと言われる。

「青い絵本」
漫画家のアシスタントをしている美弥子は、かつての美弥子の三番目の母だった、絵本作家の高城好子から旅に誘われる。
支笏湖の湖畔のホテルで再会した好子は余命幾ばくもない様子で、今度『あお』という絵本を出したいから、美弥子に絵を描いて欲しいと言う。

各お話毎に絵本が出てきますが、出てくる絵本は実際にはないそうです。
主人公は四、五十代のもう若くはない、色々なことに我慢をし達観してはいるけれど、でも思い切って人生に区切りをいれようとしている女性たちです。
主人公に近い年齢の女性が読むと身に染みることでしょう。

五編の中で私は「青い絵本」が一番好きです。
支笏湖は行ったことがあるのですが、あまり覚えていません。
「支笏湖ブルー」と言われるほど美しい青色が見られなかったからかもしれません。
ホテルは1軒、お高いホテルがありますが、そこがモデルなんでしょうか。
一度泊まりに行きたいものですが、わんこたちを連れて行けないので、当分行けませんわね。

ちょっと年齢が上の女性にお勧めの小説です。


<今年の花>


昨年からパパが花を買ってくるようになりました。
百合が咲くと見事でしょうね。
何故か今年もわんこたちが吠えまくっていました。

コメント

_ ろき ― 2024/12/16 04時39分50秒

絵本セラピストなんてあるんですね。豪華列車ななつ星、一度乗ってみたいものです。夫婦仲良く楽しめたのなららよかったですが、違うのかな。
支笏湖は私もよく覚えていません。支笏湖ブルー、見たいですよね。

花束が豪華。昨年からですか、ありがたみがわかったのでしょう(?)

_ coco ― 2024/12/16 06時57分46秒

よくわからない資格がいっぱいありますよね。
絵本セラピストは大人のお客様にその人に合った絵本を選んで読んであげるようです。
どの作品も隠された女性の思いを静謐な筆使いで描かれています。

昨日、百合の花が開いて、いい匂いが漂っています。
夫はわんこたちの〇〇ちの匂いがしなくなったと言ってます、笑。

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