今野敏 『わが名はオズヌ』&『ボーダーライト 神奈川県警少年捜査課』2024/09/22



神奈川県警少年捜査課シリーズの一作目。

神奈川県警生活安全部少年捜査課に所属する私服警官の高尾勇はコンビを組んでいる丸木正太と共に県立南浜高校を訪れる。
南浜高校は新興住宅地に隣接して作られた創立十周年を迎えたばかりの高校で、荒れ果てているので廃校にして宅地にしようという計画が持ち上がっていた。

校舎の前では堂々と三人の生徒が煙草を吸っている。
高尾が注意すると悪態をつき、ナイフを出して襲ってくる。
高尾はそんなことに慣れているので、サッサと片を付ける。

高尾が校長に会いに来たのには理由があった。
警視庁からこの学校の、名前が「オズヌ」と「ゴキ」という生徒のことを調べて欲しいという要請が来たからだ。
校長は生徒に会わせるのを拒否するが、名前は教えてくれ、担任に会わせてくれる。

担任は水越陽子という恐ろしいくらいの美女。
生徒の名は賀茂晶といい、自殺未遂後から自ら「オズヌ」と名乗り始めたと言う。
教頭も校長も水越も賀茂を恐れているようだ。
南浜高校はどこかおかしいと感じる高尾。

高尾たちが高校から帰ろうとすると、先ほどの生徒が総勢三十人を引き連れ、お礼参りに来る。
高尾はその中に暴走族のヘッドで神奈川県でちょっとした有名人の赤岩猛雄がいることに気づく。
すると、一人の少年が赤岩のことを「後鬼(ゴキ)」と呼んだ。
その少年が賀茂晶ことオズヌだった。
彼は自分を役小角(えんのおづぬ)の生まれ変わりだという。
オズヌは高尾が三人に手を出した理由を訊いてくる。

南浜高校からかろうじて脱出した高尾は、丸木に「役小角」について調べるように指示する。

高尾がオズヌと会ってからおかしなことが続く。
課長がオズヌと名乗る少年について調査しなくていい、すべて忘れろと言い出す。
神奈川県の暴走族の相州連合が集会を開いて、全神連との抗争に終止符を打つ。
そして、南浜高校で、生徒が正門にバリケードを作り学校を占拠する。



神奈川県警少年捜査課シリーズの二作目。

高尾は組対本部長から呼び出される。
赤岩猛雄が薬物の取り引き現場で検挙され、高尾の名前を出したというのだ。
赤岩に会いにみなとみらい署の暴力犯対策係へ行ってみると、赤岩はかつての暴走族仲間のもとに薬が流れているので、取り引きを止めさせようとしたという。
同じ頃に南浜高校の教師、水越と賀茂晶(オズヌ)が会いたいと言ってくる。
オズヌは赤岩をなんとかしてくれと頼んできた。
高尾が赤岩のことに対処する代わりに、水越に赤岩がドラッグの取り引き現場にいた事情を調べさせることにする。

ところが本部の薬物銃器課が赤岩を逮捕すると言い出す。
高尾はみなとみらい署の暴力犯対策係の協力を得、薬物銃器課の刑事を追い返し、赤岩をライブハウスで匿ってもらうことにする。

神奈川県内では、刑法犯で逮捕や補導される少年の数が減少しつづけていたのに、何故か最近、少年犯罪が急増している。
高尾は犯罪とは関わりなさそうなタイプの、おとなしくて、目立たない子を、犯罪に駆り立てる何かが起っているような気がしていた。
彼らを取り調べるうちに、高尾は彼らの唯一の共通点が人気バンド、スカGのファンだということに気づく。

今野さんというと、隠蔽捜査シリーズが有名ですが、今回のシリーズはまったく違ったテイストです。
古代の霊能者、役小角の生まれ変わりが出てくるのですから。
賀茂といえば、ピンとくる人もいるでしょう。
「役小角って誰?」と思った方は一作目に詳しく書いてあるので読んでみて下さい。
役小角を使って小説をどういう風に展開しようとしているのか、わたしには全くわかりません。
作者なりの深い意図があるのでしょう。
警察小説ではないので、気をつけて読んで下さいね。


<今日のわんこ>
朝、雨が降っていて、お散歩にいけなかったので、昼間に風があり、涼しかったので、散歩に行ってみました。
でも、人間には涼しく感じても、犬はあまり涼しくなかったみたいです。


こういう風に舌を出しています。
弟は何故か何回も座ろうとしますが、歩かせました。


兄は相変わらず、カメラを向けると視線をそらしますが、前を向いているだけいいですね。
弟は家の中ではバッチリ、カメラ目線なのに、なんで外ではこうなのでしょうね。

連休明けから30度以下になるという天気予報が当たりますように。