ピーター・トレメイン 『修道女フィデルマの慧眼 修道女フィデルマ短編集』 ― 2025/09/20
モアン王国の王女にしてドーリィ(法廷弁護人)でもある修道女フィデルマが旅先で遭遇する事件を描いた短編集。
日本で出版されているフィデルマ・シリーズの12冊目。

「祝祭日の死体」
フィデルマはモアン王国の武人で王族でもあった聖デクランのゆかりの地をまわるという巡礼の旅に参加していた。
聖デクランの祝祭日、巡礼の最終地である礼拝堂で、フィデルマは石棺の中の聖デクランの亡骸の上に殺されたばかりの若い女性の遺体が入っているのを発見する。
遺体に違和感を覚えるフィデルマ。
「狗のかへり来たりて……」
オゴーン修道院の礼拝堂で、フィデルマはひとつの彫像に目を奪われる。それは二十年前に聖遺物箱を盗もうとした修道院の庭師タニーに殺されたシスター・ウーナをモデルにした彫像だった。
修道院の中にタニーが犯人であるとされたことに疑念を抱く者たちがいるようだ。
修道女となっていたタニーの娘から話を聞いたフィデルマは、シスター・ウーナを知っているものたちから話を聞くことにする。
「夜の黄金」
フィデルマはエイナック・カーマン、すなわちカーマン祭に開かれる女性会議に来賓として招聘された。
ダロウ修道院長であるラズローンと話していると、ラシグ族のリーガッハが飲み比べ競争に参加していたオスリガの闘士のルシーンが死んだと知らせに来る。
現場に行き、遺体を確かめると、ルシーンは毒物で殺されたことがわかる。
フィデルマはリーガッハに頼まれ、ルシーンの死の真相を調べることになる。
「撒かれた刺」
フィデルマはブレホンのトゥアマから急遽呼び出され、ドリムソーンという小村を訪れた。
十六歳のブリーンという少年が殺人および窃盗の罪で告発されており、その少年の弁護士を引き受けてほしいというのだ。
フィデルマは盗まれたという銀の十字架の行方が気になる。
「尊者の死」
尊者ゲラシウスが不自然な亡くなり方をした。
フィデルマは彼の死の真相を突き止めることになるが…。
五編の短編集ですが、残念なことに、フィデルマのよい相棒であるエイダルフが出てきていません。
短編集は日本独自にまとめたものなのですね。
短編であってもフィデルマの慧眼はいつもと同様にすばらしいです。
次回はエイダルフも出てくる長編を訳してもらいたいものです。
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