重松 清 『希望ヶ丘の人びと』 ― 2011/03/24

1970年代に開発されたニュータウン、希望ヶ丘に引越してきた田島親子の話です。
田島は2年前に妻がガンで死んだのをきっかけに会社を早期退職し、退職金を家の頭金にして、妻のふるさと、希望ヶ丘に家を買います。
彼が新しく始めた仕事は栄冠ゼミナールという塾の開設でした。
エリアマネージャーにせっつかれながら頑張るのですが、塾の経営はうまくいきません。
モンスターペアレントがいたり、いじめがあったり、学校格差があったり、ニュータウン特有のものがあったり・・・。
書道教室の瑞雲先生とその妻のチヨさん、孫のチョボ、ハーフのマリア、マリアの父で妻の圭子の初恋の人のエーちゃんなどとふれあい(?)ながら、田島は父として成長していきます。
彼の好きな歌は河島英五の『野風増』です。(英五、かっこいいぜ)
重松さんはこの頃学校物を多く書いていますが、教育について興味があるのでしょうか。ある種のお説教くささもありますが、いいなと思った言葉を載せておきます。
「子どもっていうのは、親だけが育てるものじゃないんだ」
「その子のことを大切に思って命を賭けるつもりのあるオトナは誰だって保護者だ」
「僕は子どもに裏切られる悲しさよりも、自分が子どもを信じられない寂しさのほうが嫌です」(by 吉田先生)
「ココロの目なんだよ、親や先生にいちばん大切なのは」
「希望のある人生は・・・幸せなんだよ、絶対に・・・」
希望を語ることが今できるのか・・・微妙です。
でも、こんな時だからこそ、希望は必要なのです。
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