桜木紫乃 『情熱』 ― 2025/08/15

六編の短編集。
「兎に角」
元報道カメラマンで、今は北海道でフリーカメラマンをしている牧村鋼は、四十年ぶりに塾で同じクラスだった二葉に再開する。
彼女は地元のテレビ局や百貨店のポスターからCM撮影まで手がけるヘアメイク・スタイリストになっていた。
「スターダスト」
六三歳になるルックレコードのディレクター河合はもとサックスプレイヤーだった。ジャズサックスは捨てたはずだったが…。
「ひも」
老人ホストクラブに勤めている朗人は美容室の雇われ店長の江里子と暮らしている。「ボケたら関係解消」という約束だが、この頃、江里子の様子がおかしい。
「グレーでいいじゃない」
ジャズピアニストのトニー漆原が死んだ。彼は母に背き、ジャズピアニストになった。その母がジャズハウス『ジス・イズ』に現れ、一曲弾きたいという。
「らっきょうとクロッカス」
裁判所職員の青田芙美は急に釧路への異動を打診された。実質的な左遷だ。
自分の何が悪かったのか、心当たりを探すが、見つからない。
仕事相手の弁護士で、妻が一年前に亡くなったという竹下に挨拶に行くと、ひょんなことで一緒でビア・ガーデンに行くことになる。
「情熱」
北海道在住の小説家、島村は大学教員の内田夏海に彼女の故郷下関の遊郭跡を案内してもらう。彼はひそかに夏海をモデルに小説を書こうと思っていた。
登場するのはもはや若くない、初老の男女。
もう一度、人生をやり直すには遅いけど、それでも何か、もう一度できることがあるかもしれないという、大人の来し方行く末が書かれています。
別に愛だの恋だのでなくていいのです。
熾火のように心の中でくすぶっている何かがあれば。
しっとりした大人のお話です。
<今日のわんこたち>

いつもは一匹ずつですが、今朝はママパパと四人でお散歩します。

兄はもくもくと歩きますが、弟はママが後ろにいると気になり、何回も立ち止まります。
お散歩の後に兄がご飯をあまり食べません。疲れているのかしら。
お昼にチュールをのせてあげると、全部食べました。
チュールを毎回よこせということなのかしら?
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