小路幸也 『マンション フォンティーヌ』2023/12/17



膠原病になり、会社を辞めることになった羽見晃は、退職を機に物語を書いてみた。
十日で書き上げ、新人賞に応募してみると、受賞し、小説家としてデビューできることになる。
困ったことに、マンションの契約更新をしないと連絡してしまった。
会社の上司に相談すると、甥で不動産会社に勤める野木を紹介してくれた。
野木が勧めてくれたのが、東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅から徒歩八分、墨田区にある二階建ての小さなマンション、<マンション フォンティーヌ>。

<マンション フォンティーヌ>は、真っ白いアーチの入り口、中庭に噴水と少女像、花壇もあるフランスにありそうなオシャレな建物。
大家はリアーヌ・ボネというフランス人のおばあさん。
マンションは彼女が昔住んでいたところをモデルにして建てたという。
住民は野木が特別に選んだ人で、リアーヌとの面接がある。

一号室:三十年以上もここに住むM大の教授、坂東深雪
二号室:印刷会社に勤める鈴木幸介と出版社に勤める奈名の夫婦
三号室:訳アリ母子、パタンナーの三科百合と娘の杏
四号室:海外送金専門の会社に勤め、通訳もするハーフの貫田慶一郎
六号室:札幌出身で小中高と同じ学校だったという、ファッションブランドショ               ップ店員の坂上麻実奈と建設会社勤務の市谷倫子
八号室:新人作家、羽見晃、
九号室:コワモテ管理人、嶌谷拓次。

年齢も性別も嗜好もそれぞれ違うけれど、みんな仲良く、居心地がいい。
何か起ると、結束して事に当たる。

こんな偶然が本当に起るのというようなことが起り、やり過ぎ感がちょっとありますが、それは小路さんですから、仕方ありません。
バンドワゴンのような裏切られることのない、ほっこりしたお話です。
こんなマンションが本当にあったら、住みたくなります。


<今日のおやつ>


懲りずにホテルのパネットーネを買ってしまいました。
朝食代わりに食べると、食べ過ぎたのか、甘過ぎたのか、胃がもたれました。
この半分ぐらいの量でよかったわ。
軽そうに見えても、お菓子ですので、気をつけて食べましょうねww。