馳月基也 『拙者、妹がおりまして 6~7』 ― 2025/06/28
シリーズの六巻と七巻。

『拙者、妹がおりまして 6』
千紘の手習いの師匠である井手口家の百登枝の孫で、井手口家の嫡男である悠之丞が千尋にご執心であると知り、龍治も兄の勇実も困惑するばかり。
初日の出を見ようと誘われ、千紘は勇実と龍治も誘い、井手口家を訪れる。
年が明け、文政六年(1823)の正月三日。
勇実のところに亀岡菊香の弟の貞次郎が現れ、見合いについてきてほしいという。その見合いは二人の姉妹のうちから一人を選ぶというもので、すぐに選べというものではないが、どうやら貞次郎の気持ちは決まっているようだ。
二月の庚申の日の夜、勇実たちは北町奉行の定町廻り同心、岡本達之進から頼まれ庚申強盗を捕らえるために出ばる。岡本によると同じ北町奉行所の同心、赤沢勘十郎から助勢を頼まれたという。
昨年の冬十月の火牛党に関わる騒動で赤沢の隠し子が殺され、それに関わった岡本へ赤沢が報復を企てているのではないかというのだ。
さて、強盗と火牛党の捕物はどうなるのか。
勇実は支配勘定の尾花琢磨から彼の兄の死の話を聞いていた。
その時、千紘は一人の男が矢島道場をのぞいているのを見かける。
つぎの日、勇実の筆子の白太がその男を捕まえたので、千紘は色々と尋ねてみる。
彼は燕助という琢磨を慕っている元役者で、明日、江戸をたち、里に戻るので、最後に一目琢磨を見たかったというのだ。
千紘と白太は一肌脱ぐことにする。
四月、千紘が家に帰って来たときに、梅屋敷の主、中田歳兵衛が矢島道場の若者たちとやわらの術の稽古をしていた。
稽古の後にお茶を飲んでいると、白瀧家に仕えるお吉が筍の漬物を持ってやって来る。なんと歳兵衛はお吉に一目惚れをしてしまう。
お吉が花のお礼に歳兵衛に会いに行く日、千紘は龍治を誘い、お節介にも二人の様子を見に行く。
『拙者、妹がおりまして 7』
矢島与一郎の昔馴染みの剣術家、佐伯欣十郎が箱根で道場を開いている。
彼の招きで、与一郎や師範代の龍治をはじめとした門下生たちに勇実や千紘、菊香が加わり、箱根の剣術道場へ武者修行をしに行くことになる。
交流試合と温泉、箱根権現のお参りなどの物見遊山の旅のはずだった。
しかし、箱根に”関八州を荒らし回る盗賊がお宝を狙って潜んでいる”という噂があり、その上、怪盗・鼠小僧もお宝を狙っているらしい。
不穏な出来事が次々と起こり、矢島道場の面々も巻き込まれ、大捕物へと発展していく。
勇実たち男たちは剣術の腕が立つのでいいのですが、千紘は気が強いだけのお馬鹿さんで、危ない目に遭っても学ばないのは何故でしょうか。
私って千紘風の女の子が嫌いだということがよくわかりました。
六巻でよかったのは、例のおえんがやっと落ち着きそうだということと、老いらくの恋です。お吉には幸せになって欲しいです。
それにしても若者たちの仲はなかなか進まず、周りの人たちはさっさと決まっていくのはなんででしょうね。
引き伸ばし過ぎじゃないですかぁ。
七巻は一休みという感じです。
このシリーズは若者たちの恋模様を描く以外に捕り物も書きたいという作者の希望のせいか話があちゃこちゃに行ってしまい、進まないですねぇ。
まあ、この時代の箱根がどんな感じか、私は知りたかったのでいいんですけどね。
菊香さんがちょっと心配です。
彼女の頑なな心を勇実は溶かすことができるのか。
次回のお楽しみということで。
このシリーズ、10巻で終わりなので、もう少しです。
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